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美術展へ行かなければ 2010 (3)
2010年12月26日
カンディンスキーと青騎士展
Kandinsky and the Blue Rider - from the Lenbachhaus, Munich
三菱一号館美術館

◆ 主な出展作品・・・
● ヴァシリー・カンディンスキー Wassily Kandinsky
ガブリエーレ・ミュンターの肖像 Portrait of Gabriele Munter (1905年)
カンディンスキーの作品とは思えない(?)、写実的な肖像画。高いデッサン力を示している。
● ヴァシリー・カンディンスキー Wassily Kandinsky
ムルナウ近郊の鉄道 Railroad at Murnau (1909年)
青や赤や黄といった原色が目に鮮やかだが、郷愁を感じさせる風景画。
● ヴァシリー・カンディンスキー Wassily Kandinsky
印象III (コンサート) Impression III, Concert (1911年)
コンサート会場を描いているようだが、グランドピアノや群集が具象物と判別できない程度に抽象化されている。カンディンスキー的な抽象芸術の入り口に立ったと言えよう。
● アウグスト・マッケ August Macke
林檎を持つ肖像 Portrait with Apples (1909年)
林檎を持って入室して来る妻を描いている。人物の特徴のシンプルな捉え方が素晴らしい。
● アウグスト・マッケ August Macke
遊歩道 Promnade (1913年)
キュビズム的な空間の構築、鮮やかな色彩と丸みを帯びた形態の独自性に、才能の大きさと将来性を感じさせたが・・・。
● フランツ・マルク Franz Marc
牛、黄-赤-緑 Cows, Yellow, Red, Green (1911年)
ナゼか黄色の牛が、ナゼか楽しげに飛び跳ねている。
● フランツ・マルク Franz Marc
虎 Tiger (1912年)
黄色の虎には威厳が感じられ、キュビズム的で鋭角的な背景も画面に厳しさを加えているが、原色が目立つ配色には厳しさを和らげる効果が感じられる。フランツ・マルクの芸術感が表現された典型的な作品であろう。
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2010年11月23日
エドガー・ドガ展
Hilaire Germain Edgar de Gas
横浜美術館

◆ 主な出展作品・・・
● 画家の肖像 Portrait de l'artiste dit Degas au porte-fusain (1855年)
特に初期の作品において、ドガの技法は極めてアカデミックなものである。歴代の巨匠の作風も極めて積極的に学んでおり、今回もマンテーニャの作品の模写が展示されている。自画像を含め、肖像画は写実的で落ち着いたものである。

● 綿花取引所の人々(ニューオリンズ) Un bureau de coton a la Nouvelle-Orreans (1873年)
綿花取引所で事務作業をする人々を描いており、一風変わった集団肖像画であると言える。ドガの着眼点のユニークさが余すところ無く発揮されている。
● バレエの授業 La classe de danse(1873-76年)
ドガが追い求めたテーマの一つであるバレエ。華やかなステージではなく、レッスンという舞台裏の一場面を捉えたところにも視点のユニークさが現れている。そして、ドガはバレエの舞台裏にも頻繁に出入りしていたことが理解される。
● エトワール Ballet dit aussi L'Etoile (1876-77年)
バレエのステージの本番を描いているが、ボックス席の最上階から見たバレリーナをまるで望遠レンズで拡大したかのように描いている。そして、袖に控えているバレリーナと黒服の男性の足が覗いている。
● 14歳の小さな踊り子 Prite danseuse de quatorze ans (1880-81年,1922年頃鋳像)
ドガの生前に唯一発表された彫刻作品。極めて強い自然主義的な写実性が見られる。
● 浴盤(湯浴みする女) Le tub (1886年)
従来の伝統的な裸婦像からはかけ離れた観点で描かれている。入浴という日常的な行為を客観的に描いてはいるが、猥雑ではない、ドガ的としか言えない美を表現している。

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2010年11月14日
ウフィツィ美術館自画像コレクション -巨匠たちの「秘めた素顔」-
Autoritratti dalla Collezione dalla Galleria degli Uffizi
損保ジャパン東郷青児美術館

◆ 主な出展作品・・・
● マリー=ルイーズ=エリザベート・ヴィジェ=ル・ブラン Marie-Louise-Elisabeth Vigee-Le Brun
マリー・アントワネットの肖像を描くヴィジェ=ル・ブラン Autoritratto (1790年)
女流画家は自らを少女のように描いており、やはり美化しているのだろうか。1790年と言えばフランス革命の翌年であり、この画家の周辺はどのような状況だったのだろうか。完璧とさえ言えるシンプルな美、画家の優雅な微笑からは、混沌とした社会状況などを想像する事はできない。
● ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ Gian Lorenzo Bernini
自画像 Autoritratto (1635年頃)
バロック芸術の巨人、ベルニーニの自画像。黒と茶系で統一され、ラフな筆致で描かれた小品が、大芸術家の自信と表裏であるように思える。
● エリザベート・シャプラン Elisabeth Chaplin
緑の傘を手にした自画像 Autoritratto con l'ombrello verde (1908年頃)
女流画家が17歳の時の自画像。不安定な色使いだが、モデルの微妙な表情に作品の出来以上の何かを感じさせる。

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2010年10月31日
没後120年 ゴッホ展 こうして私はゴッホになった
VAN GOGH:The Adventure of Becoming an Artist
国立新美術館

◆ 主な出展作品・・・
● フィンセント・ファン・ゴッホ Vincent van Gogh
籠いっぱいのじゃがいも Basket of Potatoes (1885年)
ひまわりを強烈な黄色で描いた画家の作品とは思えない、暗い茶色だけで描かれた籠とじゃがいも。農村での生活というものが、恐ろしいほどのリアリティを伴って想起される。
● フィンセント・ファン・ゴッホ Vincent van Gogh
灰色のフェルト帽の自画像 Self-portrait (1887年9-10月)
ゴッホの自画像はどれもゴッホ的筆致で描かれた個性的なものだが、この作品は特に強烈。例によって渦巻いた筆致の背景は濃紺が主に用いられ、顔の肌の部分も背景と同じ筆致。この作品を自画像としてしまう感覚とは・・・。
● フィンセント・ファン・ゴッホ Vincent van Gogh
アルルの寝室 The Bedroom (1888年10月)
ゴッホの作品でも著名なイメージ。この寝室の空間の歪ませ方は、1888年の作品としてはかなり斬新的、非常に現代的で、前衛絵画への道が明瞭に示されている。壁の色は空色、床はピンクがかっているが、実際はどうだったのだろう。
● フィンセント・ファン・ゴッホ Vincent van Gogh
ゴーギャンの椅子 Gauguin's Chair (1988年11月20日頃)
「アルルの寝室」同様、空間の歪みが強調されている。
● フィンセント・ファン・ゴッホ Vincent van Gogh
ある男の肖像 Portrait of a Man (1888年12月1-5日)
幾分かモディリアーニ的に、男の半身像が縦に引き伸ばされている。ゴッホがもっと静物画や肖像画を描き続けていたら、どんな作品になったことだろう。

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2010年10月17日
上村松園展
東京国立近代美術館

◆ 主な出展作品・・・
● 序の舞 (1936年)

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2010年9月20日
ポンピドー・センター所蔵作品展 - ロシア・アヴァンギャルドとの出会い - 交錯する夢と前衛
et l'avant-garde russe dans les collections du Centre Prompidou
東京藝術大学大学美術館

◆ 主な出展作品・・・
● マルク・シャガール Marc Chagall
ロシアとロバとその他のものに A la Russie, aux anes et aux autres (1911年)
シャガール的な素朴な表現法とファンタジー性に、強い前衛的な表現の加わったこの時期の作品からは、このアーティスト本来の創造力を感じ取ることが可能。屋根の上に乳牛、空を飛ぶ女性像、更に女性の頭が胴体から離れてしまっているのはどうしてなんだろう。
● ナターリヤ・ゴンチャローワ Natalia Sergeevna Goncharova
パンの売り子 La vendeuse de pain (1911年)
ロシア的なプリミティブな表現、キュビズムの影響に、女性的な感性も備えた穏やかな作風が魅力のアーティスト。
東京藝術大学大学美術館

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