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美術展へ行かなければ 2012(2)
2012年4月30日
セザンヌ - パリとプロヴァンス
Cezanne, Paris - Provence
国立新美術館

◆ 主な出展作品(全てポール・セザンヌ Paul Cezanne)・・・
● ピアノを弾く少女(「タンホイザー」序曲) Jeune fille au piano (L'Ouverture de "Tannhauser) (1869年頃)
現在の画家の名声と歴史的な重要性からすれば、味わい深いセザンヌらしい作品とも言うことも出来るが、この当時は、画家周辺、特に家族などはセザンヌの能力をどのように見ていたかを聞いてみたいものである。
● 首吊りの家、オーヴェール=シュル=オワーズ La Maison du pendu, Auvers-sur-Oise (1873年)
印象派的な屋外の風景を描いているが、建物にも木々にも道路にも均等に存在感を与えている。作品の質感はピサロやシスレーに近いものもあるが、風景描写を超えた独自の躍動感のようなものが見てとれる。後年の作品から遡って辿って傾向を探って行くと、当時のセザンヌがこの作品をどのようなものにしたかったかは分かる気がする。
● 自画像 Portrait de l'artiste (1875年頃)
セザンヌの人物画と言えば、まるで人格を否定するかのように無表情だが、この自画像の目力はどうだろう。ルノワールの享楽的な生き方とは真逆の、シリアスで堅苦しい笑いとは無縁の人生を連想してしまうが、実際はどうだったのだろう。
● りんごとオレンジ Pommes et oranges (1899年頃)
セザンヌの静物画の中では比較的大型。画面を斜めに横切るように描かれている白い布の上のりんごとオレンジは、転がり落ちそうな立体感を持っている。
● アンブロワーズ・ヴォラールの肖像 Portrait d'Ambroise Vollard (1899年)
アンブロワーズ・ヴォラールは、慧眼をもってしてセザンヌの個展を開催し、その名を世に知らしめた画商。セザンヌは、独自の技法をこの肖像画においても駆使して堂々たる作品に仕立てあげ、画商への感謝としているのだろう。

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2012年4月29日
レオナルド・ダ・ヴィンチ 美の理想
Leonardo da Vinci - e l'idea della bellezza
Bunkamura ザ・ミュージアム

◆ 主な出展作品・・・
● レオナルド・ダ・ヴィンチと弟子(カルロ・ペドレッティ説) Leonardo da Vinci e assistente (attoribuito da Carlo Pedretti)
岩窟の聖母 La Vergine delle Rocce, seconda o terza versione (1495-97年頃) - 図版はロンドン・ナショナル・ギャラリー版
ルーブル美術館とロンドン・ナショナル・ギャラリーに2作品ある「岩窟の聖母」の、第三のヴァージョンとされる作品。この作品がオリジナルかどうかはともかく、細心の注意を払われた人物の動き、人物と風景の配置、作品の構想自体の持つ雄大さに、強烈なオリジナリティが保たれているのは間違いない。
● アイルワースのモナ・リザ Mona Lisa (Iskeworth)
16世紀(レオナルド・ダ・ヴィンチによる1503年の未完成作品説あり)
数多存在する、かの有名な「モナ・リザ」の複製品の中の1点。この作品については、ルーブルの作品より「若い」という説まであるが、これによっても、ルーブルのオリジナル作品の持つ驚異的な個性と影響力の強さを思い知らされるものであり、その影響力は作品完成当初から存在したものであろう。
●レオナルド・ダ・ヴィンチ Leonardo da Vinci
衣紋の習作 Studio di panneggio (1470-75年頃)
「衣紋の習作」が2点展示されている。デッサン画ではあるが、ダ・ヴィンチ作ともなると、鑑賞しただけで、偉大な芸術の真髄に近づけたのでは?との勘違い?を起こさせる。

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2012年3月37日
ミラクル沼尾の個展 「人の間2」
なかの ZERO 美術ギャラリー

◆ 2010年3月から、2年ぶりに同じギャラリーで開催された、ミラクル氏の個展。街に徘徊する超個性的な人物を、これまた個性的な視点と超絶的感性を持って、独特の人物画に仕上げている。最終処理はデジタル処理で行い、多くはカラーも施されている。ミラクル氏によれば、興味深い面白い人物がいれば、なんとな〜く近寄り、ササっとメモをとって作品に仕上げるという。前回と同様今回も100点という膨大な数の作品が展示されており、日常の他の仕事の合間をぬって、同様の行動を何十回と行ったワケで、その努力と気力と体力には恐れ入る。作品の一つ一つには、モデルが存在するとは言え、それぞれ違った個性があり、一度に展示されれば大いなる迫力があり、マサに壮観である。
◆ 今回も、作品を収めたDVDをゲット。グラフィック作品のBGMは、ミラクル氏自らが演奏したドラムスとキーボードによって作られている。 何とも多彩な人物である。

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2012年3月20日
ユベール・ロベール - 時間の庭
Hubert Robert - Les jardins du Temps
国立西洋美術館

◆ 主な出展作品・・・
● ユベール・ロベール Hubert Robert
赤ん坊に哺乳瓶をさし出す若い女 Jeune femme tendant un biberon a un bebe (1772年)
「廃墟の画家」が描く、微笑ましい、風俗画的な作品。
● ユベール・ロベール Hubert Robert
マルクス・アウレリウス騎馬像、トラヤヌス記念柱、神殿の見える空想のローマ景観 Vue imaginaire de Rome avec la statue equestre de Marc Aurele, la colonne de Trajan et un temple (1786年)
歴史的風景画の体裁をとってはいるが、理想的な美のよりも、退廃的とも言える崩れた表現への快感を求めている。ロココ的な様式美から離れ、ある種の前衛的とも言える表現であろう。廃墟を題材とする絵画への嗜好は、或いは、フランス革命前夜の支配階級に蔓延する退廃的なメランコリーに、芸術さえも追随している事実を示すものであろうか。
● ユベール・ロベール Hubert Robert
メレヴィルの城館と庭園 Le Chateau et le parc de Mereville (1791年)
穏やかな庭園の情景だが、後方に広がる雨雲のような黒い雲に、重苦しい不穏な空気が感じられなくもない。ユベール・ロベールは、ナポレオン帝政の時代まで生き抜き、ユベール・ロベール的な作品を制作し続けた。

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