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美術展へ行かなければ 2010 (2)
2010年8月28日
ザ・コレクション・ヴィンタートゥール - スイス発、知られざるヨーロピアン・モダンの殿堂
Masterpieces from the Collection of the Kunstmuseum Winterthur
世田谷美術館

◆ 主な出展作品・・・
● アルフレッド・シスレー Alfred Sisley
朝日を浴びるモレ教会 The Church at Moret : Morning Sun (1893年)
印象派的な筆致ながら、教会の壁面は堅固、晴れた空の青も鮮やか。
● アルベール・マルケ Albert Marquet
ラ・ヴァレンヌ=サン=ティレール La Varenne-Saint-Hilaire (1913年)
グレーとグリーンのくすんだ色で描かれており、浮かんだ小船も丸まった筆致だが、絶妙なコントラストにより、澄んだ空気感が感じられる。穏やかな画風に癒しの効果がある。
● フェリックス・ヴァロットン Felix Vallotton
日没、オレンジ色の空 Sunset, Orenge Sky (1910年)
またもフェリックス・ヴァロットン。スイスの画家なのである。夕焼けのイメージを見事に捕らえている。
● フェリックス・ヴァロットン Felix Vallotton
浴女のいる風景 Landscape with Bathers (1913年)
リアルな湖畔の風景と、やや微妙なデッサンの浴女たちのコントラストが不思議。だいたい、こんなところにには裸の女はいないだろう、という感じ。
● アンリ・ルソー Henri Rousseau
花束 Flower Bouquet (1910年)
よく見ると、やはりリアルさに欠けるルソー的なデッサンの植物であるが、実際の作品にはなんともいえない独特の魅力がある。
世田谷美術館

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2010年8月11日
カポディモンテ美術館展 - ナポリ・宮廷と美 - ルネサンスからバロックまで
CAPOLAVORI DEL MUSEO DE CAPODIMONTE - NAPOLI, LA BELLEZZA E LA CORTE - DAL RINASCIMENTO AL BAROCCO
国立西洋美術館

◆ 主な出展作品・・・
● パルミジャニーノ(本名 ジローラモ・フランチェスコ・マリア・マッツォーラ) Girolamo Francesco Maria Mazzola, detto il Parmigianino
貴婦人の肖像(アンテア) Antea (1535-37年頃)
ルネサンス期の作品とは思えないほどリアルで近代的な、真正面を見つめた女性の肖像画。今にも何かを語り出しそう。
● アンニーバレ・カラッチ Annibale Carracci
リナルドとアルミーダ Rinaldo e Armida (1601-02年)
バロックの先駆とも言うべきアンニーバレ・カラッチの特質を現した作品。明るい画面と大仰なデッサンは、カラヴァッジオなどのリアリズムとはまさに対照的。
● グイド・レーニ Guido Reni
アタランテとヒッポメネス Atalanta e Ippomene (1622年頃)
極めてグイド・レーニ的な、ダイナミックかつ滑らかな筆致の神話画。物語の視覚化というよりも、とにかく人物の大きな動きといったデザインを重視している。

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2010年7月18日
オルセー美術館展2010 - ポスト印象派
Post-impressionnisme 115 chefs-d'oeure de la collection du Musee d'Orsay
国立新美術館

◆ 主な出展作品・・・
● ポール・シニャック Paul Signac
井戸端の女たち(井戸端のプロヴァンス娘たち、薄明の中の装飾パネル)Femmes au puits ou Jeunes provencales au puits, decoration pour un panneau dans la penombre (1982年)
高さが195cmにも及ぶ、点描画法による大作。ジョルジュ・スーラが確立した技法を踏襲しているが、色彩に関しては、そこから一歩踏み出したような独自性を備えている。
● フィンセント・ファン・ゴッホ Vincent Van Gogh
アニエールのレストラン・ド・ラ・シレーヌ Le restaurant de la Sirene a Asnieres (1887年)
ゴッホ的な筆触ではあるが、全体に明るく淡い色で、印象派的で軽やかである。情念のような渦巻模様はここでは見られない。
● ポール・ゴーギャン Paul Gauguin
「黄色いキリスト」のある自画像 Portrait de l'artiste au "Christ jaune" (1890-91年)
自作の「黄色いキリスト」をバックに、大胆に自分の姿を描いている。自分をキリストのような受難者であると見せているのと同時に、自らが受難者であるとする事の不遜さをもあえて表現しているようである。セザンヌの影響がまだまだ強い時期の作品。
● ポール・セリュジエ Paul Serusier
護符(タリスマン)、愛の森を流れるアヴェン川 Le Talisman, l'Aven au Bois d'Amour (1888年)
ゴーギャンの直接の薫陶を受けた追随者の一人。木々と水面にイエローを置き、フォービズムの先駆とさえ言える大胆さと力強さを見せている。
● フェリックス・ヴァロットン Felix Vallotton
自画像 Autoportrait ou Mon portrait (1897年)
ストラスブール美術館展にも展示されていた画家による作品が何点か。19世紀としては斬新な、近代的視点を持つ画家である。
● アンリ・ルソー Henri Rousseau
戦争 La Guerre (1894年頃)
素朴なデッサンと裏腹に、極めて丁寧に描かれた大作、シュールさは極まっている。画面の下方に埋め尽くされた死体とそれをついばむカラスが痛ましいが、黒い馬(?)に乗った死の女神(?)を見て、鑑賞していた少女たちが「きゃー!めちゃんこ可愛い!」と叫んでおり、シュールな気分を増大させられた。
● ポール・セザンヌ Paul Cezanne
ギュスターヴ・フェフロワ Gustave Geffroy (1895-96年)
極めてセザンヌ的なタッチで描かれた肖像画。書斎に腰掛けた人物の前にある机の周辺の空間は、例によって歪んでいるが、肖像画の威厳が損なわれていないのは不思議。

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