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Lee Sarah Special Bigband
2002.6.9 非公式行事?
ワールド・カップ、日本 対 ロシア、勝利の瞬間


◆ 遂に開幕、2002年日韓ワールド・カップ!まるで、4月に咲き誇る満開の桜を愛でる花見客のように、日本中が即席サッカー・ファンで溢れ返った。日本代表の6月9日の対戦相手は、最大の難敵のロシアである。"皇帝"とまで呼ばれ崇拝されている司令塔のモストボイは負傷で出場しないが、欧州の百戦錬磨のチームである。ここで日本代表サポーターは、応援の手を緩めるワケにはいかない。だが何と、我々リーサラ・スペシャルはその日は、練習のある日ではないか!キック・オフの時刻には、練習スタジオの中にいるのだ!演奏会をひかえている事もあり、練習を止めるワケにはいかない。メンバーは全員、練習には行くと宣言しておきながら、内心は全く納得していなかった。自分こそが応援しなければ、日本は絶対に勝てない!一人一人が、頑なに信じ込んでいたのだ。

◆ そこに救世主が出現した!メンバーの一人が提示した解決策は、こうである。練習はいつもは午後5時からであるが、ジャズ・ミュージシャンという人種は、時間に極めてルーズである。バンドの練習はいつも、6時を過ぎても開始されない。では、6月9日に限っては、5時の時間を厳守にして、8時に終了すれば良いのではないか?メンバーはこの論調に納得して、感動すら覚えた。従って、この日は練習もサッカー観戦も両方ともこなす事が出来る!ちなみに、では毎回5時に集合すれば練習時間が有効に使えるではないか?などと指摘してはならない。

◆ 我々は、日頃練習を重ねている公会堂の近くにある飲食店"IKKYUU"へ繰り出し、日本代表の勝利を祈って大応援を繰広げる事となった。おっと、飲食店に繰り出すのはいつもと同じか?ホイッスルが吹かれると同時に、バンドのメンバーや日本代表を応援する他の客は、店内に特別に設置された大スクリーンに目がクギヅケになってしまった。箸を動かして刺身を味わう事さえ、ままならない。だが、ビールが入ったジョッキを口に運ぶ事だけは止める事は出来ない。ボールが動くのに従い、選手の動きに不満を持つ酔ったメンバー達は、まるでセルジオ越後のように、好き勝手に解説を付けて行く。だが、口にする批評を、お互いに聞きあっているワケではない。単に思っている事を喋っているだけだ?

◆ やった!決まった!稲本の見事なシュートが、ロシアのゴールに突き刺さった!日本中から大歓声が上がった。あの強い強いロシアから勝ち点3を奪い取る可能性が出た。店内は拍手と歓声に包まれ、全員の顔が笑顔に変わった。本番の演奏がウマく出来た時さえ出さないガッツ・ポーズ、握りコブシを空中に突き上げてしまった。その後、ゲーム終了までの時間が、何と長かった事だろう。

◆ 勝った!勝った!日本が初めてワールド・カップで勝利した瞬間、店内は大歓声に包まれ、全員が熱狂した。ワールド・カップに全く関心のない客は、既に帰宅していた。普段は物静かな目立たない男まで立ちあがって、皆で握手を交し合う。毒舌男も、珍しく誉め言葉を吐く。この日が初対面の女性も、感激のあまり叫び声を上げた。誰ともなく、万歳の声が沸きあがった。生きてて良かったー!


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