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美術展へ行かなければ 2011(3)-2012(1)
2012年3月8日
生誕100年 ジャクソン・ポロック展
Jackson Pollock : A Centennial Retrospective
東京国立近代美術館

◆ 主な出展作品・・・
● 綿を摘む人たち Cotton Pickers (1935年頃)
農夫の労働という具象的なテーマで描いている。
● 無題 - 蛇の仮面のある構成 Untitled - Composition with Serpent Mask (1938-41年頃)
ネイティブ・アメリカン的なエスニック調の作風。ポロックの初期の作品にはピカソやミロの影響も見て取れる。前衛的であろうとしているが、現代の我々の視点に立ってしまえば、衝撃的というよりは、画面上の秩序が保たれた安定した作品に見えてしまう。
● 無題 Untitled (1949年頃)
「無題」というタイトルがこれほど相応しい作品もないであろう。ポロックをポロックたらしめているドリッピング技法を駆使。美術館という安定した空間の中では何だか収まりの悪い、一般的な鑑賞者から見ればカオスそのものであるとさえ言えるエネルギッシュ過ぎる色彩。ポロックが絵画的表現方法を高い次元に一段押し上げたのは間違いない。

東京国立近代美術館

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2012年1月3日
フェルメールからのラブレター展
Communication : Visualizing the Human Connection in the Age of Vermeer
Bunkamura ザ・ミュージアム

◆ 主な出展作品・・・
● ヨハネス・フェルメール Johannes Vermeer
手紙を読む青衣の女 Girl Reading a Letter (1663-64年頃)
窓は描かれていないが、左から人物に当てられている明るい光が絶妙で、特にフェルメールをよく知る鑑賞者ならば、左に窓があるのは当然と思っているだろう。女性が着用している青い衣装は眼に眩しいほどの鮮やかさ。背景にある地図と女性の頭部は、大胆にも、共に茶系の色で描かれている。茶と青と白のコントラストの素晴らしさに、フェルメールのマジックが十二分に表現されている。
● ヨハネス・フェルメール Johannes Vermeer
手紙を書く女 A Lady Eriting (1665年頃)
ここでの女性の服の色は黄色。服の装飾と机の上で描かれている手と文具の細やかな表現は鑑賞者の眼を釘付けにし、鑑賞者の時間を奪い取ってしまうような催眠術のような効果がある。
● ヨハネス・フェルメール Johannes Vermeer
手紙を書く女と召使い A Lady Eriting a Letter with her Maid (1670年頃)
女性の衣装、調度類、格子模様の床などの画面上の構成要素は、同時代の画家と何ら変らないのだが、フェルメールの作品の細やかさやバランス感覚や完成度は他と比較して格段に素晴らしいのが分かる。窓から差し込む光の、カーテンに遮られている部分とそうでない部分の差が絶妙。それにしても、フェルメールの描く人物の無個性な感じは、人物像を芸術的に物体化しているところから来ると思われ、セザンヌのそれと共通している気がする。ナゼか、床には何やら手帳とペンのようなものが落ちている。
● ピーテル・デ・ホーホ Pieter de Hooch
室内の女と子供 Woman and a Child in an Interior (1658年頃)
子供と水差しのようなものをやりとりする女性は微笑んでいる。フェルメールの作品よりも人間味がある??

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2011年11月20日
プラド美術館所蔵 - ゴヤ : 光と影
Goya : Luces y Sombras, Obras Maestras del Musso del Prado
国立西洋美術館

◆ 主な出展作品 (全てフランシスコ・ホセ・デ・ゴヤ・イ・ルシエンテス Francisco Jose de Goya y Lucientes の作品)・・・
● 日傘 El quitasal (1777年)
王宮装飾のためのタピスリーの原画としての一連の作品のうちの一点。ロココの時代の雰囲気を色濃く醸し出している。欧州の王族や貴族にとって幸福な時代の最後の小春日和というべき、和やかな楽しさが溢れている。フランス革命後にはスペインも激動の時代に突入してしまうが、1777年の頃は危機感というのはまだまだ感じられない時期なのだろうか。
● 着衣のマハ La maja vestida (1800-07年)
「裸のマハ」と対になった、余りにも著名な作品。生涯を通じての作品の多様性、その中でも突出した強烈なイメージ与え、また多くの謎を秘めたまま今日に至り、ゴヤ芸術を代表する作品であるとの印象を鑑賞者に与え続けている。どうしても人物描写ばかりに視線が行ってしまうが、左上の暗い空間は微妙で、実は結構投げやりに描かれたのではという気もする。
● レオカディア・ソリーリャ (?) Leocadia Zorrilla (?) (1812-14年頃)
鋭いリアリティを感じさせるゴヤの肖像画、王族の肖像でさえ容赦の無い迫真の筆致で描いているが、この女性像には穏やかさが感じられる。

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