反対側の木曽駒ケ岳には福井の夫婦が到達したのが望める。その後ろも単独の方が数名続いている。皆、ぬけるような蒼空に天気が崩れることなどありえないと判断してのことだろう。
なにかな?青空に雪の塊のようなものが飛んで行く。白い花びらのような大きさで。もしかして「かざはな?」 うっとりしてしばらく目で追う。ほんの数回・・・。
目の前の大きなエビノシッポにも見とれる。
そんなことをして肩で待っている私は、とくに風がきついわけでもないのに動いていないので体がどんどん冷えてきた。
手がかじかんで震えてくる。凍えそう。「稜線で凍死するのはこんな感じなのだろうか。」などと考えたりする。
歩き回ることもできないので腕だけでも動かして体を温める。
こんなに寒いのなら私も行けばよかったと思いながら見守る。ところが下りはずっと急斜面を後ろ向きのまま降りてくる。そんな技術、私にはない。やはり今の私には今日の山頂は無理・・・。
垂直雪壁をアイゼンで蹴り込んでスイスイ下降できるような力をつけておかねば・・・。それが今の課題。
夫等はテラスから斜面をトラバースして無事に帰還。緊張の糸が解れて肩ではあはあと大きな息をする。
「強風にあおられたらあの頂から滑落する・・・。」その不安から開放され安堵の表情。
そのまま尾根を真っ直ぐ何処でも降りる。今、朝見上げたシュカブラの上を歩いている私。これは最高の贅沢・・・。
氷がなく雪だけなのでさくさくとアイゼンが効いて超気持ちいい。確か前回は氷にまんまる爪アイゼンが効かなくてとても怖かった・・・。
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