〜鬼畜なる奇策?〜

           
 原家攻略




「ふむ、大体の事は…解った。」

織田家にある書庫の…大量の本が積み上げられて出来た山々の中心部にて…縁なし眼鏡を掛けた(!)珍しい姿のランス君が、その手に取って目を通していた書物を閉じ、情報収集の終了を宣言。

しかし、何と言うか…意外にも静かに本を読んでいた彼の姿は…信じられないが、ほんっと〜に信じ難いのだが、どこか理知的にも見えた…まぁ、“口を閉じて黙っていれば美形かも?”という属性が現れたのかも知れないが。

『で、どうじゃ?』

その成果を興味深そうに聞いてくるのは、彼の相棒(?)たるカオス。

「まぁ、大枠では俺様達のJAPANとは変わらない…ようだな。いくつか気になる違いはあるが。」

掛けていた眼鏡を魔法で瞬時に消し去り、いつもの調子に戻って言うランス。

『例えば?』

「そうだな…オロチの事、妖怪王国の事…細かいところは、どうでも良いが…あと…ザビエル、だな。」

気になった“重要事項とその相違点”をいくつか挙げて、しばし大魔王は思考を巡らせる。

「何にせよ、ここでの情報収集はコレで精一杯か。文献が古すぎて、あんまり信用のおけるモンじゃねえし…昔の話ってのはとにかく…法螺じみたのが多いからなー」

そう言って、この場での情報分析を締め括る。

彼は…“大魔王”となってからのランスは…それまで「面倒くさい。」と言って、殆どまともにやってこなかった情報収集を、結構真面目にやっていたりする…“あの事”があってから。
その理由はそう、一言で言えば…“後悔しないため”…なのだろう。

知っていれば、知ってさえいれば…出来る事が多いのだと、救える事が多いのだと…理解したが故の、行動。

『ところでランス…』

そんな彼の事は、もう百も承知の旧き友・カオスは“最も気になる事”をランスに問う。

「あん?」

『この世界にもおるのか、アレ?』



ランスとカオスにとって…絶対に無視し得ぬ存在である“アレ”…それについては、この場で語るまでも無い。



「…ああ、居るな。間違いなく。コッチには気づいちゃいねえし、気づく筈はないんだが…」

穏やかとも言える様子を見せ、まるで気のない風に答えるランス。

帰還ミスという大ポカをやった大魔王ではあるが、“アレ”の気配を捉えられないなどという事は決してあり得ず、さらに自分に関しては現在もしっかりと“すてるす”処理をしているため…しかもそれは“アレ”にも感づかれる事が無いという実績を持つ…察知されていないのだとカオスに説明する。

だが…

『?…意外に冷静じゃの。』

ランスの平然とした態度が解せないのか、魔剣は少々困惑気味に呟く。


…コッチのヤツは俺様のじゃねぇ。知った事か。


彼が…ありったけの怨念と憎悪を込めるのは…たった“一つの存在”。

喩え、世界が違うだけの同じ存在だとしても…確かに彼の“アレ”とは違うのだ…それ故のランスの言葉。



たとえ一時、静かで穏やかな湖面の様に見えたとしても…その奥底にたゆたうモノは…暗く、激しい。



『お主がそう言うなら、儂は何も言わんが…良いんじゃな?』

それを聞いて彼の心情に納得はしたカオスだが、それでも確認を求めずにはいられない。

「良いさ。此処の事はココの連中に任せれば…て、言うかそこまで面倒見切れるか。」

そう吐き捨てるように言うランス…悔しさ混じりの本音、かも知れないが。

『まぁのう。おお、そうそう…ココの連中と言えば…“お主”はおるのか?』

これ以上この話題を続けるのは不毛と感じ、カオスはもう一つの関心事…“この世界のランス”…の話を振る。

「…それが、良く解らん。」

今度は困惑を浮かべた表情にてカオスに答えるランス。

『?』

「なんつーか、タイムスケジュールがずれていると言うか…」

どこか合点がいかないのか…ランスは溜息混じりに…現時点において確認が取れている事を話した。


・リーザスは一時陥落、が直ぐに復興。
・闘神都市μは堕ちている。
・ゼスは以前の態勢のまま、崩壊もしていなければカミーラダークも起きていない。


と言う事は…

“あの異空間”を彷徨っているのか、それとも違う“冒険”をしているのか…


『びみょーなズレじゃな、確かに。儂らにとっては都合が良いかもしれんが。』

以上の事を“自分達の過去”と照らし合わせて考え…カオスとしても些か困惑気味に、だが意外にも前向き(?)な言葉をランスに掛けた。

確かに…この時間域、この場所、この状況で…“ランス達”が顔を合わせないのは都合が良いのだ、色々と。

「そうだな。そうか…まだウロウロしてる…のか。自由気ままに…」



カオスの言葉に応えながら…大陸のある方向に目を向け、ランスは呟く…

(アイツと一緒に、か?)

どこか、羨ましげに…



『…ランス。』

「ま、そっちの方は考える必要は無いか。これは完全に俺様のカンだが…遭わないというか、遭えない気がするし…確かめに行くつもりも無いし。」

声を掛けたカオスに、何の問題も無いのだと…だがまるで、何かをはぐらかすかの様に…ランスは答えた。

『それに、行きたくても行けんしの。』

ランスの言葉を聞き、カオスも気持ちを切り替えて現状の話題を振る。

「…まったくだな。」

カオスの振った話題…“自分の現状”…に渋面を浮かべて…

「……まさか、ここまでとは思わなかった。」

盛大な溜息を吐き、珍しく途方に暮れた様子のランス君。

「探知、探査、走査系はしっちゃかめっちゃか、補助系もしょぼいし…攻撃系と特殊系の魔法は全部駄目、回復系と身体能力は問題無いが…深刻なのは…」

出来ること・出来ないことを指折り数えて確認しながら、さらに…


ヴヴン!

姿が消えた…が、瞬時に何事もなかったようにその場に現れたランス。


「跳べんし…」


空間跳躍が出来ないことを確認、そして…


フワリ……どさっ!

座っていた椅子より浮き上がった身体が…すぐに万有引力によって落下する。


「…飛べん。」


片手で頭を押さえ、襲い来る頭痛に耐えるようなリアクションの大魔王。

『すっげぇ深刻じゃね!?』

さすがの魔剣も、ランスの受けた予想以上の大ダメージに対して大心配。

「自己修復、と言うより再生中だな、今。おおよそ全治6ヶ月、ってところだが…正直、どうなる事かとパニクったぞ。」

マジで洒落にならない事態に陥ったが、なんとか復帰が可能という事で…あからさまにホッとした感じのランス君。

『そうか。それなら先ずは一安心、と言う事じゃな。』

それを聞いて、同じくカオスも安堵の御様子。

「…ホントのところ、相手が香ちゃんと信長じゃなければ…八つ裂きにしてやるところなんだが。」

目を細め…“物騒な表情”を浮かべてそう宣う大魔王。

まぁ、私達でも…例えとして、ゲームで苦労して育てた自分好みの最強キャラが…他人のせいで“あぼ〜ん”なんて事になったら…そいつをフルボッコにしたくなるというモノですよね?


『それにしても…』

「ああ…」


嘆息したランスとカオスは…


『「すっげぇ毒団子。」』


声を揃えて大感嘆!


「うわーん、毒って言ったぁ!」


いきなり元凶が出現!


「おおおおお!?何処から出てきた香ちゃん?」

突然、自分の背後に現れた香姫様に驚愕のランス君。

『け、気配を感じなかったぞい!?』

自分達の警戒網を突破した(?)らしい香姫の所行に、戦慄するカオス。

「う〜…そんな事はどうでも良いんです!」

両眼にじんわりと涙を溜めた香姫様は、二人に対してご立腹の様子。

「いや、どうでも良くない気が…」

自分とカオス…すなわち大魔王と魔剣の警戒…を無視して出現したお姫様に対して、どうにか真相を聞いてみようとするのですが…

「酷いです、ランスさん!そ、それは少し…その、普通とは違うお団子かもしれませんけど…でも、毒までは言い過ぎです!」

お姫様はそんな事など完全無視して、自身の誇りと尊厳(?)を護るため…それを傷つける“正直発言”をした二人に猛抗議!


((いや、事実だし!))


正直な二人の心の声。


…いや、確かにそうなんですけどね。


「ああ、解った香ちゃん。俺様が悪かった、言い過ぎた。君のお団子は…何て言うか、そう…人よりかなり個性的なだけだな、うむ。まぁそのうち、香ちゃんの努力次第で…きっと兄貴の団子にも負けないモノになるさ。」

香姫が自分のその“残酷な真実”を受け止めるには、少々時間が必要(ヒドイ?)と思い、ランスは何とか宥め賺そうと…謝罪と、そして思いっきり虚偽と欺瞞に満ちた気休めの言葉を掛けた。

「…本当にそう思ってくれます?」

こしこしと目に溜めた涙の粒を着物の袖で拭き…ランスの“優し過ぎる気休めの言葉”を受け止めて聞き返す香ちゃん。

「うむ。(多分…そうなってくれたら良いなぁ…なって欲しいというか…なってくれ、頼む!)」

か〜な〜り願望が入ったランス君の答えアンド心の声。

「じゃあ、許してあげます。」

さて、彼女はいつ現実を受け止めるのだろうか?

「おう、ありがと。んで、こんな所に何か用か?」

ひとまず香姫からの許しを貰ったランス君は、彼女の来訪目的を問い質す。

「何か用か?じゃなくて、ランスさんを捜していたんです。評定の時間ですよ、もう!」

先程までとは違った理由で、少々ぷんすかと怒りつつ…来訪目的を告げる姫様。

“まさか書庫で書物を読んでるなんてまったく思っていませんでした!”などという正直過ぎる本心は隠したままで。

「そんな時間か。どれ、じゃあ行くとするか。」

両手を挙げて少し伸びをしてから立ち上がり、香姫を伴って書庫を後にするランス。

「…今日は昨日みたいな事はしませんよね。」

隣を歩くランスに向けて、何故か彼女らしくない疑惑と非難の視線を浴びせつつ…香姫は昨日ランスがやった“ある所行”に対しての注意と抗議を口にした。


さて、ランスがやった事とは?


「今日は俺様が織田の頂点に立った…その事について各自、深く考えておく事。いじょ!」

そう“8秒スピーチ”をして、諸将が居並ぶ大広間からさっさと出ていき…評定を空転させるというトンデモ行動をやりやがったのである!

て、駄目だよ!最高責任者がこういう悪しき前例を作ってやったら、洒落になりませんよ!


けれども…


「おうとも。一日だけ猶予をやったんだ…ここから先は存分に、思うままに…やるさ。」

ニヤリと悪そうに笑う大魔王…やはり、計画的犯行でしたか。


いや〜それにしても…この人って、本当に“邪悪っぽい”のが似合いますね。




もちろん続きます♪


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