阪神電気鉄道の車両たち


 私と阪神といえば、タイガースと答える方も多いかと思います。しかし阪神といえば、本業は鉄道会社で関西の五つの大手私鉄の一角を形成しています。営業距離こそ大手私鉄の中で最も短い私鉄ですが、数年後には西大阪線が難波まで延伸されることになり近鉄と相互乗り入れを行う予定です。そんなこともあり、今関西の大手私鉄の中で一番活気のある私鉄という見方も出来ると思います。私は電気、機械系については苦手と言うこともあり、どちらかというと車両のデザインという部分に焦点を当てた解説になると思います。また、運用上撮影できていない車両もありますので、それらの車両の写真については後日アップいたします。なお、車両数につきましては、特記がないもの以外は2004年4月15日現在といたします。間違い等ございましたら、メール等いただきましたら修正いたします。
 なお、車両の詳細および阪神大震災からの被害復旧状況の詳細等につきましては、私の高校の鉄道研究部の後輩でもあるSWA君が作成した阪神電鉄私設応援団のページに載っていますので、活用していただければ先輩でもある私としても嬉しく思います。
 また、阪神電気鉄道の車両を長きにわたって製造していた武庫川車両が2002年に約40年の歴史に幕を閉じました。その時に制作された記念キーホルダーについての写真はこちらのページに載せております。


■ 急行系車両
写真 形式名 登場
初年

備考 撮影駅
9300系 2001 18 阪神では、初の3扉クロスシート車です。急行系車両の新塗装であるプレストオレンジとシルキーベージュのツートンカラーを初めて採用した車両です。
ちなみに、9506Fは武庫川車両で製造された最後の編成です。
野田
9000系 1996 30 阪神大震災の影響で廃車となった車両の代替製造車で、現有車両では唯一のステンレス製車両です。また、急行形車両では初めてVVVFインバータ制御を採用した車両でもあります。 大物
8000系
(Type1)
1984 3 8000系は単独で運用することを基本に設計されているため、他形式のように先頭の貫通扉の幌座がなく、すっきりしたデザインとなっています。また電気指令式ブレーキを阪神で初めて採用しています。
阪神大震災の影響で3両が廃車となり、現在は三宮方3両のみの存在です。現在は、梅田方に同じく震災で一部の車両が廃車となって残ったType3の車両2両、Type3の代替新造車1両と組み合わせて6両編成で走行しています。
大物
8000系
(Type2)
1984 15 Type1が従来車とほぼ同じデザインで登場したのに対し、Type2である車番末尾下2桁11〜16の車両は、額縁スタイルの正面デザイン、一段下降窓の採用などにより全く別の車両のようになった印象を受けます。
登場した18両のうち3両が阪神大震災の影響で廃車となった関係で、残った車両については同じく被災して残ったType3の車両と混成で編成を組んで走行しています。
2002年から登場した9300系と同じ塗装、ほぼ同じ内装となったリニューアル車両は、編成の中間がクロスシートに改造されています。まもなくType2については、全てがリニューアル車両になります。
野田
西宮
8000系
(Type3)
1986 42 Type3は、車番末尾下2桁が17〜32の車両で、1986年〜1990年の間に48両登場しました。
Type3の車両も阪神大震災で7両が廃車となり、1両が代替新造されました。その関係で、Type1、Type2の車両と混成で編成を組んで走行しているものもあります。
Type2との相違点は、集約分散式の冷房装置(屋根上の冷房装置の箱が大きく、箱の数が少ない)が搭載されていることです。
Type3についても2003年からType2同様、編成の中間がクロスシートに改造され、9300系と同じ塗装、ほぼ同じ内装となったリニューアル車両が登場しています。
大物
魚崎
8000系
(Type4)
1991 54 1991年以降に製造された車両(車番末尾下2桁が33〜50の車両)は、側窓が連窓風(窓柱が黒くなっています)になり天地寸法を拡大させ、車内にはLEDの車内案内表示がつき、またバケットシートを採用するなどしたこともあり、さらに洗練された車両となりました。 大物
2000系 1990 36 日本初の電機子チョッパ車で阪神電鉄初の冷房車でもある7001形-7101形および7801形-7901形のうち車番末尾下2桁が40〜48の車両(Type3)を種車に、制御装置を界磁添加励磁制御に変更して登場した車両です。
1990年〜1993年に48両が登場しましたが、阪神大震災の影響で12両が廃車となり、現在は36両の陣容となっています。
大物
7801形

7901形
(Type2)
1969 6 現在では、1969年に製造された車番の末尾下2桁が35〜39の車両(Type2)のうち37〜39の車両のみが走っています。Type2は、最初はラインデリアを装備していた関係上、車高が低くなっています。
末尾下2桁が40〜48の車両(Type3)は2000系に改造されています。
1963年から1966年にかけて登場した末尾下2桁が01〜34の車両(Type1)は片開き車で、その後現在廃車となっている3000系に改造されて走行していた車両もありました。
大物
7861形

7961形
1966 10 7861形-7961形は1966年、1967年に16両が登場しました。7801形-7901形がMc(モーター付き先頭車)-T(モーターなし中間車)を基本にしているため、2組を組み合わせて4両で1編成を構成するのに対し、7861形-7961形はMc-Tc(モーターなし先頭車)を基本にしているため、2両で1編成を組むことが出来るため機動性が高くなっています。
現在までに6両が廃車となり、10両が残っています。
左下の7968Fは武庫川線用にワンマン改造された3編成のうちの1編成です。
大物
No Photo
(1編成しかなくなかなか本線上に登場しないようですので…。)
(また撮影に行きます。)
8901形

8701形

8801形
1986 6 これら2形式は、元々3901形-3801形であった車両です。3901形-3801形は西大阪線延伸対応として抑速ブレーキを装備し、阪神初のS形ミンデン台車を採用した車両で1974年、1977年に合わせて12両が製造されました。その後、うち4両が1986年に廃車となり、残った8両のうち6両が8901形-8701形-8801形に、2両が武庫川線専用車両として7890形-7990形に編成が組み替えられ現在に至っています。
No Photo
(武庫川線の車両をわざわざ撮影に行く時間がありませんでしたので…)
7890形

7990形
1986 2

■ 普通系車両
写真 形式名 登場
初年

備考 撮影駅
5500系 1996 36 1995年に阪神大震災で廃車となった車両の代替製造分として8両が登場しました。阪神では、初めてVVVFインバータ制御、ボルスタレス台車を採用するなど新機軸を多く取り入れた車両です。普通系車両の新塗装であるアレグロブルーとシルキーベージュのツートンカラーを初めて採用した車両です。その後は、既に廃車となった5261形、5311形の代替新造分を含めて36両となり、普通系車両の中では最大勢力となっています。 大物
5001形 1977 32 旧型の非冷房車(先代5001形、5101形、5201形)を置き換えるために1977年〜1981年に登場した車両です。普通系車両では初めて空気バネ台車(S形ミンデン台車)を採用し、乗り心地の向上を図っています。 野田
5131形 1981 14 1977年から登場した5001形に続いて、旧型車を置き換えるために登場した車両です。5001形が抵抗制御を採用しているのに対し、5131形では省エネの観点から電機子チョッパ制御を採用しています。しかし、台車については旧型車から流用したコイルバネ台車を採用している関係上、乗り心地については5000系に比べると少し劣ります。
下写真の5143Fは三宮方に非表示幕車である5313Fと組み合わせて編成を組んでいる関係上、行先看板を掲示しています。
尼崎
魚崎
5331形 1981 8 5131形同様、旧型車を置き換えるために登場した車両です。基本的には5131系と同じですが、相違点は5131形が東芝製の制御装置を採用しているのに対し、5331形は三菱製の制御装置を採用しています。
なお、5331形も阪神大震災の影響で2両が廃車となり現在では8両の陣容となっています。
魚崎
5311形 1968 2 1968年、1969年に単車走行可能(つまり、1両でも走行可能ということです)な車両として4両が登場しました。
その後、1980年に電機子チョッパ制御の試験車となり、2両ユニットとなりました。そして、1999年に2両が廃車となり、現在は2両のみが残り、5131形と組んで走行しています。
現在、阪神の現有車両では唯一行先表示幕を装備していない車両です。
魚崎

参考文献および参考ホームページ

文献名 発行元
カラーブックス
日本の私鉄5 阪神
保育社
鉄道ピクトリアル 1997年7月増刊号
 <特集>阪神電気電鉄
株式会社 電気車研究会
まにあっく・阪神
阪神電鉄私設応援団

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