LDAP.CONF
Section: File Formats (5)
Updated: 2005/11/18
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名前
ldap.conf, .ldaprc - ldap 設定ファイル
所在
/usr/local/etc/openldap/ldap.conf, .ldaprc
説明
環境変数 LDAPNOINIT が定義されていると、
すべてのデフォルト設定が無効になります。
ldap.conf
は、
ldap
クライアントの動作時に適用されるシステムワイドのデフォルト値を
設定するために利用されます。
ユーザは、自分のホームディレクトリにオプションの設定ファイル
ldaprc
か
.ldaprc
を用意することにより、システムワイドのデフォルトファイルに優先した
設定を行えます。
カレント作業ディレクトリに
ldaprc
ファイルを置いても同じ効果があります。
さらに、環境変数 LDAPCONF と LDAPRC を用いて追加の
設定ファイルを指定できます。LDAPCONF には設定ファイルの
パスを設定します。このパスは、絶対パスにもカレント作業ディレクトリ
からの相対パスにもできます。LDAPRC に定義したものは、
カレント作業ディレクトリあるいはユーザのホームディレクトリにある
ファイルのベースネーム(ファイル名からディレクトリを取り除いたもの)
とみなします。
環境変数はファイルベースのデフォルト値を設定するのにも利用できます。
環境変数の名前は以下に列挙したオプションに接頭辞 LDAP を
つけたものになります。たとえば環境変数で BASE を定義するには、
変数 LDAPBASE を望む値に定義します。
以下のオプションの中には、ユーザ環境でのみ設定できるものがあります。
そのようなオプションを
ldap.conf
(あるいは
LDAPCONF
で指定したファイル)に与えても無視されます。
オプション
設定オプションについては英大文字/小文字を区別しませんが、
その値については場合により英大文字/小文字を区別します。
設定オプションには次のものがあります。
- URI <ldap[s]://[name[:port]] ...>
-
LDAP
ライブラリが接続する LDAP サーバの URI を指定します。
URI スキームには
ldap
または
ldaps
が使え、それぞれ LDAP over TCP と LDAP over SSL (TLS) を表します。
各サーバ名にはドメインスタイルの名前か IP アドレスを指定できます。
オプションでサーバ名の後に付けた ':' に続けてサーバが受け付ける
ポート番号を指定できます。ポート番号を指定しない場合、スキーム
ごとのデフォルトが使われます(ldap:// なら 389, ldaps:// なら 636)。
複数の URI を指定する場合にはスペースで区切ります。
- BASE <base>
-
ldap 操作を行うときに使うデフォルトのベース DN を指定します。
このベース名は LDAP フォーマットにおける識別名として指定しなければなりません。
- BINDDN <dn>
-
ldap 操作を行うときに使うデフォルトのバインド DN を指定します。
このバインド DN 名は LDAP フォーマットにおける識別名として
指定しなければなりません。これはユーザ環境でしか設定できません。
- HOST <name[:port] ...>
-
LDAP
ライブラリが接続する LDAP サーバの名前を指定します(複数指定可)。
各サーバの名前は、ドメインスタイルの名前か IP アドレスの後に
オプションで ':' と ldap サーバのポート番号をつけて指定します。
複数のサーバを指定するにはスペースで区切ってホストを並べます。
HOST
の利用は
URI
がサポートされたので推奨しません。
- PORT <port>
-
LDAP サーバへの接続で使うポートを指定します。
ポートは数値で指定します。
PORT
の利用は
URI
がサポートされたので推奨しません。
- REFERRALS <on/true/yes/off/false/no>
-
LDAP サーバから返る紹介にクライアントが自動的に従うかを指定します。
デフォルトは on です。
コマンドラインツール
ldapsearch(1)
では、常にこのオプションを off にします。
- SIZELIMIT <integer>
-
検索を行うときに適用するサイズ制限を指定します。
この値は非負整数で指定します。SIZELIMIT がゼロ(0)ならば、
無制限の検索サイズを指定したことになります。
- TIMELIMIT <integer>
-
検索を行うときに適用する時間制限を指定します。
この値は非負整数で指定します。TIMELIMIT がゼロ(0)ならば、
無制限の検索時間を指定したことになります。
- DEREF <when>
-
エイリアスの実名参照をどのように行うかを指定します。
引数
<when>
には次のキーワードのいずれかを指定できます。
-
- never
-
エイリアスは実名参照されません。これはデフォルトです。
- searching
-
検索においてベースオブジェクトの下位についてはエイリアスが実名参照
されますが、検索のベースオブジェクトは実名参照されません。
- finding
-
検索のベースオブジェクトのみでエイリアスが実名参照されます。
- always
-
検索と検索のベースオブジェクトの両方でエイリアスが実名参照されます。
SASL オプション
OpenLDAP が SASL (Simple Authentication and Security
Layer)をサポートするように構築されていれば、以下のオプションを指定できます。
- SASL_MECH <mechanism>
-
利用する SASL 機構を指定します。
これはユーザ環境でのみ設定できます。
- SASL_REALM <realm>
-
SASL レルムを指定します。
これはユーザ環境でのみ設定できます。
- SASL_AUTHCID <authcid>
-
認証 ID を指定します。
これはユーザ環境でのみ設定できます。
- SASL_AUTHZID <authcid>
-
代理認可 ID を指定します。
これはユーザ環境でのみ設定できます。
- SASL_SECPROPS <properties>
-
Cyrus SASL のセキュリティプロパティを指定します。
<properties>
には次にあげるプロパティをカンマで区切って指定できます。
-
- none
-
(他のプロパティ指定がなければ)
プロパティをデフォルト("noanonymous,noplain")にクリアします。
- noplain
-
単純な passive attack に弱い機構を無効にします。
- noactive
-
active attack に弱い機構を無効にします。
- nodict
-
passive dictionary attack に弱い機構を無効にします。
- noanonymous
-
匿名ログインをサポートする機構を無効にします。
- forwardsec
-
セッション間の forward secrecy を要求します。
- passcred
-
クライアントの身元証明を渡す機構を要求します
(そして身元証明を渡せる機構がそうすることを可能にします)。
- minssf=<factor>
-
最小の受け入れ可能な
security strength factor
を暗号のための有効キー長に近い整数値で指定します。
0 (ゼロ)は暗に保護無しを意味します。1 は暗に整合性の保護だけを意味します。
56 は DES あるいは他の弱い暗号化方式を有効にします。
112 は triple DES あるいは他の強い暗号化方式を有効にします。
128 は RC4, Blowfish, 他の現代的な強い暗号化方式を有効にします。
デフォルトは 0 です。
- maxssf=<factor>
-
最大の受け入れ可能な
security strength factor
を整数値で指定します(minssf の説明を参照)。
デフォルトは INT_MAX です。
- maxbufsize=<factor>
-
セキュリティ層の受信バッファの最大サイズを指定します。
これが 0 ならばセキュリティ層は無効になります。
デフォルトは 65536 です。
TLS オプション
OpenLDAP が TLS (Transport Layer Security)をサポートするように
構築されていれば、以下のオプションを利用できます。
これらのオプションは
ldaps:// URI
が(デフォルトであるかに関わらず)使われているか、
LDAP Start TLS 操作の発行によりアプリケーションが TLS
を確立したときに使われます。
- TLS_CACERT <filename>
-
クライアントが認めるすべての認証局の証明書を含んだファイルを指定します。
- TLS_CACERTDIR <path>
-
認証局の証明書が個々のファイルに分けて置かれているディレクトリのパスを
指定します。
TLS_CACERT
は常に
TLS_CACERTDIR
の前に使われます。
- TLS_CERT <filename>
-
クライアント証明書のファイルを指定します。
これはユーザ環境でのみ設定できます。
- TLS_KEY <filename>
-
TLS_CERT
で指定したファイルに格納されている証明書に対応する
私有鍵のファイルを指定します。
現在のところ私有鍵はパスワードで保護してはならないので、
このファイルを注意深く保護することが極めて重要です。
これはユーザ環境でのみ設定できます。
- TLS_CIPHER_SUITE <cipher-suite-spec>
-
どの暗号化方式をどのような優先順位で受け付けるかを設定します。
<cipher-suite-spec> は OpenSSL の暗号化方式の指定方法に基づきます。
たとえば HIGH:MEDIUM:+SSLv2 などと指定します。
- TLS_RANDFILE <filename>
-
/dev/[u]random が利用できないときに乱数を取得するファイルを指定します。
一般には EGD/PRNGD ソケットの名前を設定します。
このファイル名を設定するのには環境変数 RANDFILE も使えます。
- TLS_REQCERT <level>
-
TLS セッション開設時にサーバ認証をどうするかを指定します。
引数の
<level>
には次のキーワードのいずれかを指定できます。
-
- never
-
クライアントはサーバ証明書を求めません。
- allow
-
サーバ証明書が要求されます。
証明書が与えらていない場合でもセッションは普通に継続します。
不適当な証明書が与えられた場合でもセッションは普通に継続します。
- try
-
サーバ証明書が要求されます。
証明書が与えらていない場合でもセッションは普通に継続します。
不適当な証明書が与えられた場合はセッションをすぐに切断します。
- demand | hard
-
これらのキーワードは同じ意味を持ちます。
サーバ証明書が要求されます。証明書が与えらていない場合、
あるいは不適当な証明書が与えられた場合はセッションをすぐに切断します。
これはデフォルトの設定です。
- TLS_CRLCHECK <level>
-
クライアント証明書が失効しているかを確認するために、
CA の証明書失効リスト(Certificate Revocation List: CRL)を使うかを指定します。
これを指定するには
TLS_CACERTDIR
パラメータの設定が必要です。
<level>
には次のキーワードのいずれかを指定します。
-
- none
-
CRL 検証を行わない
- peer
-
ピア証明書の CRL を検証
- all
-
証明書パス全体を検証
環境変数
- LDAPNOINIT
-
すべてのデフォルト設定を無効化
- LDAPCONF
-
設定ファイルのパス
- LDAPRC
-
$HOME または $CWD にある ldaprc ファイルのベース名
- LDAP<option-name>
-
ldap.conf のオプション <option-name> を設定
関連ファイル
- /usr/local/etc/openldap/ldap.conf
-
システムワイドな ldap 設定ファイル
- $HOME/ldaprc, $HOME/.ldaprc
-
ユーザの ldap 設定ファイル
- $CWD/ldaprc
-
ローカル ldap 設定ファイル
関連項目
ldap(3),
openssl(1),
sasl(3)
作者
Kurt Zeilenga, The OpenLDAP Project
謝辞
OpenLDAP
は OpenLDAP プロジェクト (http://www.openldap.org/)が開発/管理しています。
OpenLDAP
はミシガン大学の LDAP 3.3 リリースより派生しました。
和訳
稲地 稔 <inachi@kkd.biglobe.ne.jp>
Index
- 名前
-
- 所在
-
- 説明
-
- オプション
-
- SASL オプション
-
- TLS オプション
-
- 環境変数
-
- 関連ファイル
-
- 関連項目
-
- 作者
-
- 謝辞
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- 和訳
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