雪の……おまけ
「はぁ、はぁ」
「どうした?」
祐一は隣で肩で息をしている香里に声をかけた。声をかけられた香里はきっと祐一を睨むが整っていない息の所為ですぐに下を向く羽目になった。
「はぁ、あなたの、はぁ、所為でしょ!」
「ははは! まぁ、乗れよ。送ってやるから」
そう言って祐一は今まで腰掛けていたベンチを離れてすぐ近くに止めてある車へ向かおうとした。しかし、それは香里の一言で止められた。
「……ばらすわよ」
その言葉に祐一が振り向くと彼女はじと目で彼を見ていた。
「……何をばらすって言うんだよ?」
何を言っているのか分からないといった風に彼は香里に向けて言った。
「……ちょうど一年前」
「一年前、ねぇ」
まだ祐一の顔色は変わらない。
「……一緒にお酒を飲んだ筈よね?」
「そう、だ…な」
少しずつ顔色が変わってくる。
「……次の朝私たちはどこで起きたっけ?」
「朝………っ!」
完全に顔色が変わった。そして、それまでどこを向いているのか分からない感じだったのが香里の顔を凝視するようになった。
「……あの時、私は「何ともない」って言ったわ」
祐一は顔を真っ青にして、なおかつ体を小刻みに震わせながらその話を聞いていた。
「けどね……ホントはかなり歩きづらかったの。……意味、わかる?」
そこで香里はにっこりと笑った。何も知らない人からしてみればそれはとても清々しい笑顔だったが、それを向けられた祐一からしてみれば悪魔の笑顔にしか見えなかった。その証拠に彼の体はガタガタという音が聞こえてきそうなほど震えており、顔は真っ青を通り越して真っ白、額には脂汗と思われる汗が浮かんでいた。
そんな祐一の様子を見て取った香里はその笑みを物悲しそうな微笑に変え――
「……祐一はどうしてくれるのかな?」
――とどめを刺した。
未来へ?
おまけ
あの後こんな事があったり。
まぁ、どうでもいいんですけどね。