FM放送による簡易な電波観測(FRO)方法・・・(その3)

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1.はじめに

通常、国内はもとより近隣の韓国なども送信出力は、最大でも10kWである。
しかし、北朝鮮は最大が100kWと驚くくらいの大出力が6局もある。
FROをするには、微弱な電波を受信するのに多素子のアンテナを使うのが一般的だが、100kW級となると一般家庭で使用している室内アンテナでも少ないながらエコーを捕えることができる。
このページでは、FROの初心者向けのために簡単で確実に受信できる方法を紹介する。
ただし、基礎知識として、最初にFM放送による電波観測方法(その1)を一読しておくことをお勧めする。

2.観測機材

.▲鵐謄福
・自作ダイポール(1素子)アンテナ
  市販のFMアンテナをそのまま観測に使用して周波数を選定する方法もあるが、お試しとしては家庭内で不要となった電源コードをアンテナとして使用することとする。
  アンテナの作り方は別のページで紹介をしているので、そちらを参考とされたい。
  ただし、アンテナの寸法(L)は、周波数(f)に反比例するので短縮率(a)を考慮すると、下記の式で求められる。
  L=c÷f ÷2×a L[m],c=300,000[km],f [kHz],a=0.97
  たとえば、受信周波数が f=100MHzだと、寸法L=1.455mとなるので、1mの電源コードがあれば間に合う。
・市販FMアンテナ
  日本アンテナのAF-4は、4素子なのに価格的に安価(3,000円)で、ワイドFMにも対応しているので96MHzまで良好に受信できる。
  DXアンテナのAF2は、2素子で価格が4,000円だが、仕様によると108MHzまで受信可能なので、今回のFROには最適である。(ただし、確認をしていないので自己責任で決めて下さい。)
同軸ケーブル; 5D−FB
  ケーブルの片端は、SMA型コネクタを付ける。
  街の電気屋さんで容易に購入できる5C−FBでも構わないが、先々本格的にFROをするなら5D−FBが良い。
  両者のケーブルは、ケーブルインピーダンスが違っている。
SDR; RTL-SDR
  最も使用されているRTL-SDR系で充分である。
  RTL-SDR.COM社製が安価(3,400円弱)で堅牢である。Amazonで購入できる。

3.設定

(1)FM放送の受信
SDRにより受信をするのであれば、初めはSDRSharpのソフトを使用することをお勧めする。
FM放送の受信までの作業は、別のページでSDRによる電波観測を解説しているので参考にされたい。
(2)FROのための初期設定
・Sampling Rate 3.2MSPS
・RF Gain 49.6dB
・受信モード CW
・Bandwidth 300Hz
・Order 1,000Hz
・CW Shift 900Hz
・HROFFT(Signal Level) 10
・音量設定 HRO画像を確認しながら画質を調整

4.FM放送の選局

(1)準備
北朝鮮が高出力(公表50kW,100kW)として送信しているFM放送局は、下記のとおりである。
それと同様な周波数で韓国からも無変調で送信している。
始めは、エコー数欄の「◎」から選定すれば、良好な周波数を見つけることができる。
国内で使用しているFM放送の周波数を考慮すると、96MHz以上であれば混信の心配もない。

北朝鮮 韓国 周波数[MHz] エコー数
1 Pyonggang   Seoul and Cheonan 89.4   ◎
2 Kaesong Seoul 92.5   ◎
3 Yonan Seoul 92.8   ◎
4 Seoul and Cheonan 93.6 未確認
5 Pyongyang 93.8   ?
6 Pyongyang 96.7   ?
7 Chorwon Seoul and Cheonan 97.0   ○
8 Haeju Seoul and Cheonan 97.8   少
9 Incheon Gangwha 102.3 未確認
10 Pyongyang 103.5   ○
11 Haeju Seoul 103.7   ◎
12 Pyongyang 105.2   少
13 Pyongyang 106.5   ○

(2)作業1
前項のリストをもとに、順次周波数を設定しながらHRO画像で現れるエコー数で確認することとなるが、SDRSharpの「Spectrum Analyzer」で選局周波数にカソールを合わせてFloorレベルが低いことでも確認できる。
(狩野さん提供)
   
(3)作業2
選局した周波数で1時間ほど観測して、HRO画像の900Hz付近に発生するエコーを確認する。
エコーの出現の感触は、「点」や「縦線」が数個発生すれば良しとするが、周期性があるエコーは生活雑音の可能性があるので注意が必要である。
できれば、明け方(3〜6時)で確認をすると良い。
(4)作業3
最終的に周波数が決定すれば、その時点で、アンテナの寸法を正規な長さに変更することをお勧めする。

5.アンテナ製作と観測結果

(1)アンテナ製作
2項により受信周波数を103.7MHzとすると寸法は1.40mとなるので、2芯の電源コードを引き裂いて0.70mを2本準備する。
今回は、アンテナを水平に保つために角材を使用して固定した。
同軸ケーブルとの接続は、下記の写真のとおり直接ハンダ付けにした。
本来ならば、アンテナは75Ωの「平衡」であり、同軸ケーブルとSDR側のコネクタは50Ωの「不平衡」なので、インピーダンスの違いと平衡/不平衡の変換のために「バラン」などを使用することとなるが、今回は、伝送損失を承知のうえで簡易アンテナとした。
   
(2)観測結果
10分間のHRO画像では、1〜3個のエコーが確認できた。
3素子の八木アンテナと比較すると、80%減の20%のエコー数であった。
このくらいのエコー数でも、充分にFROが可能である。
国内の放送局を使ってFROをすると、ダイポールアンテナだと絶望的な結果となるので、やはり100kWの大出力の威力はすごいとしか言いようがない。
下記のHRO画像は、SDRの駆動用のソフトとしてSDRSharpではなくHDSDRを使用しているため、画像の下方にエコーが表示される。
   

6.謝辞

本ページが作成できたのは、狩野正樹氏が北朝鮮の放送局の情報を提供していただいことによります。
この場を借りて深く感謝いたします。

7.連絡

ご質問、ご提案等がありましたら、杉本弘文まで連絡を願います。




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