マイクロ波の電波利用の気象レーダー見学 
 
 <2021年5月3日>
 
掲載日2021年5月23日                    斉藤 清 
 
拙宅のパソコンなどを置いてあるロフトに登る階段を大改造したため、パソコンに触れず、掲載が大幅に遅れた。 
 
車山気象レーダーの誕生 
 
 平成11年11月、気象庁のレーダー観測網をより充実させるため、富士山レーダーに替わり、車山山頂に新たな観測所が登場した。
 車山は八ヶ岳中信高原国定公園内であることから、観測所は自然環境保護に十分配慮された規模・構造となる。
 このレーダーは、長野県を中心とする広い範囲の気象が観測でき、毎日の天気予報や防災(気象注意報や気象警報の発表)に、
たいへん大きな役割を果たしている。

 

気象レーダーのしくみ


 気象レーダーはアンテナから発射した電波(レーダービーム)のうち、雨粒や雪片に当たって反射してくる電波(エコー)を受信する
ことにより、雨の強さや雨域の広がりなどをリアルタイムで知ることが出来る装置だ。

 通常の気象レーダーで使用する電波は空間を高速でほぼ直線的に伝わる。そのため電波の通路に高い山や建物などの障害物
があるとその裏側には電波が届かず、レーダーの目標物である雨や雪を探知することが不可能となってしまう。
 特に高い山脈の入り組んだ複雑な地形の長野県は、気象レーダーの設置条件が厳しい地域である。この点で多方向の見通しに
優れた車山は、広い範囲の雨の監視に適している。車山に設置された気象レーダーは、時々刻々と変化する山の気象を監視し、
大雨などの災害を未然に防ぐ重要なレーダーとして、今後の活躍が期待されている。

 少し難しくなるが、マイクロ波の電波利用の気象レーダーのことを、一言書こう。

 気象レーダーは電磁波を放射し、大気中の雨粒や雪・雹などの結晶によって反射して返ってくる電磁波を分析することで、雨や雪
の位置と密度を観測している。

 原理的には、波長3〜10cmのパルス状のセンチメートル波を発射し、降水粒子で散乱される電波を受信し、戻るまでの
時間などを計測している。降水粒子の半径は1mm程度であり、レーリー散乱によるもので、探知可能距離は数十〜数百
km程度。気象庁の標準的な値としては探知範囲は300km程度であり、波長5.7cm、パルス幅2μsのものが利用されている。

 障害物があるとその影となる部分の観測がしづらいため、高い山の山頂などに設置されることが多い。
 1999年まで富士山頂で稼動していた富士山レーダーは最大で800km先まで観測が可能で、台風の観測などに大きな
役割を果たした。

 設備の規模が大きいため地上にしか設置されていなかったが、1990年代ごろから軽量化と小型化が進み、気象衛星にも
搭載できるようになった。気象衛星は観測範囲が広く、地上の障害物の影響を受けない利点がある。


気象レーダーへ行く場合
 車山山頂にそびえ立つ車山気象レーダー観測所。(残念ながら、内部は見学できない。)
山頂まではリフトで行けるし、また、山頂からの360度大パノラマも楽しめる。
 

日本の気象庁の気象レーダーの所在地は、下表の20個所である。
地点名 所在地 アンテナの
海抜高度(m)
地上から
の高さ(m)
周波数
(MHz)
札幌 北海道小樽市(毛無山) 749.0 49.0 5345.0
釧路 北海道釧路郡(昆布森) 121.5 24.0 5345.0
函館 北海道亀田郡(横津岳) 1141.7 30.4 5360.0
秋田 秋田県秋田市(秋田地方気象台) 55.3 49.8 5365.0
仙台 宮城県仙台市宮城野区(仙台管区気象台) 98.2 60.3 5345.0
新潟 新潟県新潟市西蒲区(弥彦山) 645.0 12.2 5345.0
長野 長野県茅野市(車山) 1937.1 12.4 5320.0
東京 千葉県柏市(気象大学校) 74.0 55.0 5357.5
静岡 静岡県菊川市(牧之原) 186.0 29.8 5300.0
名古屋 愛知県名古屋市千種区(名古屋地方気象台) 73.1 22.0 5360.0
福井 福井県坂井市(東尋坊) 106.9 27.0 5350.0
大阪 大阪府八尾市(高安山) 497.5 24.0 5350.0
松江 島根県松江市(三坂山) 553.0 20.5 5345.0
広島 広島県呉市(灰ヶ峯) 751.5 21.0 5360.0
室戸岬 高知県室戸市(室戸岬特別地域気象観測所) 198.9 13.9 5352.5
福岡 佐賀県神埼市(脊振山) 983.2 12.7 5365.0
種子島 鹿児島県熊毛郡(中種子) 290.5 9.5 5350.0
名瀬 鹿児島県奄美市(本茶峠) 318.8 24.7 5300.0
沖縄 沖縄県南城市(糸数) 208.2 21.8 5350.0
石垣島 沖縄県石垣市(於茂登岳) 533.5 17.5 5350.0
 
 気象庁のレーダーの配置図、長野県には茅野市の車山高原の山頂(標高1925m)にあり、日本最高の高さである。
 上の表で、車山のアンテナの海抜高度が1937mと山頂の標高より高いが、山頂の上に四角の建屋があり、その上に
気象レーダーが設置されているためである。
 元、富士山山頂にあった気象レーダーを車山に移設したのが始まりで、現在は最新式の装置に更新されている。 
 
 
2021年5月3日、天気も良かったので、
車山にある気象レーダーを見物に
行った。ここは安曇野市に移住した頃
何度かスキー(人工降雪)に出掛けた
所であるので、勝手は知っている。
自宅から安曇野市豊科にある長野自動
車道の安曇野インターから長野自動車
道に入り、岡谷JCTで中央自動車道に
入り、「諏訪・茅野インターで降り、20号
国道でしばらく行くと茅野市内に入る。
そこからビーナスラインを通り、途中から
国道152号線(大門街道)に左折する。
そこを一気に登ると、白樺湖に出る。
ここでビーナスラインに合流し、少し登る
と車山高原に出る。

左の写真は車山高原に向かうビーナス
ラインから見た白樺湖と奥の山は八ヶ岳
連峰の最北端の蓼科山(標高2530m)
である。残念ながら登ったことは無い。
   
  白樺湖をアップした写真。
奥に大型遊園地やホテル群が見える。 
   
   車山高原に登るビーナスラインから
八ヶ岳連峰が見える。

 真ん中一番奥が八ヶ岳連峰の主峰
「赤岳(標高2899m)」である。
 そのすぐ右手前の山は、阿弥陀岳
(標高2805m)で、現役時代、一人
登山で、原村の美濃戸高原から赤岳
登山の時、経由した山である。

 大学2年生の夏休み、3名で小海線・
松原湖から入り、山小屋2泊3日で 、
本沢温泉→夏沢峠→硫黄岳→横岳→
赤岳→権現岳→三ツ頭→小海線・甲斐
小泉駅のコースで初めて高山を縦走し
た懐かしい峰々である。これが僕を高山
登山のとりこにしたのである。
   
   車山高原の駐車場は、車で溢れて
いた。長野県ナンバーの車は少なく、
殆どは関東圏、中部圏、関西圏の車
だった。
 コロナ禍で長野県は、「他県に出かけ
るな、他県の車は来ないでほしい」と全
県で知事も盛んに言っていて、多くの
高速道路の電光掲示板にも「今は長野
県に来ないでくださいー知事」と注意表
示が出ているが、殆ど反応がなく、駐車
場は他県の車やバイクで満車状態で
ある。
 全く若者の行動は「イライラ」している
のでこのような行動に出るのだろうが、
頭にくる。イライラしたバイクの仲間が
高速道路の走行で、ジグザグ運転を何
度も見てしまったが、残念である。 
   
   車山山頂に日本一標高の高い気象
レーダーがあるので、それを見物するの
が目的のドライブであるが、車山の駐車
場のある標高1600mから上には、登山
かリフトで登るしかない。
 山頂までリフトを2本乗り継いで行くが
往復で4回乗るので、その料金は、
2,400円だった。 
   
   車山高原の最高地点の「車山」山頂
にドーム状の建物がある。ここまでは、
リフトを降りてから階段道路を100段位
登った所。
   
   四角い建物の上に乗っている球形の
物体(ドーム)の中に気象レーダーが
入っている。高さ日本一。 
   
   パラボラアンテナを見学することは
出来なかった。これは資料からコピー
したアンテナの裏面から写した一部。 
   
   車山気象レーダー観測所の説明文。
   
   車山山頂(標高1925m)。
気温4℃で手袋を履かなかったので、
指が痺れるような寒さだった。

   
   下りのリフトで駐車場に降りる。

 帰りは同じ道でなく、ビーナスラインで
霧ケ峰高原まで行き、ここから県道40
号線で諏訪市に降りた。ジグザグ道で
の非常に危険をはらんだ道だった。

 岡谷ICから長野自動車道で、「安曇野
IC」に降り帰宅した。コロナ蔓延中、少し
ばかり気分転換ができたドライブだった。

 僕は長野県在住であるので、県内の
ドライブに制限はない。
  
   車山高原はウインターシーズンには、
スキー場になる。人工降雪ではあるが、
長野県で一番早くオープンされるので、
来シーズンに一度滑りに行って見よう。

 安曇野に移住したばかりの頃、車山高
原のホテルに年末に泊まり、スキー場で
滑ったことを思い出した。
 
   霧ケ峰高原からビーナスラインで美ヶ原
高原の分岐点に多数の大型バイクが、
止まっていたが、ほとんどすべてが他県
からツーリングに来た者だった。長野県
は「他県から観光に来ないで」運動をして
いるが、若者は何を考えているのか、困っ
たものである。
 
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