地球温暖化についての私見

掲載日2009年3月26日              竹内英晃

 (2008年7月1日、級友宛発信文を一部修正) 
 地球温暖化についての皆様のメールを拝見し、私もご意見「地球温暖化は人間の排出する二酸化炭素が主因」を疑問とするご意見」に賛成なので、その他の事項と併せて見解を述べさせて頂きます。丸山先生の著書「地球温暖化論に騙されるな!」は現在注文中で未だ読んでいません。

 私は1988年IPCC(気候変動に関する政府間パネル)がスタートした頃、電源開発鰍ナ新エネルギーの研究開発を担当しており、その頃のIPCCの情報をフォローしておりました。当時は未だ二酸化炭素の濃度の歴史的推移や地球の気温の上昇トレンドのデーターが乏しく,二酸化炭素による温室効果の定量的予測はありませんでした。
 ただ、当時は化石燃料の大量消費によって地球上に存在する二酸化炭素の総量が漸増する事は紛れも無い事実で、何十年か後には地球上の石油資源が枯渇する事が確実視され、太古に地球上の生物が溜め込んだ可燃炭素をあらかた消費してしまう事が危惧されていました。
 そんな事に併せて二酸化炭素ガスを主体とする温室効果ガスによる地球温暖化が重要問題とされ、1997年に至って京都議定書によって二酸化炭素削減が方策が世界的に合意されたのだと思います。
 その後気温や二酸化炭素濃度がきめ細かい測定、スーパーコンピューターを用いた「地球シミュレーター」による詳細な予測シミュレーション計算が実施され2007年末にIPCC第4次報告で将来の温暖化はほぼ間違いないとの結論が出されました。
 2008年6月1日に朝日新聞社に、東大の木本教授の講演を聞きに行きました。木本先生は、IPCCの下で上記の「地球シミュレーター」を実施された方で、当日はシミュレーターの中身の説明はありませんでしたが、シミュレーションの計算結果によって第4次報告がなされたものであることを説明されました。(添付 08年6月11日付朝日新聞 講演概要 参照)

木本昌秀東大教授 08年6月11日付朝日新聞 講演概要


 上記に関する私の見解及び疑問は下記のとおりです。

@ 現在、地球温度の上昇と二酸化炭素ガス濃度の上昇傾向にある事ついては否定しょうもない事実と言わざるを得ないと認めざるを得ません。

A 大気中の二酸化炭素ガスの濃度は体積比で0.038%(=380ppm 2005年現在)程度であり現在増加の傾向は認められるが1年当たり1.9ppm程度である。この様な微少成分の変化が温室効果に影響しているとは俄には信じ難い。(数値はICPP第4次報告書)

B 大気中の二酸化炭素ガスの濃度は、人間が排出するものの他、海洋による吸収排出現象が太古からの二酸化炭素ガス濃度の更なる上昇低下の原因とされており、その明確なメカニズムは未解明である。この事から現在ある二酸化炭素ガス濃度上昇は海洋の吸収排出が主因とした動きかも知れない。

C 上記の「地球シミュレーター」は、将来の二酸化炭素ガス濃度や大気温度の上昇を予想するため海流、海水温度分布,更に大気の流動、温度等をシミュレーションに取り入れたものであると推定されるが、木本先生の講演でも必ずしも自信に溢れたものと言うニュアンスではなかった。反対意見も結構多いと言われていた。(IPCCでの4千人の科学者の同意が拠り所とされていた。)

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(2009年3月20日現在,その後の勉強から得られた見解)

 上記の発信を行った直後(昨年7月)、西脇邦博氏から紹介された東工大 丸山茂徳教授の本「地球温暖化論に騙されるな」を手に入れ勉強させてもらいました。また本年2月には斉藤清氏から「資源・エネルギー学会」の学会誌1月号掲載のインターネット討論「地球温暖化:::その科学的真実を問う」を紹介され、資料をインターネットで取得出来たのでこちらも読ませてもらいました。これ等の資料から IPCCの第4次報告書に対して、疑問を持たれる方々が沢山居られ事を知りました。

 以上を踏まえて現時点で私が地球温暖化問題について、私が感じている考えを以下に取り纏てみました。

@   丸山教授によれば、IPCCの報告書では、僅かな二酸化炭素ガスの増加が僅かな温度上昇をもたらし、それが温暖化ガスとして最も割合が高い水蒸気を増加させ、加速度的に地球の温度を高めて行くとした理論構成を行っている。第4次報告書では、その考えを前提にしてシミュレーション計算を行った結果として、2100年には最悪で6.4度C気温が上昇すると報告書は予言している。

A このIPCCの理論に対し、過去の気温と二酸化炭素ガス濃度の変動状況を分析してみると気温の上昇に対して二酸化炭素ガス濃度の推移は数ヶ月の後れがあると言うデータがある。これは何等かの別の原因で気温上昇が起こり、海洋からの二酸化炭素ガスの放出等により濃度の増加が追随していると言えるのではないか。

B IPCCのシミュレーションでは、水蒸気が雲になるメカニズムの採り入れが理論的に困難のため雲の気温に対する影響度は無視され雲の量は一定として計算している。雲の量の多い少ないは、雲が太陽光を遮ることから地球表面の温度に大きな影響を及ぼすと考えられるので、これを無視するのは拙速ではないだろうか。

C  地球上の気象状況の地域的偏在不均一性は無視できないのではないか。例えばエルニーニョやラニーニャの現象についても、IPCCではマクロでシミュレーションを行うため計算手法上無視されているらしい。

D  1940年〜1975年の期間はそれ以前及び以後の年代に比べ寒冷の年代であったのに、この期間の寒冷の出現理由をICPPでは説明していない。

  以上は丸山教授の著書及び「資源・エネルギー学会」の資料の受け売りですが、私が以前から山勘で二酸化炭素ガ   スが地球温暖化の主犯説に疑問を抱いていた事に対する一応の回答になっているのではないかと思っています。

丸山教授の著書の後半では地球の温度変動の要因として、太陽表面活動の変化(太陽黒点の発生度合いの周期的変化)、地球磁場の変化による宇宙線の強さの変化が雲の量の変化をもたらす可能性、地球と太陽の距離の変化や地軸の角度の変化等を地球の温度変化をもたらす要因として揚げておられ、21世紀にはこれ等から寒冷化に向かうとと結論付けておられます。

また「資源エネルギー学会」の資料に於いてもアラスカ大名誉教授 赤祖父俊一氏も1400年からの地球の温度変化が自然要因の周期変動(30年〜50年周期)等により近い将来温暖化が止まることを示唆しておられます。
 この寒冷化に向かうという主張についても、私としては充分納得した訳ではなく、懐疑的に考えているのが現状です。四十何億年の地球の歴史の中で一瞬に過ぎないと言える短期間のトレンドで二酸化炭素ガス主犯説を唱える前に、それ以外の「もっと別の未知の要因に支配されて温暖化が進行中である」という事ではないかと思われてなりません。私は今後も温暖化は更に続くのではないかと考えています。これは充分な根拠がある訳ではなく、私のカンピューターが言っている事に過ぎないのですが。

また、「資源・エネルギー学会」の資料でIPCCの報告書を気象庁で翻訳された資料が存在しインタ―ネットで取得出来る事を知りました。ボリュームも大きいので時間がかかると思いますが、今後原点に立ち返ってこれの勉強をしてみようと考えています。

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