「もんじゅ」の廃炉と懲りない面々
 
掲載日2017年1月19日          斉藤 清 
 
 信濃毎日新聞一面の下段に連載の「斜面」の昨年12月23日号の記事に、「懲りない面々」という記事が
掲載されていた。そのなかに、同類項として「もんじゅの廃炉と懲りない面々」の記事が掲載されていた。
 その記事が下記である。
 
 
 「高速増殖原型炉・もんじゅ」は、1兆円にも及ぶ税金を使って建設されたが、炉の冷却材として、原発では
水を使っているが、「もんじゅ」は高温にして液体化したナトリュームを使っている。このナトリュームは空気に
触れるだけで燃え、更に水と反応すると爆発的に燃焼する扱いにくい物質である。
 ドイツやフランスでも「もんじゅ」と似た「高速増殖原型炉」を開発していたが、とうの昔に廃炉にしていた。
 日本の組織では、一旦ゴーを掛けた開発は、技術的に難しくても、経済性が無いことが分かっていても、
中止せずにだらだらとやり続けるのが、まかり通っている。前に「磁気浮上式の磁気浮上式リニアモーター
駆動中央新幹線の問題点」
をこのHPに掲載したことがあるが、いよいよ南アルプスに長大トンネルの掘削
が始められようとしている。こちらも技術的な難しさと経済性から、全く同じような問題をはらんだまま進行中
である。

 「もんじゅ」の廃炉は決まったが、高速増殖炉の開発の継続が非公開で決められた。新しい方式の具体的
な設計もまだ全くなされておらず、その安全性については、当然のことながら全く検討もできていないのにで
ある。

 地元、福井県知事のコメントにもあきれている。「高速増殖炉の早期運転開始か、できなければ実験だけ
でも早期に開始していただきたい」と言う内容である。要するに知事としては、県に入る固定資産税などが
無くなることと、そこでの雇用が無くなることを心配しているだけなのである。 

 僕は、一昨年の3月、北陸新幹線の開業した3月14日の4日後の3月18日、北陸新幹線で金沢見物もあ
ったが、福井県の原発を見学するのも目的の一つだった。
 金沢で北陸新幹線から大阪行きの特急に乗り換え、敦賀で下車し、レンタカー(僕は免許が無いので妻が
運転)に乗り、敦賀半島の西側の美浜町丹生に立地する関西電力の美浜原発(1970年竣工)→半島の西
側先端部の敦賀市白木に立地する日本原子力研究開発機構の「もんじゅ」(1970年竣工)と、半島の東側
先端の敦賀市浦底に立地する日本原子力発電(株)・敦賀原発を見学するためだった。
 敦賀半島には、7基の原発が稼働(現在はすべて停止中)しているので、「原発半島」と揶揄されている。
 
   
関西電力美浜原子力発電所のすぐ手前に
原子力PR館があった。
開館中だったので、見学した。
関西電力はすべての原発が、加圧水型であるが、
東京電力の沸騰水型より、いかに安全性が高いか
を説明していた。都合のよい所を取り出して説明して
いるように思えた。装置がより複雑で、配管の数も
多いので、耐震的に必ずしも沸騰水型より安全と
言えるかは???と思った。 
   
   
人家や生活活動場所からこんなに近い所に、美浜原発は立地している。

僕が現役時代住んでいた日立市やひたちなか市の間に挟まれている東海村に立地している
東海第2原発も、太平洋に面しているが、すぐ近くを国道245号線が通り、多数の人家がある。
東海原発が、福島第一原発と同様の事故を起こしたら、人口密集地域であるから、
その被害は福島原発の何十倍にもなると思われる。(東海第2原発は、現在運転停止中である。) 
 
 
美浜原子力発電所には、3基の原発があるが、これは第3号機で美浜原発の中では最大出力。
美浜原発の1号機と2号機は、関西電力が稼働停止処分にしたと思う。3号機も停止中である。
500kV送電鉄塔が2つあり、それぞれ2回線送電線だから、合計4回線で関西地区へ送電している。 
 
美浜原発を後にして、敦賀半島の西岸の道路を北上して10分で、半島の先端にある、日本原子力研究
開発機構の「もんじゅ」のゲートが見えてきた。しかし「もんじゅ」は全く見ることが出来なかった。
多分、ゲートから下に降りた海岸のすぐ近くに立地しているのだろう。 
 
「もんじゅ」のゲートを車の中から1枚撮影したら、守衛が慌てた様子で、こちらの車に走ってきた。
そして「ここは撮影禁止区域だ、今、写真を撮っただろう。今、目の前でその写真を削除しろ」と言われた。
突然のことでびっくり仰天した僕は、言われるままに写真を削除した。守衛が自分でもそれを確認した。
ゲートまで20m以上離れたところで撮影したので、ゲートの近くにもしかして撮影禁止の標識があったかも
知れないが、それは見えなかった。仮に見えても、発電所構内は撮影禁止かもしれないが、ゲートも撮影
禁止なのか、後で考えると???である。あの時もっと冷静になって、守衛と話し合うべきだったと後悔して
いる。「すぐ出て行け」と言われたので、立ち去った。いかにも上から目線の守衛の横柄な態度に、
後から腹が立ってきたのだった。「もんじゅ」の研究者も役所人間なので、「もんじゅ」の開発は中止した
が、新しい高速増殖炉の研究を諦めないのだろう。そして国民の税金の無駄遣いが継続されるのだ。 
 
 従って、「もんじゅ」見学の証拠写真は無いのである。
 
 今来た道を南下し、更に10分位進むと、敦賀半島の東側の海岸道路に出る分岐があった。そこを通って
東海岸に出て、北上すること約10分で、原電敦賀原子力発電所が見えてきた。ここにも原発のPR館が
あるが、閉館中だった。したがって、道路から見た原発の写真を撮っただけで終わった。
 
 
 原電・敦賀原子力発電所を、構外の道路から一枚撮っただけで帰路に就いた。
ここには1号機の沸騰水型原子炉(発電出力36万kW)と、2号機の加圧水型原子炉
(発電出力116万kW)の2基が設置されているが、いずれも運転停止中である。
 
   
敦賀半島の東側の敦賀湾は、
大きな漁場である。 
敦賀湾のきれいな砂浜。
これらを原発事故で汚染させることが
無いように願うばかりである。 
 
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