家庭用電力料金の推移

掲載日 2008年7月13日                斉藤清

 筆者の家はオール電化住宅のため、中部電力の3時間帯別契約電力を使用している。「オール電化住宅が3時間帯別契約をすると、深夜電力(ナイトタイム電力)が一般従量契約の月使用電力量(301kW以上使用として)の約1/3と大変お徳になっています。」という宣伝でオール電化住宅を増やしてきたのは、電力会社の戦略であった。

 原子力発電所がどんどん建設され、しかし原子力発電は電気出力の細かい制御が苦手であるため、その対策として建設コストの莫大に掛かる揚水発電所を作り、夜間の余った電力を上部ダムにポンプで汲み上げ、昼間の電力ピーク時にその水をダムから落として水力発電して需給のバランスを取っている。しかしこの揚水発電は膨大な建設コストが掛かるだけでなく、せっかく原子力発電で作った電力の内約35%が揚水発電システムのため、無駄になって地球の温暖化に寄与しているのである。(このことは別の機会にHPに掲載する。)

 下に3時間帯別契約電力料金単価と一般従量契約電力料金単価を纏めたが、平成17年1月、平成18年4月に続いて、平成20年4月に単価の変更が行われている。

 一般従量契約の場合、121〜300kWHで、平成17年1月より平成20年4月からは6%の値上げになったが、3時間帯別契約では一番電力消費の多いナイトタイム(深夜電力)が23%もの大幅値上げになった。3時間帯別契約の場合、平成18年4月からはあまり消費電力の多くないデイタイムとホームタイムの単価をほんの少し引き下げ、深夜電力を8%値上げしたのは、深夜電力を大幅に値上げするための伏線だったと思わざるを得ない。

 電力会社では現在も盛んにエコキュートなどどいう深夜電力を使った省エネ型電気温水器システムを盛んにPRしているが、深夜電力が一般契約の301kWH/月以上の単価の1/2.8から1/2.4に低下したのでは、魅力がかなり低下してしまう。電力会社は石油の異常高騰からまたごく近い将来、電力料金の大幅値上げを目論んでいるらしいが、このしわ寄せが深夜電力料金単価に集中することを心配している。 

(注記)一般従量契約の例えば121〜300kWとあるのは、121〜300kWHが正しい。

 平成19年1月から12月までの一年分の平均月額電気料金は13,186円だった。(実際は当時の一時期、燃料費調整額がこの料金に更に上乗せされていたので、14,073円支払った。
 平成20年の平均電力使用量が仮に平成19年と全ての時間帯に亘って同一と仮定した場合、その電気料金は14,393円になり、9.2%の値上げになる事になる。この最大の理由は、深夜電力の単価が大幅に上昇したことである。
 平成20年は石油輸入価格暴騰で更に値上げされる惧れがあり、心配である。

基本料金 デイタイム ホームタイム ナイトタイム オール電化割引 合計料金
平成19年 2,100 61kWHx30.46
=1,858
189kWHx20.31
=3,838
839kWHx8.17
=6,854
-1,464 13,186円/月
平成20年
(使用料は同じと仮
定して試算した。)
2,100 61kWHx31.43
=1,917
189kWHx21.23
=4,012
839kWHx9.23
=7,828
-1,464 14,393円/月

 日本では、地球温暖化対策として一般家庭の省エネをどのように指導しようとしているのであろうか?効率のはなはだ悪い揚水発電などの無駄な電力消費(地球を暖めるだけ)を進めるのでなく、深夜の余った電力を消費地で有効に消費する方策を積極的に進めるべきではないのか。その方策として有効なのが単価の安い深夜電力を家庭にどんどん普及させることではないかと思う。電力会社はまだあまり普及していない従って利用者の少ない、あまり文句が出ない深夜電力利用者の電気代を大幅アップして、石油価格異常上昇の帳尻をあわせる魂胆なのかと懸念するものである。

 ドイツは世界一太陽光発電が普及しているが、太陽光発電のパネルの生産量は日本が世界一である。なぜドイツでは太陽光発電が普及しているかといえば、国策として温暖化ガスの低減に積極的であり、温暖化ガスの出ない太陽光発電を支援しているのである。設備導入時の補助金が非常に多く出て、家庭でも設置しやすい環境が出来ていること、太陽光発電で家庭で余った電力は、電力会社から買う電力料金の2倍以上で買い上げてくれるなどの優遇策をとっているからである。

 日本も国策として家庭の省エネ対策を積極的に行っていかなければ、全消費エネルギーの約30%を使っている家庭が寄与している地球温暖化ガスの排出量が減らない。もっと深夜電力を家庭で使いやすいような助成策が必要であると思うものである。
 先日、洞爺湖で開催されたサミットで、2050年に温室効果ガス(CO2など)を現在の50%以下にすることで合意??をみたそうだが、全く絵空事のように思えてならない。

 深夜電力の家庭での利用の促進と、太陽光発電の家庭への導入支援を積極的に行うべきと思う。最近、特に真夏の昼間が最大電力消費の時間帯になり、これに高校野球が重なると、TVの使用電力が急上昇して、電力会社は保存ができない電力の需給対策に頭を痛めているが、真夏の昼間で全国高校野球大会のある晴れた日は、最も太陽光発電の発電量が多くなる時間帯でもある。各家庭で安く太陽光発電装置を導入できれば、効果が絶大ではないだろうか。これが効果を上げるようになれば、揚水発電所などをこれ以上建設しなくても済むのではないだろうか!!。

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