城が島黒島堤防の夜釣り(2004年6月16日)
 今年の梅雨は陽性型とか男性的とか言われ雨が振るとどしゃぶりだが、晴れるとカラッとした快適な日が続く。そこで梅雨の中休みという予報が続いた6月中旬の16日から17日にかけて釣友の藤田氏とその友人の佐野氏を連れ立って念願の夜通しの堤防釣りに出掛けた。

 場所は事前に下見をしておいた城ケ島の黒島堤防である。ここは新潟鉄工と呼ばれる工場がすぐ脇にある便利なところでマイカーをすぐ近くまで乗り入れることができ、バーベキューや簡易型テーブルセットを出してのんびりと堤防釣りを楽しめる好ポイントだ。
 黒島堤防の突き当たりにクルマを止めて支度を始めたのは午後5時過ぎ。まだ当たりは明るく釣りを始める前にバーベキューコンロをセットし、炭火焼きができる準備を進めた。
 夕方5時30分を過ぎると釣り人の数も減り潮も満潮時間午後5時4分を回っていたのでそろそろ釣りを開始。

 釣り方は筆者も藤田氏も投げ釣りが得意で好きということでそれぞれ思い思いの方向に仕掛けを投入した。
夕焼け好きの佐野氏は、日が沈む前から酒盛りを始め、釣りは傍観者に徹する。バーベキューの準備は遅々として進まず。
 潮の流れは強くはなく、右から左方向に流れていた。正面に投入した仕掛けがわずかに左方向に流されるため、「下げ潮が効きだしたかな」と思った頃にアタリが出た。早合わせは良くないと考えて、一度竿を置き酒を飲み始めて約5分たってリールを巻き始めた。上がってきたのは待望のシロギス。付けエサは夜釣りの万能エサとして知られるアオイソメ。投げ釣りとしても効果的だ。竿を思いきり振り切ってもよほど弱っていない限りちぎれることはない。しかも海中で光ってくれるため魚へのアピール度が高い。仕掛けは市販の投げ釣り仕掛けでハリスは2号の2本針仕様。
 釣れたシロギスはウロコと内臓を取り出し早速鉄板の上で塩焼きにして食べたが、釣りたてだけに美味であった。全長は約17cm。次に筆者が釣ったのもまたシロギス。午後7時を少し回っていたが、シロギスは夜釣りでも十分釣れる魚であると確信を持った。潮もまだ適度に流れていて風もなくなりベタ凪状態が続いた。投入ポイントは4色プラス力糸(テーパーライイン)だから約120m。海底はほぼ砂地で所々に起伏があり、リールを巻く力に抵抗が加わる。そうしたポイントで少しアタリを待つのが得策である。基本的にのんびりとした置竿で構わない。ただし、定期的にリールを巻いてポイントを移動させないとヒトデにエサを喰われてしまうので要注意。
 とはいえ、完全に日が暮れてからはヒトデのエサ取りは皆無。代わって藤田氏が何やら竿先を大きく曲げてサザエの殻を引き上げた。なんと中にヤドカリが入っていたのには驚き。
 せっかくなので壷焼きにして食したが醤油と磯の香りで絶好の酒の肴になってくれた。

 釣ったものを食べて楽しむという釣りを満喫するのも堤防釣りの「正しい楽しみ方」のひとつだろう。ゲテもの喰いの傾向はあるが。
釣友の藤田氏は、久々の投げ釣りで遠投を楽しむが、なぜかシロギス仕掛けにサザエややどかりが入った貝殻を釣り上げてしまう。
 とはいっても流石に次に釣り上げた体長約40cm弱のアナゴは無理。調理道具と腕に自信がないので翌日自宅に持ち帰ることにし氷の入ったクーラーの中にしまった。午後9時を回った頃にはアタリが減りだしたので再び酒を飲みだして釣り竿を置竿にして交代で仮眠をとることに。さすがに午後11時を過ぎるとエサも取られなくなりアタリは激減した。
 翌朝、午前5時過ぎから再びを投げ竿を振り出した藤田氏は今度はなんと本物のサザエを釣り上げた。

 昨晩のヤドカリ付きサザエにも驚いたが、ここはサザエの密集地なのかもしれない。

  特に岸壁から約20m先は岩礁帯に海草が繁茂しているらしい。だから手前20mからはリールを素早く巻かないと根がかりしてしまうので要注意だ。
白灯台のある人気釣り場では、夕方まで釣人が多く、サビキ釣りでアジやイワシ、良型のカワハギも釣れていた。潮通しの良い好ポイントである。
  総体的に筆者の釣り座は左端(金網側)でほとんど根がかりはなかった。一方、筆者の右側はやや根が点在していて手前は前述した通りサザエなどの貝類が棲息する岩礁帯が続いているようだ。
 午前9時過ぎに納竿したが、その直前に藤田氏がまたまたハプニング。

 釣れたハゼを生きエサにマゴチでも狙うかといって付けた仕掛けに掛かってきたのが極小のダボハゼ。

 まるでアユの友釣りではないが、ハゼの友釣りを実践して見せてくれた。全長8cm前後。
足場が良くて、しかも後方が広い場所だから4.2メートルの投げ竿を思いきり振れる。風も弱くなり絶好の夜釣りを予感させる日であったのだが。
 これを最後に道具を片付けて城ケ島を後にした。夕焼け愛好家の佐野氏は飲酒中心の楽しみ方だが、「季節的に最も夜釣り(酒)が楽しめる時期だね」と感慨深げにカメラのシャッターを押していた。3人でのんぴりとバーベキューを愉しみながら夜の堤防釣りを満喫できたことは言うまでもない。釣果を写真に撮る前に捌いて食べてしまったことをお詫びします。
                上記の原稿内容は月刊磯・投げ情報9月号(2004年)に掲載された。



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