島吉丸のワラサ釣り(葉山沖)2003年10月10日
イナダの兄貴分にあたるワラサを狙って片瀬江ノ島の島吉丸を訪れたのは10月10日(金曜日)。今年は剣崎沖の松輪瀬よりも葉山沖のカメギ根にワラサが集結しているという情報は入手していた。
数年前にワラサフィーバーが過熱した年には剣崎でボウズ、初島沖でバラシ、下田沖神子元島まで出向いてダメだった記憶がよみがえった。だがあの強烈な引き味と釣り上げた時の感動は今でも忘れない。

3日前から吹き続いた北東の風がやっと静まりそうだということで釣行を決定。
 当日の天候は曇天ながら北東風は前日より若干弱まって期待がもてた。
筆者の釣り座は左舷ミヨシから3番目であった。川崎船長の操船で午前6時に岸払いとなった。
一路葉山沖のカメギ(亀城)根を目指して約15分の航行。現地での僚船の数は半端
ではなかった。今年のワラサの人気ぶりが見て取れた。ワラサ船団の仲間入りをは
たすと投入開始の合図が船長から出された。
「水深は72mでハリス分プラス3〜5mでやってみて」。
朝一番が最もヒットする確率が高いため慎重に仕掛けを投入。80号のサニービシ
に2.8mm径のクッションゴムを天秤を介して接続。仕掛けは船宿で渡された専用
のものを使った。ハリス8号の6m。ハリはラマサ針12号。
エサのオキアミは一匹掛け。タックルは中通しの3.1mワラサ用振出し式に電動リールを使用した。

水深が約70mと深いこととコマセの入替えなど手返しを速くするためには手巻きリールよりも有利であることは間違いない。
 釣り方は基本的にマダイ釣りと変わらない。底まで仕掛けを沈めたらハリスが馴染むまで5秒待ってからゆっくりと竿を煽りながらコマセを振って3mで1回、次の3mでも1回、最後の3mでも1回で都合3回のコマセを振出して支持ダナで待つ。大切なのはビシが海底についてから道糸を徐々に巻き上げる時に道糸のマーカーを必ずみながらキッチリと正確なタナ取りをすること。水深計付きリールのカウンターを見てはいけない。またビシのコマセの出し具合は潮の強弱によっても多少異なるが、当日は上部を全開。下部を全閉で終日釣ることに決めた。
最初のアタリが来たのは2投目。フワッと糸フケが出た次の瞬間一気に竿先が海面に突き刺さった。
 強烈な引き込みと同時にドラグを滑らせて出て行く道糸を左手の親指でスプール脇を抑えつつ、竿を立る。
 下腹に竿尻を当てて魚の頭がこっちに向いた瞬間に巻けるだけの道糸を巻く。巻くとまた走られて道糸が出て行く。その繰り返しが数分間続くが、絶対に魚と綱引きをしてはいけない。
 魚が海底に頭を向けて突進しているときにはリールを巻かず竿の弾力でためる。堪えると表現した方が適切かもしれない。ただし、穂先が目線よりも下にならないように維持したい。途中で何度も強い引き込みが訪れるが、無理に道糸の出方を止めない方が良い。目安としては穂先が.海中に突き刺さる最強時に3m弱までとするが、ワラサのサイズによって異なるのであくまで目安と考えて欲しい。
2匹目がヒットしたのは午前6時50分頃。1尾目から約30分が経過してからだ。

1匹目を無事船内に取り込んでいる安心感もあってタモ取りをしてくれる助手の人と雑談をしながら強引を堪能。この時仕掛けを交換していたことを助手の人に誉められた。理由は簡単。実は1尾目のハリが口にガッチリと掛かっていて外せなかったので同じ8号ハリスの市販仕掛けに交換しただけ。それが効を奏して無事2尾目も取り込めた。

 だが、両隣の釣り人の道糸と絡んでいたことは言うまでもない。水深約60mから浮かせてくるのだから絡まないで取り込むのは不可能と思った方がいい。取り込みには必ず助手の人がタモ取りしてくれるのでその支持に従うこと。
 その後午前8時30分を過ぎるとパッタリとアタリが遠のいた。周囲でも時折外道とは呼べない1kg級のメジマグロが釣れる。
 
 船長のメジの支持ダナは30m前後だったが、左隣の鈴木さんは「ワラサと同じ60m位で釣れましたけど」とケロッとしている。回遊魚だけに活性が高い日の喰いダナは幅広いということだ。
 最後のクライマックスは沖揚がり15分前に訪れた。 まさにこれぞワラサのアタリといった感じ。竿を突然ガツンと引っ叩く感覚に近い。ロッドキーパーにセットした穂先が本当に海中に潜ってしまったかのような刺激的で暴力的な引きを楽しめた。

実はもう今日は「釣れないだろう」というムードが船中に漂っていたため、気が弛んでいたのかもしれない。すでに筋肉痛を感じつつやっと取り込んでホッと息をついた直後に沖揚がりとなった。午後12時45分頃であった。
 釣り上げたワラサは3本とも全長68〜70cmで体重は3.9〜4.2kgとほぼ同じであった。
釣場速報(釣り新聞)掲載