五エム丸のイワシメバル釣り
(真名瀬港)
 期間限定と聞くとすぐに反応してしまう釣り人は多い。特に釣趣を重視した釣りモノになると「なんとしてでも行かなくては」となる。生きイワシをエサにしたメバル釣りはまさにその典型といえる。
 
 お世話になったのは芝崎の真名瀬港から出る五エム丸。3月2日は珍しく風のない凪ぎ日和。メバル釣りには最適だ。乗り込んだのは筆者を含めて3人だけ。左舷ミヨシに釣り座を構えて支度をしていると、午前7時30分の定刻よりも少し早く岸払い。 
 最初は葉山沖で第一投。だがアタリのないまますぐに亀城根に移動した。メバルの活性が高まったのは移動後間もなくたってからだ。水深は浅いところで約5m。深くても20m弱といったところ。

場所によっては海底の根が黒く見え砂地帯の白い部分と判別ができるほどの水深である。
タックルはイワシメバル専用の3m軟調竿に小型両軸リール。PE2号の道糸を使い、ハリス1号50cmの2本針。オモリは15号。付けエサは船のイケスで泳いでいる8cm前後のシコイワシを使う。バケツに5匹ほど泳がせて生きたままハリに刺すのだが、普段生きエサなど使ったことのない人にはなかなかうまく下顎に刺さらない。素早く刺して海中に落とし込めばすぐにアタリが出ると分かっていると余計に焦ってしまう。
ところが、簡単には針掛かりしないのだ。竿先がギュギューンと曲がり、軟調竿が満月状態に近付いてからゆっくりと.聞き合わせをしながらリールを巻き上げる。この瞬間こそがイワシメバル釣りの醍醐味である。
 
 たかがメバルだが、ライト泳がせ釣りとも言えるイワシメバルの釣趣は別格だ。
当日は朝9時頃まではアタリが頻繁にあってそこそこ針掛かりも良く楽しめたのだが、その後が悪い。

クンクンと穂先は曲がり明らかにメバルだと分かるのだが、食い込まない。イワシの頭だけが残ったりイカにかじられたりしてなかなか針掛かりしない。
 それでも左隣に座ってのんびりと竿を構えていた逗子市の河村さんはベテランらしく器用に良型メバルを釣り上げる。
 
 しかも追い喰いをさせて一荷で釣り上げるのだから熟練者とすぐに分かった。右舷ミヨシに釣り座を構えた立川市の有馬さんも軟調竿を巧みに操ってコンスタントに体長20cm超を外道のカサゴ混じりで抜き上げている。
 筆者はなかなか針掛かりしないことに痺れを切らしてついつい低いタナを探ってしまう。
アタリがあっても竿先は下げずに逆にわずかに上へ聞きあげる感覚で持ち上げた方が良いのは知っているつもりだが、すぐに根がかりしてしまう。

 ハリスが切れる程度ならまだ我慢できるのだが、午後からは立て続けにオモリごと仕掛けをすべて持って行かれること3回。釣り方としてオモリが着底したら1mは底を切ってアタリを待つのがこの釣りのセオリーだ。
 嬉しかったのは水深20m弱のポイントで何やら魚ではないアタリに気付いてゆっくりと巻き上げると胴長40cmオーバーの大ヤリイカがイワシをくわえて海面に姿を現わした時だ。

船長のタモに無事収まったが、イワシメバル釣りでは時々ヤリイカが外道に掛かると聞い
てビックリ。外道はカサゴかベラだけと思ったら大間違いである。
 結局、本命のメバルは10尾でカサゴは4尾(1尾リリース)、そして巨大ヤリイカという釣
果に終った。
 教訓として言えることは根がきついポイントでは1mの底上げでは足りない場合が多いこと。ハリス切れに備えて仕掛けの予備は5組みは欲しい。またハリス付ハリ(ヤマメ針9号前後)を準備しておくこと。活性が低い時間帯は竿をあまり頻繁に動かさないこと。
 
 イワシメバルのストレスは沖メバルで解消するつもりである。
釣場速報(釣り新聞)掲載