常丸のアマダイリレー(真鶴・福浦港)
2008年1月5日
新春初釣りはやっぱり赤い魚で膳を彩りたいと願う釣り人は多いはず。
 特に年末にゲットできなかった人は再度挑戦したいと考えるだろう。
 ただ初釣りからボウズのリスクのあるマダイだけではチト不安がよぎる。
 そこでアマダイとのリレーを楽しめる船宿があるというので1月5日、真鶴福浦港の常丸にお邪魔した。
 出船は午前6時。だが、予定していた釣り客3人がなんとリーダー役の人が前日に入院したとのことでキャンセル。結局、午前6時30分に相模原の興津さんと2人で初釣りにトライすることに。
 当日の天候は曇天だが風のない穏やかな凪でほとんど揺れを感じることなく13分前後のクルージングで最初のポイントに到着した。湯河原海浜公園の真沖だ。鈴木常夫船長の指示ダナは65m。マダイ狙いでスタートである。指示ダナより6mほど80号ビシを沈めてから3回に分けてオキアミコマセを振り出して指示ダナに合わせる。
 東の空を太陽がオレンジ色に染め、初釣りのスタートだ。運良くマダイがヒットすれば今年1年の釣り運は間違いなく最高となるはずだった。
 しかし、幾度となくコマセを詰め替え、手返しを早めても付けエサのオキアミがそのまま戻ってくる状態では、釣り人側のテンションも下がってしまう。
 案の定、潮がまったく動いていないようだ。
 そんな悪条件の中、左舷胴の間に釣り座を構えた興津さんは終始竿を手に持ち、誘いをかけていた。その効果が出たのか午前7時30分頃、ムーチングロッドの竿が海面に突き刺さった。気持ち良い半月状態のロッドを手にリールを巻く興津さん。
 途中、ドラグが滑り道糸が引き出される場面もあった。本命のマダイかもと思った次の瞬間、銀色の魚体が浮かびイナダが取り込まれた。全長約43cmの少し痩せ気味のイナダに少しガッカリ。
本命のアマダイでなくて残念!
しかし、イナダも外道とは言え立派な高級魚だ。(興津さん)
 とはいえ、外道としては充分リッパな魚である。潮が流れ始めたのではと思い、筆者もコマセを詰め替え投入を繰り返すがアタリは遠い。
 船長もポイントを何度変えながら活性の高いマダイの魚影を探す。タナは平均して60m?65m。深い場所でも72mだから釣れれば良型に違いない。
 「昨年から水温が下がらずまだメジが喰ってくるほどだからね。もう少し水温が下がって濁りが出てくれないタイには良くない。魚探に反応はあるけど口を使わないから」と悔しそう。
 船長は真鶴半島の先端にある三ッ石をぐるりと周り込んで半島の反対側までマダイを探索しながらポイントを点々と変えるが、潮が流れていなければ魚は喰わない。付けエサがかじられることはあってもマダイの仕業ではなさそうだ。
 結局、午前9時50分にマダイを諦めてアマダイのポイントを移動。朝一番のポイントに近い場所でアマダイの開始となった。水深は65m?75m付近を流す。
 空は薄日の射す暖かい陽気となり、静かな時間が流れる。たまに外道のヒメジが愛嬌を振りまきに顔を見せる。
 潮がやっと動き始めた11時25分、明らかにアマダイらしき引き込みがあり、電動リールを中速に設定して巻き上げる。残り30m前後で最後の抵抗をみせ竿先をググッと強く曲げる。アマダイであることを確信するシグナルだ。海面を割って顔を見せたのは綺麗なアマダイ。全長30cmだった。
 念願の赤い魚に出会えてホッとする。
 だが、沖揚がりまで時間があまりない。素早くエサを付け替えて投入。次は定番外道のヒメコダイ。全長20cm弱だが美味な魚なのでシッカリクーラーに入れて、残り10分足らずに賭ける。
良型のアマダイを釣り上げ、思わず笑みがこぼれる。
 潮が動き出すとアタリも頻繁にあるが、エサ取りの外道も増えてマメに付けエサをチェックしないと空針で釣りをすることになるので要注意。
 最後に25cmのアマダイを追釣して昼過ぎに沖揚がりとなった。
 興津さんも終盤に小型のアマダイを釣り上げてなんとかお土産を確保した様子。
赤と青の両魚をつり上げた興津さんに対して筆者は寂しいもの。
 しかし、潮が流れなければマダイに限らずアマダイも活性が高まるはずがない。
天候には恵まれたが潮には見放されたといった感じである。
 船長に今後の釣況について聞いてみた。「今日の水温が15.6度あるけど14度まで下がって濁りが出ればマダイも釣れると思います。タイの他にヒラメや深場のキンメもやります。3月位までこの3種類で行く予定ですが、予約していただいた希望の釣りものでリレー方式というのも可能ですから前日までに必ず電話を入れて下さい」。
 初釣りをマダイとアマダイ狙いで欲張りたい人は楽しみの多い船宿常丸に足を運んでみてはいかがだろう。
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富士丸一発勝負のマダイ釣り(網代港)
2008年1月13日
 2008年の釣り運を占うべく一発勝負のマダイ釣りに出掛けた沖釣りファンは多かったことでしょう。ただ初釣りからボウズは避けたい、と願う釣り人も多いはず。
 そんな釣り人の願いを叶えてくれる船宿が網代港の富士丸だ。昨年から今年にかけて海水温が高くマダイだけでなくイナダやメジマグロといった青物も狙う。コマセ五目釣りとして多彩な魚をお土産にできる点は魅力だ。
 出掛けたのは1月13日の日曜日。3連休の中日だが、前日の悪天候の影響もあって釣り人は筆者を含めて3名。当日の天候は小雨混じりの曇天だが前日からの風は止み、港内は穏やかであった。
 出船は午前6時30分。まだ日の出前で辺りは暗い。内田英吾船長は慎重に港を後にして沖に船を向けた。港外に出ると昨日の風の影響かウネリが残り、右舷ミヨシに釣り座を構えた筆者は嫌な予感が脳裏をかすめる。
 航行すること約15分でポイントに到着。午前7時少し前に仕掛け投入の合図が出された。
 「45mでやって下さい」。筆者のタックルは3mのインナーガイド竿に小型電動リールの組み合せ。PE4号の道糸に80号のサニービシをセットしてハリス4号10mの1本針で釣り開始となった。
 北風は強くはないもののウネリがあり船が前後左右に揺れ、どうにも釣りにくい。それでも朝一番の投入には気合いが入るもの。3人ともアタリがないままポイント変更が何度か繰り替えされる。
 案の定、筆者の悪い予感は的中し、しばらく操船室の後方で休憩するハメに。
 船長は魚探を睨みながら懸命に指示ダナを変える。「55mまで落してみて」。
「60mで反応が出ているから」といったようにマメに情報を伝えてくれる。
 そんな船長の努力が実って右舷の松原秀和(稲城市)さんは8時20分頃、大アジを釣り上げてホッと一息。全長40cm級の魚体は船中初モノとしてはリッパ。だが、その後が続かない。
 そんな時に船長の親切な釣り方指導の一言が口をついて出た。
 「指示ダナが60mだったら70mまでビシを落してハリスが潮に馴染んだらコマセを3回に分けて指示ダナまで撒いてくる」というモノ。初心者にも非常に分りやすい。しかも優しい口調だから聞き入れてくれる人は多いだろう。また富士丸では専用のステンカンを無料で貸出している。「サニービシも使ってみたけどステンカンの方がオキアミコマセの出方がスムースで喰いが良いことが多い」という。残念ながら筆者は自前のサニービシを使っていたのが失敗のもと。
 とはいえ、釣る前に自分がマグロ状態になってしまってはビシ以前の問題であろう。(反省)
 魚の活性がグッと高まったのは10時少し前からだ。松原さんの竿が海中に絞り込まれて慎重に取り込んだのは全長50cm前後のイナダである。
 次いで松原さんの釣友でもある佐藤貴彦さん(川崎市)が強烈な引き込みで竿を曲げている。船長から「メジの引きみたいだな」の一言で筆者はカメラを手にタモ取りからシャッターを押す。全長50cmの堂々とした腹太のメジマグロだ。
全長50センチのメジマグロを釣り上げた佐藤さん。

メジマグロは超高級魚で成魚になると3メートル、400キロを越える。

 その後も一投ごとに魚が掛かる。松原さんは手慣れた感じで電動リールで軽く巻き上げて赤と黄色の魚体が美しいイトヨリを抜き上げて嬉しそう。
 一方、仕掛け投入すらできない自分が情けない。
 「もう少し魚が赤いともっと嬉しいですよね」と酔った勢いで皮肉な言葉を投げかけてしまった。それが功を奏したわけではないだろうが、なんと本命のマダイ(後検量33cm)を釣り上げたのだから驚きだ。
 そこまで見せられたら我慢はできない、とばかりに沖揚がりまで残り1時間の前後で仕掛けを投入したものの時合が過ぎたようで筆者の竿が曲がることはついぞなかった。
イトヨリに続いて本命のマダイを釣り上げた松原さん。表情からも満足感がただよって来る。
 最後の巻き上げで佐藤さんが「なんか魚が付いているようなんだけど」と言いながら、手巻きで上げくるとなんと全長47cmのイナダが掛かっていた。
最後の最後まで何が食い付くか分からない。
 午前11時45分、沖揚がり。網代沖のコマセ五目の魅力を存分に拝見させてもらった。因に松原さんと佐藤さんの釣り上げた魚種は、アジ、オキメバル、イナダ、メジマグロ、イトヨリ、マダイで6目達成である。
 釣り方のコツを船長に聞くと「とにかくマメな手返しですね。仕掛けを投入してコマセを振って指示ダナにセットしてからアタリを待つ時間は3分以内。
できれば2分以内にした方がいい」と。
 コマセが残っているかどうかではなく付けエサが残っているかどうかという点。
また潮流にコマセが流されて付けエサと同調していなければ魚は喰わないと思った方がいいということのようだ。
 最後に今後の釣りモノについて聞いてみた。
「コマセ五目の他は根魚五目が狙い目です。オニカサゴやアラの大きいのが釣れます。後は希望でヒラメもやりますよ」と目を輝かせていた。 
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