西伊豆町カワハギ会
2007年10月21日
 爽やかな10月の秋風に誘われて長閑な西伊豆でエサ泥棒と対決してきた。第12回西伊豆町カワハギ釣り大会が10月21日、安良里港で開催された。筆者は前日から1泊2日コースを選択。のんびりと港直近の民宿(宝来屋)に泊まり、翌早朝6時30分に港に集合、7時に出船という段取りである。
 当日の天候は前夜までの風も止み、ほぼ無風ベタ凪ぎで快晴という絶好の釣り日和に恵まれた。参加人数50名のカワハギファンが6隻の釣船に分乗して対戦するスタイル。筆者は安良里港の新川丸に乗船。釣り座は当日のクジ引きで決める。運良く右舷大ドモに座ることが出来た。トイレもなく御世辞にも快適とは言えない小型船だが、船長がなかなか腕達者で、しかも陽気な性格のためか真剣勝負の大会の割にゆったり気分でとても楽しい釣りとなった。
 各船が港を離れたのは午前6時45分頃。釣り開始時間を午前7時から昼12時までに限定しているため、ポイントに先着しても潮回りをして他船を待つ。実釣時間を全船で統一するためだ。
 新川丸は田子港沖に浮かぶ田子島と尊之島沖堤防の中間付近に最初のポイントを決めたようだ。「ハイ、どうぞ、やって下さい。水深は約30m」と言うマイクの声で釣り開始。一斉に仕掛けを投入する。乗船者数は筆者を含めて9人。幅の狭い漁船を改装した印象の釣船だが、西伊豆らしい飾らない雰囲気が好きだ。
 船中最初に本命のカワハギを釣り上げたのは左隣に座った豊橋市から来たという高橋孝雄さん。聞き合わせ釣りの正攻法で掛けた1枚で他の参加者に気合いが入る。だが、筆者は外道のキタマクラが最初の1匹でガックリ。
 船長は外道の喰いとエサの取られ具合を確認しながらポイントを細かく変えて行く。外道とはいえトラギスやベラなどが棲息する場所にカワハギも同居しているため、ハリに掛かるのは仕方のないこと。それより付けたアサリエサが手付かずで戻ってくるような状況になると、「上げて下さい、移動します」とアナウンス。おそらく魚がいないと判断してマメに魚探で探索していくのだろう。その後、魚影の濃いポイントに入ると、バタバタと本命が釣れてくる。
 向側に座った山梨県都留郡から来たという小俣栄三郎さんは、良型を連発。幸先の良いスタートを切っている。筆者もポツポツとエサ泥棒をうまく仕留めるが、今一歩型が良くない。大会規定で15cm未満はリリースするようになっている。その計測は各自に配られた割り箸に記された黒マジック位置で判断する。筆者はなぜかギリギリサイズに近い可愛らしいカワハギが多く苦戦気味。良型を選んでは釣れない。
良型を連発してご満悦の小俣さん。
 時計の針が午前8時30分を過ぎると良い群れに当たったのか船中数が釣れ始めた。筆者も遅ればせながら20cmオーバーの良型が掛かるようになった。
 釣り方は人それぞれだが、筆者は叩きを数回入れてからポーズ(待ち)を入れて聞き合わせをするスタイルが多い。25号の丸オモリが海底に着底して素早く糸フケをとってから竿先を上下に細かく振動させてエサをアピールしつつ魚に喰わせる間を与えない。その直後にピタッと仕掛けを止めて、喰わせる時間を与える。そこでカワハギがアサリを吸い込むように口の中に入れば即合わせを入れ、同時に竿を持ち上げながらリールを巻く。すると、カンカンカンという独特の断続的な引きを感じつつ高速で道糸を巻き取る。その瞬間が至福の喜びといっていい。
 巻き始めてカワハギか外道魚かを判断するのはその時に竿から手に伝わる金属的な引き具合である。しかし、キューセンなどベラの類いは非常に近い引きを見せるため最後まで分からないこともある。当日の珍しい外道ではエソがあったが、カワハギに近い小気味良いアタリと引き具合にすっかり騙されてしまった。船長に「蒲鉾の良い材料になるよ」とからかわれた。
 風光明美な西伊豆の山々を眺めながら長閑な釣りをしていると尾数対決の釣り大会であることを忘れてしまう。風景や好天のせいだけでなく西伊豆独特な温もりとゆったり感がそうさせるのだろうか?
 午前10時30分を回るとカワハギの活性が高まったのか左舷側のベテランが本命の連発を続け、一気に数を伸ばしているようだ。右舷側は不思議とポツリポツリの状態が続くが、外道が減り掛かればほとんど良型カワハギが上がるようになった。左舷トモから2番目に座った富士吉田市の渡辺好道さんはダブルで取り込む場面もあり、船内もヒートアップ。魚影の濃いポイントは水深も深く、45m前後もあり掛かってから巻き上げる時間がかかる。この点は相模湾や東京湾のポイントではあまり考えられない。10月下旬のカワハギポイントは深くても30m弱、浅い場所なら15m程度というところもある。
ダブルで釣り上げた渡辺さん。バックの西伊豆の風光明媚な景色がなんとものどかなムードを漂わせる。
 地形的な違いなのだろうか。嬉しいのは根がかりが少ないことだ。船長の話では「砂泥底に細かい根が点々としている場所」とのこと。当日はオモリをロストする根がかりは1度もなかった。ハリスを切られる根がかりは1回だけ。それだけ釣っている時間が長くなるため、満足感は高い。筆者の場合時々弛ませ釣法も組み入れるため、根が激しいポイントでは即、根がかりしてしまう。
 午前11時を回ると「あと50分で終了ですから頑張って釣って下さい」と船長から焦りを誘う指示が出る。終盤になっても独特な釣法で数を伸ばす左舷胴の間の達人(大会優勝者)はなんと30匹前後まで数を伸ばしているとか。
 驚きというより不思議でならなかった。操船室越しに釣り方をチラリと覗いてみると、竿を大きく振り上げてまるでスルメイカ釣りのようなシャクりをしてカワハギにエサをアピールしていた。ジックリは観察したわけではないので詳細は不明だが、群れの濃いところでは特に有効な釣り方のようだ。
 エサは皆アサリの剥き身を使っていたが、基本的に参加者が持参するシステムだから市販の冷凍アサリを使っても良いし、早朝から新鮮な生きアサリの殻を剥いても良い。無精者の筆者は当然市販の冷凍アサリを使った。ただマルキューの「カワハギ職人」と呼ばれる硬化剤ほ効果的だ。冷凍アサリは解凍するとどうしてもヌルが多くエサ付けがしにくい。その点、この硬化液に浸けるとものの15分程度でキッチリと身が締るためエサ付けがしやすくなるのだ。冷凍アサリ派には絶対にオススメである。
 残り20分となったところで、船長は最後の移動を告げる。といっても帰港する港のすぐ近くにあるポイントに移動。「ここはまだ攻めていない新しいポイントだから最後のひと流しします」とサービス精神旺盛。だが、結局そのポイントでは誰も本命を上げることなく終了となった。
 帰港後、厳正な検量を済ませ集計を出す。50人分の集計だから結構時間が
かかるかと思いきや、ものの20分程度で表彰式となった。筆者は15匹(内2匹
は15cm未満)でなんと20位に入賞。 賞品として干物セットをもらって嬉々
として帰路についた。優勝者は37匹、また大物賞は27.5cmだった。
 来年も必ず参加したいと感じさせる長閑な西伊豆町主催のカワハギ釣り大会

であった。

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長作丸リレー(太海岸)
2007年11月7日
 南房総の太海港にコマセも付けエサもナシで2魚種をリレーで楽しませてくれる船宿があるというので早速取材釣行してみた。お世話になったのは長作丸。11月7日の早朝5時に出船だ。筆者の自宅からでは出船に間に合わないとマズいと思い前日に東京湾フェリーを使って久里浜から金谷港に渡り江見港近くの民宿に素泊まりして当日に臨んだ。
 当日は平日であったが予約客が4人乗り込むと話しを聞いていたのでそこそこ撮影は大丈夫だろうと安直に構えていた。
 というのも狙いモノがサビキ仕掛けで早朝からアジ&サバ、クロムツなどの五目釣りで土産を作ってからスルメイカを釣るというリレー釣りだからである。6本前後の針にゾロゾロっと多点掛けが魅力の釣りとして知られるが、数が釣れれば気分も爽快。などと気楽に考えてしまったのが大きな間違いのもと。後で筆者だけが「萱の外」ということになろうとは。
 さて当日の出船はまだ日の出前の午前5時。千葉県や埼玉県から来たという千布さんグループ4人に挨拶をして漁協前の岸壁から乗り込む。まだ周囲は真っ暗だが定刻よりも10分ほど早く港を離れて最初の漁場に向う。前日の天気予報では南房総だけやや波が高いようなことを言っていたが風も決して強いほどではなく、ウネリもそこそこ。
 太海沖では凪ぎの部類に入る海況だ。筆者の釣り座は左舷胴の間。あまり移動しなくても撮影がしやすい場所だから船長にお願いをして入らせてもらった。
 ゆっくりと走ること約35分。最初のポイントに到着。周囲にはまだ漁り火を灯した僚船が数隻浮かんでいる。どうやら空は曇天のようだ。それでも風が弱いから釣りには支障はない。船長のアナウンスで4人のサビキ仕掛けが投入される。
 千布憲史さん率いる4人グループは貸し竿の人が3人。一番のベテランでリーダー役が千布さんだ。他の3人に仕掛けや釣り方のレクチャーをしていたのが好印象。気になる仕掛けを見てみると市販のフラッシャーサビキ(ハヤブサ製)を使っていた。針のチモトに赤と白のファイバーラメが入った典型的なタイプだ。
 だが、これが当日の魚には当たり仕掛けだったようだ。左舷ミヨシに座った千布さんがまず良型のクロムツを釣り上げると、左舷トモに座った越谷市の越智さんもクロムツや大サバを釣り上げスタートからまだ20分も経っていないのにゾロゾロとサビキ仕掛け特有の鯉のぼりのような多点掛けが見られ船内は活気づく。
 夜も白々開け始めた頃にはクロムツが針から外れて海面に浮く姿に慌ててタモで魚を掬う場面も。水深約140?160m前後だから底から電動リールで釣り上げられればどうしても浮き袋が膨らみ浮いてしまう。海鳥がいたら間違いなく持っていかれただろう。
 そうこうしていると貸竿で頑張っていた千葉市の斉藤節夫さんも良型のクロムツを釣り上げ嬉しそう。右舷に一人で座った柏市の辻井中秋さんも黙々と釣っている。慣れない手付きでもしっかり本命のクロムツやアジ、大サバもゲット。
クロムツが上がり始めた!いち早く、釣り上げた狛江市の辻井中秋さん。
 一通りの写真が撮れたので遅ればせながら筆者も仕掛けを落してみた。ただし仕掛けはフラッシャーサビキではなく、東京湾では安定した実積を誇るサバ皮だ。
 チヌ針3号にハリス2号20cm、幹糸4号、枝間42cmというハヤブサ製市販仕掛けである。
 ところが、これがウンともスンとも言わない。竿が曲がらないのだ。海底から1mから3mほど底を切って誘いをかけてもダメ。何度も底ダチを取り直してもまったくアタリがない。両隣では「またムツが掛かったかな」とか「大きなアジだね」とか耳に入ると撮影を続けながらも、正直面白くない。痺れを切らして船長に「船宿仕掛けを下さい。全然アタリがないもので」と渋々仕掛けを交換して次ぎ投入を待つ。「サバが回ってきたからもうムツはダメかもよ」と悲しい一言。
 サバを避けてポイント移動をしながら仕掛けを下ろしてみると、案の定、途中でサバ攻撃に遭う運の悪さ。ハリス4号15cm、幹糸6号で赤白のファイバーラメの入った針は丸カイズ13号。この船宿仕掛けにしてからどうにかこうにかアジとサバを数匹ずつ釣り上げて午前8時過ぎにスルメイカのポイントに移動となった。
 第2ラウンドの開始である。ここでも筆者は事前の情報収集不足を嘆くことに。
 水深は170m前後。150号オモリが着底してから大きくシャクりながら上方にリールを巻き上げる。水深が深いため大きく竿を上下に動かさないと角の動きが鈍くなってしまう。肝心の角は14cmを揃えたのが大失敗だったようだ。他の人は皆御当地で使用される18cm角で統一。筆者も7本の角のうち2本だけ(濃いブルーとピンク)18cmを混ぜて使った。この方が逆に角の動きに変化があり、乗りが良いのではと勝手な判断をしてしまったのも大きなミス。さらに、悪いことに竿の調子が6対4のやや胴調子気味でシャクリを強く入れても竿が衝撃を吸収してしまうためか、イカの乗りが分りにくいのだ。
 左側のベテラン千布さんは順調に数を伸ばしている。「乗ったよ。150m」と声が弾んでいる。手慣れた手付きで2点掛けのスルメを撮影させてもらうが、どうにも自分の竿には乗りが来ない。14cm角が悪かったのだろう。好調な千布さんは数年前ら実積のあるタマゴ針(18cm)で統一している。良く見ているとピンクと水色系に乗りが良いようだ。
ベテランだけあって、千布さんの竿はフル回転している。さすがイカ乗せの技術は天下一品である。
 タマゴ針の安定した実積は知っていたものの18cm角を持参して来なかった筆者の事前情報チェック不足が招いた悲劇である。それでもなんとか3杯まで釣れたのだが不思議なことに3杯とも14cm角にしか乗って来なかった。色はオレンジ、赤、ケイムラだ。中間付近に2本混ぜた18cm角には見向きもしなかったのはなぜだろうか?
午前11時15分、沖上がりを迎えてしまった。筆者が撮影に時間を取られたという言い訳は別にして、情報不足が貧果を招くという悪い例を実践してしまった。
 千布さんはスルメだけで17杯を釣ったという。操船の合間にドラムリールで手釣りをしていた船長はなんと「1杯だけ」と聞きホッと胸を撫で下ろした。
 18cmのタマゴ針が当日のスルメイカの大好物だったということなのだろう。
 とはいえ、太海沖のイカ釣りは相模湾や東京湾とは異なり1回の流しが長いため投入器が必要ない。しかも移動が少ないからのんびり楽しめる。この点は初心者にも嬉しい点だ。
 船長の話では、「年内までたぶんスルメイカとのリレーで最初にサビキ釣りをする予定」とのこと。釣行前の情報収集は怠りなく。
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政信丸のブランドアジ狙い(走水港)
2007年11月14日
 「走水」と言えば関アジや松輪サバと並び称されるブランドアジで有名である。大半の船宿はアジを得意とするところが多く、厳しい競争が展開されている。
 そんな熾烈なアジ狙いの中にあって「仕立て専門」を守り続けている船宿のひとつが今回取材でお邪魔した「政信丸」だ。
 11月14日、仕立て7人の中に潜り込ませて頂いた。当日は朝から快晴で風も弱く絶好の釣り日和。
 出船は予約乗合の時には午前7時30分だが、仕立ての時は午前7時出船。
 筆者は時間を勘違いして「午前7時30分だから余裕があるかな」と思ったら大間違い。すでに7人の先客は席に着いて準備に余念が無い。慌てて乗り込んで皆さんに挨拶をしてから左舷ミヨシの釣り座に着いた。船は決して大型船ではないが、整理整頓が行き届いているためか外観から受ける印象よりとても幅広く感じたのは筆者だけだろうか。
 定刻より若干遅れて港を離れた。向うはブランドアジの魚場だ。驚いたのは港からあまりに近いこと。船が走り始めてエンジンがスローになったのはわずか7分。もちろんそこからアジの反応を探しつつ丁寧な潮回りでベストポイントを見つけだす。広川政信船長の合図で一斉に仕掛けが投入される。
 ただ乗船者の中には釣りが初めてというまったくのビギナーの方もいてその指導に当たるのがお二人。平塚市の瀬戸秀樹さんと大田区の米山努さんである。竿とリールを見てもなかなかの沖釣りのベテランといった感じ。
 最初のポイントは水深が約70m。タナは「2?3mでやって下さい」という指示。
 アジは大体底上げ3m前後であることが多い。今回筆者は図々しくスタートから仕掛けを投入させてもらった。
ビギナーの指導にあたるベテランの瀬戸さん。手さばきはさすがプロだ。
 というのは最初はひとりでもコマセ役が多い方がアジの群れを足留めさせやすいと考えたからだ。
 それが功を奏したわけではないたろうが、10分後にはポツリポツリと本命からクククッというアタリが続いた。
 だが、型が今一歩小さい。文句を言うわけではないが、型が小さいとヒヤヒヤ、ドキドキ感がやや薄い。抜き上げの際にも「この程度なら即抜き上げだ」と思わせるサイズが多かった。全長では22cm前後。充分リッパなブランドアジであることは確かだ。体高があり尻尾はやや黄色味を帯びていかにも脂が乗っていそうだ。
 20分を過ぎると少しずつ型が良くなってきて時折27cm級も混じり出し、引き味もググッと竿先を抑え込む力強い感じに変わってきた。ただしマメなタナ取りができていないと、アタリは少なく型もこぶりとなる。
 それでも手返しをマメにしている人はほぼ入れ喰い状態になってきた。
 そこで筆者は画撮りに船内を回ることにした。7人全員の釣り上げ直後の写真撮りを完了したら再度釣りに戻る計画だ。嬉しいことに7人全員を撮り終えるのにものの20分も掛からなかった。
 筆者の釣り座から見えにくいのが右舷トモに座った阿部賢治さん。背の高いスマートな紳士といった雰囲気。瀬戸さんの中学校時代からの友人とか。長いおつき合いができるのも釣りという共通の趣味があったからではないだろうか。阿部さんの1匹で全員の画撮りを一通り完了した。
 ホッとした気分で席に戻ると筆者の左隣に座った森田光則さんはすでに3匹以上を釣り上げ順調に数を伸ばしている。初心者の割には手慣れた竿さばきでアジを抜き上げている。米山さんの指導が良かったのか森田さんの飲み込みが早かったのかは定かではない。
 朝のうち吹いていた北寄りの風もグッと弱くなり逆に陽射しが強くなり始めた。
中ダルミだったアジが再び高活性になったのは午前11時30分頃からだ。
 強い陽射しで合羽の上着を脱ぎ気合いを入れ直したからというわけではないだろうが、怒濤の入れ喰いがスタート。しかも今度のは型がとても良い。水深はポイントの移動なども数回あったが、深くても80m前後だから電動リールの範囲としては浅い方だ。
 良型アジはやはりタナをキッチリとキープしていないとアタリも少ない。同時に海面バラシも多くなる。魚体が重いためタモを使用することもしばしば。
タモ取りを嫌う筆者も恥ずかしながら今回は数回タモ入れをして取り込んだ。全長が明らかに30cmオーバーのアジは幅広だからサイズ以上に重量もある。海面でグイグイ引っ張られるとタモにどうしても手が延びてしまう。
 ただしタモ入れ後にハリが網目に引っ掛かり手返しが悪くなることも覚悟すること。
 できれば海面に浮かせた時にハリが口のどの位置に掛かっているかを一瞬で見抜くことが本当は最も効率的。
 ガッチリ上顎に掛かっていれば抜き上げてもバラすことはほとんどない。
 釣り方の注意点はひとつだけ。指示ダナでコマセを振っても2分以内にアタリがなければ底ダチを再度取り直すことが大切である。
 アンカーを入れないエンジン流しだからタナは微妙に変化する。
ベテランの指導のもと、良型のブランドアジをゲットした女性の尾上さん。
 筆者も底ダチを取り直した途端にアタリが出るケースが何度もあった。1m程度の違いでもアジの喰いは異なる。掛かり所も違ってくるためマメなタナ取りは重要である。
 昼を過ぎてもアタリは続き、良型を一荷で釣り上げる場面もあって船中活気が高まり、笑いとおしゃべりでとても賑やか。エサは赤タンだけではここまで大型が揃わなかったような気がする。朝船長に「アオイソメは持ってきました?」と聞かれて慌てて港近くの貸しボート店に走ったのが良かった。不思議なことに良型はほとんどアオイソメを付けた先バリに喰ってきた。海中で自発光するアオイソメの効果は侮れないものがある。持参することをオススメする。
 また、面白かったのは阿部さんが使っていた緑色のイカタンだ。赤タンと併用すると効果が出るとのこと。透明感のあるメロンサイダーのような緑イカタンは興味深い。
 午後2時10分で沖揚がり。筆者は残り30分の間に36cmを2本追加して計26尾を釣り上げ竿頭である瀬戸さんにに並んだ。
 美味しく食べるには血抜きは欠かせない。バケツの中で泳いでいるうちにエラをハサミで切れば良いだけだ。海水氷の中に体が浸る状態で持ち帰ることも忘れてはならない。晩秋の幅広いアジは走水ブランドに相応しい濃厚な脂を満喫できる。
刺身は2日目が特に美味。塩焼きは当日から絶品だ。酒量が増えて体調を崩さないように要注意。 
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