つね丸のメジ&本ガツオ
(佐島港)2006年10月29日
 血湧き肉踊る秋の青物と言えばメジ&本ガツオをおいて他にない。体中にアドレナリンが放出される強烈な引きを満喫できる数少ない釣りモノだからだ。
 10月29日、潮が澄み再度活性が高まっていると聞いて慌てて足を運んだのは佐島港のつね丸。出船6時には計8人の青物ファンが乗り込んで真沖のポイントを目指した。当日は朝から小雨混じりの曇天。ただし風は無風でベタ凪ぎ。
 筆者は左舷ミヨシ寄りに釣り座を構えて支度に余念がない。準備したタックルはメジの強引に対抗できるように100〜150号負荷のアジビシ竿(1.95m)にレバードラグリールをセット。道糸もPE8号200m。ビシはサニービシ80号にアミエビ&オキアミのミックスコマセを詰め込んで仕掛けの投入合図を待つ。
 ところが、航程約45分の城ケ島西沖についてもなかなか投入ができない。群れが小さいのか移動が速いのかは分からないが、潮回りが長い。周囲には遠く小田原や大磯からの釣船も集結して船団を形成するほどの人気ぶり。
 投入開始は午前7時過ぎ。「タナは40〜45mでやって下さい」というアナウンスともに一斉に仕掛けを降ろす。筆者は朝の高活性を期待してハリス14号3mでトライ。ヒラマサ13号のハリには特船オキアミの白手を最初に刺してからオキアミを2匹付けて目立たせる作戦をとった。
いよいよ仕掛けを降ろす。胸騒ぎのする一瞬である。

ヒラマサ3号のハリに特船オキアミの白手を最初に刺し、さらにオキアミのダブルがけ。これが筆者の必殺テクニックなのだ!!
 エサ取りが多いためか付けエサが即座になくなるのだが、掛かってくるのはヒラソウダばかり。左隣の貸竿の人には連続して良型ヒラソウダがヒット。取り込みに手間取る感に周囲とオマツリを連発する。
 筆者は運良く午前8時頃に強烈な引き込みを全身で体感しながら船長のタモ取りでやっと本命のメジマグロを上げた。後検量56cmで2.6kgの丸太のようなメジであった。気をよくして速効でビシを再投入するがどうやらモーニングサービスはアッという間に終了し喰い渋りの時間帯に突入したようだ。ポイントを変えても付けエサがそのまま戻る状態が続く。活性が再度高まったのは昼直前。曇天の空に太陽の光が注ぎ始めた頃だ。
 だが、ヒットしたのは反対舷の高木氏(川崎市)
 2キロオーバーと思われる良型を立て続けに2本も上げて御機嫌な様子。
 話しをしてみると「今日は活性が低いようだったので、ハリスを12号6mに変えたんですよ。そしたら2本を連続でしとめることができました」と破顔一笑。
 こちらは必死にコマセを詰め替えて手返しを早めるがヒットしない。アタリを感じても食い込まない。付けエサだけが取られているのは喰い渋りの証拠らしい。
立て続けに良型のメジマグロをゲットした高木氏。なかなか冴えてますねぇ。
 筆者のバッグの中には残念ながら予備のハリスもハリもないため6mのロング仕掛けを作ることもできずに結局、最後の流しで良型ヒラソウダ(全長40cm弱)を追釣して沖上がりを迎えた。船長曰く「今日は自衛隊の観覧式とかでいつものポイントを入れなかったのが敗因かな」と残念がっていた。
 自宅に戻ってメジマグロの刺身と漬けを食したが最高に旨かった。ヒラソウダは血抜きをして持ち帰っても刺身で食べるなら24時間以内が理想。メジよりも鮮度の落ちが早いので要注意。
筆者の釣果、56センチのメジマグロに40センチのヒラソウダ。
銀色に輝く魚体は美しい。もちろん、刺身で食せば最高である。
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忠彦丸のタチウオ釣り(金沢漁港)
2006年12月28日
 年末の納竿釣行にどうしても東京湾のタチウオを狙いたかった。一般的に正月の祝い膳用として赤い魚を選ぶものだが、タチウオの強烈な引き味と脂の乗った刺身&塩焼きが足を運ばせたのだ。
 今年のタチウオは釣果が安定せず、活性の高い日が続かない。9月中旬に1回浅場のライトタックルで楽しんだだけ。9本で竿頭になったのは良かったが、例年なら半日船でも活性の高い日なら軽く15本前後は釣れる。
 ところが、11月以降も釣果にムラがあって二の足を踏んでいたというのが正直な所だ。しかも10月以降はワラサを筆頭にメジ&カツオなど青物を追い掛けていたという事情もあるのだが。
 訪れたのは金沢漁港の忠彦丸。12月28日は朝から天気が良く、これならツ抜けの可能性も大かな、などと軽く考えていたらとんでもない喰い渋りで厳しい納竿となった。
 出船は午前7時。定刻より約10分ほど送れて出発。港付近はベタ凪ぎだったのだが、15分も走ると南よりの西風が強く波高も1.5mほどと東京湾としては完全にシケ状態にビックリ。観音崎沖のポイントに到着するとすでに僚船が集結し、例年通りのタチウオ船団が形成されていた。大した釣果が記録されていないのに改めて根強いタチウオファンがいることを再認識した。
年末早朝の観音崎沖、思ったより風が強く海上も荒れ模様。仕掛けが絡まないか心配だが、とにかく心ははやる。
 風速10m以上の中「ハイどうぞ、タナは80mで下から15m上まで誘って」という船長の合図で一斉にスタート。観音崎沖は数は出ないが、メーターオーバーの大型が出ることで知られる。期待に胸が膨らむ。
 筆者のタックルは竿が1.95mのビシアジ竿でリールは小型電動リール。仕掛けはハリス8号2本バリ(ワームフック1号)で全長2.5m。オモリ120号に片天秤をセット。付けエサはサバの短冊だが、忠彦丸のサバの鮮度は素晴らしいの一語。なんでも先日のアジ釣りの外道で釣れたサバを冷蔵保管して、そのサバを薄く皮を残して10cm程度にカットしてある。縫い差しにしてタチウオの巧妙なエサ取りに対応する。
 筆者の竿が最初に曲がったのは釣り開始からわずか10分足らず。喰いダナは76m。強烈という表現まではできないが、約3ケ月ぶりのタチウオの引きを楽しみながら電動リールで巻上げた。全長約80cmの小型だ。どうも途中の引き込みが弱いわけである。目標はなんといってもメーターオーバーだ。
 誘い方は決して難しくない。穂先を海面に向けて40cm前後の幅で2回〜3回ほどシャクル。その後3秒間静止させる。この時、竿の位置はつねに下斜め45度位に保つ。突然の本アタリが来た時に咄嗟に合わせを入れるためだ。アタリがなければリールを1回転弱巻く。そして再度誘いを入れる動作を繰り返すだけ。
筆者はメーターオーバーを夢見ながら、竿先を注視する。

海上はいよいよ荒れ模様で少し辛抱の釣りだ。
 時計の針が8時を指す頃に午前中のクライマックスが訪れた。誘いを入れた直後にググーッと竿先が海面に持って行かれガツンと合わせた途端に竿が満月に曲がり、刺激的な引きを味わいながら当日唯一のメータージャスト(後検量)を抜き上げた。ホッとしているとすぐに3度目のアタリ。全長約80cm弱の小型を釣り上げて「今日は活性が高いぞ」と思ったのも束の間、8時30分にはアタリも遠のき、9時を過ぎると付けエサがそのまま戻ってくるようになり、戦意喪失の状態に。
 風とウネリは相変わらずだが、アタリが激減したため久しぶりに船酔いに近い状態になり始めた頃に「今日はこれで終わります」。時計の針は午前10時53分だった。残念ながら3本で終了。
 ただ筆者が座った右舷しかタチウオが釣れていなかったことを聞いてビックリ。さらに筆者が3本でなんと竿頭に。納竿釣行で、しかも喰い渋りのタチウオで竿頭になれたのはラッキーとしか言いようがない。
 来年もタチウオが釣れますようにと願いながら時化の観音崎沖を後にした。
メータージャストのタチウオ。
今回の釣果では最も大型だが、この荒れ模様ではラッキーというところだろうか。どのような条件でも全力投入するのが筆者の信条である。
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