清時丸の半夜ムギイカ釣り
(沼津・静浦港)2004年5月18日
この時期に数釣りが楽しめる釣りと言えばムギイカをおいて他にない。ただ慌
ただしい仕掛けの投入と移動の繰り返しは疲れる。ということで選んだのは沼津
・静浦港からの半夜釣りだ。藤沢市の自宅からは距離が遠いもののアンカーを入
れたカカリ釣りだから精神的にも肉体的にも楽だろうと判断したからだ。


 釣船は清時丸。夜釣りでは定評のある船宿だが、残念ながら天候は味方してく
れなかった。前日(5月18日)の予報では凪だったが、当日の夕方には南西風が強
くなり小雨混じりでウネリもあった。船は午後6時少し前に乗船者9人を乗せて静
浦港を後にした。

 航程約30分でポイントに到着し、アンカーを入れた。釣り開始は午後6時40分
を過ぎていたが、ムギイカが釣れ出すのは暗くなってからと考えてゆっくりと構
えていた。筆者の釣り座は右舷大ドモから2番目。竿はインナーガイドの2.7mに
小型電動リールの組み合せである。オモリは80号。水深は110m前後だった。
移動がないのでノンビリムードが漂う。筆者もイカ釣りで初めて投入器を使わず
に5本のプラヅノ仕掛けを海中に放り込んだ。風が強いため「吹き流し」状態と
なって手前マツリはなかったが、小雨混じりの天候は強い南西風を伴ってウネリ
も出てきて釣り辛い。


 最初の乗りは午後7時20分を過ぎた頃だった。タナは85mと深い。ムギイカで
はなく完全なスルメイカが上がってホッと一息。次は77m前後でスルメイカが乗
った。周囲でもイカが乗り始めたが、大半が胴長約30cm前後のスルメイカだ。

 午後8時30分頃にはタナも徐々に浅くなり40m〜35m前後で乗るようになった。
 だが、バレが多いのには驚いた。スルメやムギイカはよほど乗りが浅くない限
り途中でバレるようなことはないと思っていたからだ。

 マルイカ(沼津ではジンドウイカ)は乗りが悪いとバレが多く、身が非常に柔ら
かいため身切れも考えられるが、スルメイカを釣っていて巻き上げの途中(手巻き)
や水面で逃げられるのは初めての経験だった。

 最も乗りが良好だったツノは水中ランプの直下にある若草色の11cmプラヅノ。
 2番目はオモリに最も近い最下部の夜光クリア系のツノだったと記憶している。
 というのも記憶できる程度しか釣れなかったからだ。午後10時前には乗りがさ
らに悪くなり、置き竿にした方が乗りが良かった。ただし、竿が硬い筆者は置竿
で釣れたのは1杯だけ。軟調長竿のムーチングロッドを使って、仕掛けを浮きス
ッテに交換していた左隣のベテランは良型のスルメをコンスタントに乗せていた。

 結局、午後11時30分頃まで粘ったものの悪天候とイカ特有のムラっ気に遭遇
したためか船中トップでも約40杯位だった思う。


 筆者の右隣の富士宮市から来たと言う渡辺さんもイカは前日釣れていてもダメ
な日に当たれば無惨な結果になるもの、と諦めていた。それでも過去にケギイカ
を200杯以上釣った経験があると話していた。そんな日は仕掛けを入れれば誰で
も鈴なりでイカがツノに掛かってきたという。ムギイカのリベンジをマルイカで
果たそうと心にきめてクルマに乗り込んだ時は深夜12時を回っていた。

                           釣場速報(釣り新聞)掲載



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庄三郎丸のライトタックル
(江ノ島沖)2004年5月8日
最近流行のライトタックルなる釣りを平塚・庄三郎丸で初めて楽しんだ。この
釣りモノを得意とする釣友の加藤氏と同行したのは5月8日の土曜日。午前6時30
分の出船にもかかわらず2隻出しの大盛況。軽い道具で魚の引き味を存分に堪能し
ようという発想から生まれた手軽な釣りだが、実は案外奥が深い釣りだったこと
を思い知らされた。


 仕掛けは基本的にウィリー五目だから2本針のウィリー巻きと先針が空バリの
3本針仕様。ハリス号数は2号。最大の特徴はビシが25〜30号という点。アミコ
マセを詰めるビシが30号というのはまったく初めて。普段ビシアジで使っている
ものは130号前後だからかなり軽い。このため、当然竿もシロギス竿のやや硬め
のモノで良い。筆者は20〜30号負荷の2.1mのロッドを選択。

 最初のポイントは港から約15分の近場で水深も浅く40m弱からスタート。底か
ら5m上からシャクるのだが、5分もしないうちにシコイワシの群れに遭遇し即移
動となった。このシコイワシの大群が当日の釣りを翻弄することになるとは。

 2度3度とポイント移動を繰り返すが、コマセの煙幕が海中に広がるころにはま
たまたシコイワシの大群がハリに掛かってくる。

 筆者も「今日はシコイワシを捨てる余裕はないかも」と判断して針掛かりしたシ
コイワシをクーラーに仕舞い込む。万が一量が多ければ冷凍にして根魚釣りのエサ
にすればいいと考えたからだ。加藤氏もシコイワシを釣り上げるものの本命のアジ
やタイ類からのアタリは遠い。片舷8人でシコイワシ以外の魚を釣り上げた人は午
前10時までは皆無に近かった。


 船長も焦りの色を隠せず江ノ島沖、二宮沖、鎌倉沖など右往左往するのだが、良
い群れに遭うことなく午前11時を過ぎるころになってやっと引き味を味わえる釣り
が楽しめ始めた。ただ水深はやや深く60m前後だから手巻きリールでは頻繁な上げ
下げに疲労感が増す。

 もちろん、魚が掛かってくればそんな疲れなど気にならない。アタリがあっても
針掛かりしていなくて途中でバレてしまうのは口が弱いアジだからだろう。追い喰
いを欲張ると無情な空巻ダッシュが待っている。昼前には25cm前後の良型アジが
入れ喰いになり始めタナがキッチリと把握できる釣り人とそうでない人との差が出
るシビアな釣りとなった。それまでオキアミを刺していた先針の他にウィリー巻き
の針にもアジが掛かるようになってきた。


 ブルーだけでなくピンク色のウィリー巻きにもアジがかかり活性が一気に高まっ
たことを物語る。周囲でもカサゴやアマダイなど多彩な魚が釣れだした。タナ取り
も海面から取るようにという船長からの指示が出て、リールのカウンター数字では
なく道糸の1m毎のマーカーで正確にタナ位置にビシ&仕掛けを持っていけないとア
タリは出ない。ある意味、道具は軽いが初心者には課題が多い釣りとなってしまっ
たようだ。


 船長の配慮で時間延長をしてくれたおかげもあってなんとか本命アジを9尾の他
アマダイ、大サバ2尾、トゴットメバル2尾、サクラダイ1尾など五目釣りを達成。
型はまずまずだったが、もう少し強い引き味を堪能したかった。ま午前中のシコイ
ワシ攻撃のことを考えれば結果オーライというところか。

                          釣場速報(釣り新聞)掲載


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小川丸のタチウオ
(京急大津)2004年8月22日
 観音崎沖でタチウオが釣れ始めたと聞いて今年シーズン最初のタチウオ狙いに
出掛けたのは8月22日の日曜日。天候は晴れで北寄りの微風だから海は穏やかだ。

 足を運んだ京急大津の小川丸ではライトタックルでタチウオを釣らせる数少な
い船宿である。実を言うと、ライトタックルで狙うタチウオは初体験。オモリ30
号負荷の竿に小型両軸受けリールの組み合せ。ハリス6号がなんと1m前後という
短さに気付いたのは当日受け付けをした時というのだから筆者の無精ぶりがバレ
バレである。


 出船は午前7時30分。航程約20分でポイントである観音崎沖に到着。筆者が持
ち込んだ竿は深場用のカワハギ竿。これにカワハギ釣り用のギア比の高い両軸リ
ール。道糸は2号だが、本来ならもっと細い1号前後を使いたい。また鑄込み天秤
の30号がない場合は投げ釣り用のL型天秤も流用可能。

 オモリが30号という軽さからも分かる通りタナはかなり浅い。水深は約40mは
あるが、実際の喰いダナは25mから上で、時には10m前後でもアタッていた。

 実釣開始から約1時間まではアタリも多くエサもすぐに取られてしまいタチウオ
の活性は高かった。

 だが、喰いが浅いのかハリ掛かりが悪い。シャクってシャクッて喰わせる釣り方
を得意とする筆者としてはどうも判然としない。うまくガツンと針に掛かれば強烈
な締め込みがあってリールのドラグが一瞬滑り出す。ハンドルを回す手に力が入り
歯を食いしばる。数カ月ぶりのタチウオパワーに思わず笑みがこぼれる。


 午前8時30分頃には最初の1尾を釣り上げてホッとするが、食い気が今一歩といっ
た印象だ。2尾目を釣り上げてからはどうもパッとしない。船長の話では昨日から
潮が悪くムラ気が出てトップが5尾だったという。午前9時を回ると一層アタリが
減り、外道で釣れたサバをエサ用に短冊にしてハリに刺しても時折コツンという
アタリが出るだけでまったくハリ掛かりが悪い。アタリだなが海面下10m前後と
浅くなる時もあったもののせっかく巻上げた貴重な1尾を海面でバラしてしまった。
タチウオの口が硬いことは熟知しているつもりだが、針の掛かり所が悪いだけで
海面でのバラしに繋がるので取込みには細心の注意が必要だ。


 左舷ミヨシで釣っていた国立市の寺崎隆重さんは「先週来た時は18尾で自信を
持ったけど今日はガッカリだね。これじゃ、また来週タチウオを釣りにこないと
納得できないな」とボヤくことしきり。寺崎さんは軟調のバスロッドで慎重にアタリ
を取って釣っていた。

 結局、午前11時40分の沖上がりまでシャクり続けたが、筆者は4尾どまり。ライ
トタックルでの楽しみ方は理解できたし刺激的な引き味を満喫できたが、釣果に不満
が残った。全長はどれも75cm〜90cm前後で塩焼き、ムニエル、煮付けにして食べた
が抜群に旨かった。深場に落ちる前に再度ライトタックルでタチウオの数釣りに挑戦
したい。参考までに当日の水温は25度。潮は澄み潮。満潮は午前8時50分頃であった。

                         釣場速報(釣り新聞)掲載



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新谷丸の沖メバル釣り(小網代港)
2005年5月5日
 船釣りファンの多くは5月の声を聞くと赤い魚を狙いたくなるもの。だが少し
変わり者の筆者はこの時期が訪れると小網代港の新谷丸から黄金色に茶色が混じ
った沖メバルを釣りたくなる。サビキ仕掛けに鈴なりになって海面に姿を現す光
景は壮観である。

 釣友の加藤さんと出掛けのはゴールデンウィークの5月5日。それだけに乗船客
の数はハンパではなかった。片舷だけで11人。合計21人の沖メバルファンを乗せ
て朝7時30分に港を岸払い。

 向かうのは新谷丸だけが入れるというオリジナルポイント(洲之崎沖から布良沖
にかけての一帯。船程はなんと1時間20分。ちょっとした遠征釣りともいえる。

 当日のタックルは使用オモリ80号に合わせて30〜80号負荷の3mのインナー
ロッド(軟らかめ目の先調子)に小型電動リールをセット。長い方が長い8本針のサ
ビキ仕掛けを捌きやすいためだ。

 肝心なのはサビキ仕掛けである。新谷丸では「永年の研究と実績を積み重ねて
考案した」という茶系のサバ皮の8本サビキ。値段は550円と苦労の割に安価。


 さて、実釣開始は8時50分過ぎ。最初の流しではアタリが出なかったので即刻
変更したが、それからが怒濤の入れ喰いタイムが到来。
 船宿仕掛けを使っている釣り人は次から次にメバルを取り込み忙しそうだ。筆者
も1つだけ船宿仕掛けを購入し使ってみたが、確かにメバルからの反応は早く多点
掛けも可能である。

 ただしハリスが1.5号と細いため30分もするとヨレが出始める。それは水深約
90mから20cm超の沖メバルを数付けて電動リールで巻上げてくるからというだ
けではない。当日は特に大勢の釣り客でオマツリは必至だった。ハリスや幹糸(3号)
が隣の道糸に絡むだけでなく、仕掛け同士が絡むとすぐにパーマ状態になってしまう。
それでなくても針数が多いからモツレやすいのにオマツリをすればハリスはすぐに
ヨレヨレとなってしまう。

 それでもサビキ仕掛けとしての効果は失われないのが凄い。多少ハリスがヨレて
いても沖メバルには御馳走に見えるようだ。船宿仕掛けおそるべし、である。
 喰いが落ちる時はサバが回遊してきた時ぐらい。船長が素早く移動を告げて何度か
サバをかわす。コマセを一切使わない釣り方だから3分も走ればサバ(体長約25cm前
後の中型)の群れを避けることができるのだ。

 当日の海況は朝の内はウネリが残っていてどうにも揺れが止まらない。1時間もする
と久々に軽い船酔い状態になってしまい気合いを削がれたが、午前11時までの絶好調
タイムで数を稼げたので2時間ほど船内で爆睡。釣友の加藤さんに聞くと「あの後はサ
バ攻撃で大変でした。何度か流し替えをしても10分位でサバが回遊してくる状態が続き
ました」という。だから数は延びなかったといってたもののシッカリ10尾ほど追加して
いたのには驚き。

 やはり一度に8尾近い魚をゲットできる船宿仕掛けの威力なのか。疑問を抱いた筆者
は別のサビキ仕掛けも試してみた。好調に釣れたのは同じ茶系のサメ腸皮の6本ハリ仕様。
ハリスは2号で長さは船宿と同じ20cm。枝間も同じ45cmだ。

 ダメなサビキは白系のハゲ皮。しかもボート釣り用の短いハリス(8cm)だから仕掛け
全長も2mと短い。この仕掛けでは1尾しか釣れなかったことを付け加えておこう。

 午後2時30分まで粘ったが釣り客同士のオマツリとサバ攻撃の影響もあって釣果は沖
メバル23尾にアカイサキ2尾に終わった。だが、船中のトップはなんと161尾だったと
いうから恐ろしい鉄人がいるものだと感心した。


 自宅に帰ってから刺身はもちろん煮付け、塩焼きなどメバルづくしの日々が約3日まで
続いたことは想像に難くない。

(釣場速報には未掲載!)


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芝崎・勝蔵丸のマルイカ釣り(相模湾)
2005年6月9日
 今年は相模湾のマルイカが不漁のようだが、あのネットリとした独特な甘味を
口一杯に感じたくなって6月9日に芝崎の勝蔵丸に出掛けた。当日は台風の影響
でウネリが出るかも知れないと天気予報が海況を伝えていたが、風は北風微風で
波はほとんどなく、絶好の釣り日和となった。

 午前6時出船のため45分前には受け付けを済ませて女将さんに最近の釣況を聞
くと、「ムギイカの方が多いみたいです。でもマルイカも日によっては混じるか
ら楽しめるわよ」と期待を抱かせる発言にホっと胸を撫で下ろした。3人のマル
イカファンを乗せて定刻通りに真名瀬港を後にしてカメギ根に向かった。

 航程約20分程度でポイントに到着したが、マルイカの群れが小さいのか移動が
速いのかなかなか船が止まらない。やっと船が止まってもイカの乗りは渋く5本
の浮きスッテを避けるように泳ぎ去る感じがする。水深は約40〜45m前後。

 やっとポツリポツリと取り込めるようになったのはすでに時計の針が10時近く
になってからだった。残念なことに乗ってくるイカの大半がムギイカ〜ニセイカ
なのだ。マルイカは一杯だけしか釣れなかった。

 仕掛けは下オモリ60号のブランコ仕掛け。浮きスッテは5本だが潮が濁り気味だ
ったので色は黄色系とオレンジ系を中心に11cmのプラヅノ(青緑)も上から2番目
に配置した。

 船長からの指示はこうだ。「オモリが着底したらすぐに5mほど巻いて5秒間隔で
大きくシャクルりながら5mほど上まで探る」というもの。これでは完全にムギイカ
狙いの誘い方ではないかと思い、着底後はそのまま底からシャクルことにした。
するとすぐに乗ってきたのがマルイカ。底近くを回遊するマルイカはムギイカより
も泳層が底付近だからこの方法が良かった。

 とはいえ、大切なことは船長の合図と同時に速効でオモリを投入する素早い行動。
仕掛けが着底した途端に乗ってきたことが多かったからだ。時折タルマセ釣りもやっ
たが、それよりも仕掛けを一番速く着底させることの方が当日は効果的だったようだ。
水温20.4度。

 クライマックスは午前10時30分頃だ。やはりオモリが着底したとたんにズシッと
したイカ独特の乗りを感じゆっくりと手で巻き始めると2杯目が乗った感じでググン
と重みが加わった。途中リールを巻く手を止めるような強い引きを味わいながらムギ
イカとニセイカのダブルを達成。スルメイカの子供だけに引き味は強くて楽しめる。

 だが肝心のマルイカはその後もポツリポツリと忘れた頃に上がる程度。もちろん船中
での話しだ。筆者は結局午後1時の沖揚がりまでにマルイカ1杯を含むムギイカ9杯を
釣り上げるのが精一杯だった。ただトップが13杯だから喰い渋りの日としてはまずま
ずであった。だがマルイカの群れ自体がやや少ないような気がしてならない。6月下旬
から7月頭に再度マルイカに挑戦する予定。

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