大島秀作丸のキンメ&アコウ釣り
 数年来の念願が叶って伊豆大島でキンメ&アコウ釣りに初挑戦してきた。以前から離島の深場釣りに行きたいと思っていたから嬉しさは測り知れない。
 満を持して予約の電話を入れたのは桜が散り始めた4月8日。船宿は岡田港の秀作丸である。この時期の大島は椿祭りも終り桜の時期だが、時節柄狙いは深場の人気魚、キンメとアコウがしかない。運良く船長も「ちょうど10日の土曜日にひとりキンメをやりたいという人が来るからリレーでアコウもやるからどうぞ」と快い返事。専門誌の情報ではそろそろイサキ釣りのシーズン到来などと書かれていたから少し不安はあったが、先客がキンメ狙いと聞いてホッとひと安心。
 早速、前日の9日の船で熱海港からわずか1時間で大島・元町港に到着。
幸いにも天気予報がピタリと当たり晴れで無風ベタ凪。

 元町港に出迎えに来てくれた船宿の女将さんの話では「やっと昨日からキンメが数多く釣れ始まってから明日は期待できるんじゃないかしら」と嬉しい話に心が弾んだ。
 ただ釣りは翌日なので宿に入ってのんびりと過ごす。もちろん翌日使う仕掛けを作りつつ夕飯を待った。仕掛けは一般的な胴突き仕掛け。幹糸は18号でハリスは12号の70cmが8本。ハリはムツ針20号。枝間は1.5mに設定。下オモリは300号。船長の話しではキンメ狙いの場合はハリスは10号でも良いがハリ数は少なくとも10本は欲しいとのこと。アコウ狙いなら8本でもOK。
翌10日は朝から無風ベタ凪で晴れ。気持ちの良い朝を迎えた。船長は常連客の台東区久保氏を乗せると、航程約20分のキンメのポイントを目指して午前6時20分過ぎに岡田港を後にした。
 第一投は午前7時少し前。右舷ミヨシの久保氏から仕掛けを投入し、次いで筆者。最後に船長も仕掛けを入れた。8本針の仕掛けが無事海中に沈んだ。
 水深はキンメ狙いにしては意外に深く350〜380m前後。電動リールは最低でも600m以上は欲しい。理想は800m以上だという。

参考までに筆者が持参したタックルはR社のAD電動100ハイパワーEXにPEライン8号を900m巻いたリールに深場用の2.4mのロッド。

オモリ負荷は250〜350号である。
 戸惑ったのはオモリの着底が非常に分かりづらい点。どうも上潮と底潮の速度が違う典型的な2枚潮の状態だ。船長の的確なアドバイスを受けて何度か底ダチを取り直してなんとかオモリの着底が分かるようになってきた。
 釣り方は簡単である。キンメ狙いの場合、オモリが着底してから素早く3〜5mほど巻いてアタリを待つだけ。
ところが、オモリの着底の瞬間を見逃すと途端に根がかりの憂き目にあうことも珍しくない。今回も最初から根がかりをしたが、運良く外すことができた。注意したいのは船長が「少しずつ浅くなるカケアガリだから」という指示が出たら頻繁に底ダチを取り直して素早く3〜5mは底を切ることだ。
 ポイントによっては7mも底を切ることもあるという。キンメは中層に群れを作ることが多いからそれ位底を切った方が多点掛けを楽しめるのだ。
 深場釣りはうまく魚がいる所に仕掛けを投入できればよほど機嫌の悪い魚でない限り明確なアタリを伝えて来る。キンメも大島では釣れるサイズが違う。
もちろん小型もいるが、大半は30cmオーバーの良型が占める。当日は船長が50cm近いでっぷりと太ったキンメを上げていた。キンメのアタリは竿先を上下に揺さぶる勢いの良いハッキリした振動が見て取れる。最初のアタリが来たら慌てずに少しずつ道糸を送りだせば良い。
 うまく群れの中にハリ数分の魚がいれば数珠繋ぎのように釣れて来るから楽しい。相模湾の小田原方面とはやはりハリ掛かりしてからの釣り方は違うようだ。
 船長の考え方や海底の地形の状態にもよるのかもしれないが、小田原(初島)沖ではアタリがあるうちはリールを巻かず待ち、竿先の震えが収まったら少しずつ手巻きで上に巻き上げる、という船長もいた。同じキンメ釣りでも所変われば釣り方も違うということである。
 さて、実釣に話しを戻そう。最初のポイントでは筆者が外道のウケクチメバルと小さなドンコを釣っただけですぐに移動。

次のポイントでは久保氏が良型キンメを数尾釣り上げ嬉しそう。
 こちらはまた外道のウケクチメバルが1尾。船長もキンメを釣り上げて調子が上向いてきた様子。3〜4投してもなぜか筆者にはキンメからのアタリが遠い。
 久保氏は次々と良型キンメを上げ満足そう。悔しい気持ちを抑えつつ写真を撮らせてもらう。 
2時間も経たないうちに船長の合図。次はアコウのポイントに行くからハリにタコベイトを付けて水中ランプも装備して、とアドバイスが告げられた。

 とはいえ仕掛けは基本的にキンメと同じで良い。付けエサも同じ赤染めのイカの短冊(長さ15cm前後)だ。
 アコウのポイントは水深が深く、約500m以上。時には560mにも達するほど。釣り方はキンメとは少し異なる。アコウダイはキンメほど中層まで浮いてこない魚だからオモリ着底の後は2mほど底を切るか、カケアガリでない場合は常にオモリが底を叩く感覚が良い。ただしマメに底ダチを取ることはキンメ釣りと同じである。
 アコウのポイントに移動してから2投目。やっと待望のアタリが来たと喜んだのは久保氏。時間は午前9時10分頃になっていた。筆者の竿先を震わせたのはその直後だった。キンメのアタリとは異なり僅かに穂先を押え込むような微かな「お辞儀」がアコウのアタリである。
 竿先を注視していないと見過ごすことも少なくない。深海560mから浮き上がってきたのは紛れもない朱色の本命、アコウダイだ。型は1kg弱だが、なんと3尾も付いていた。残念ながらオモリの近くのハリに3尾付いていたため提灯行列は実現しなかったが、一気に船内は盛り上がった。船長も筆者の本命ゲットに嬉しそう。
久保氏も次のアタリで2尾追加。途中根がかりを外す際に電動リールが故障するトラブルに見舞われたが事なきをえてなんとか釣りに復帰。損傷は軽かったようだ。
 その後、明確なアタリがあって追釣できるかと期待したが、なんと痛恨のハリス切れに泣いた。ところが数分後、船長が浮いたアコウを玉網で掬い上げ「ほれ、このタコベイトが付いたハリはアンタのだろ」と良型の本命を差し出す。
 後検1.5kgは筆者当日の最大級であった。因にそのタコベイトの色はオレンジと夜光グリーンのミックスであった。アコウダイにタコベイトは必須アイテムといっていいだろう。その後は、船長も数尾のアコウを釣り上げた他は外道王の筆者がオキアナゴを2点掛けしただけで午後12時20分に沖揚がり。
 結局、本命アコウダイは4尾。外道はウケクチメバル2尾、ドンコ1尾、オキアナゴ2尾の4目釣りを達成した。
 帰りのクーラーが満杯で肩に食い込む嬉しい悲鳴があがったのは言うまでもない。唯一残念だったのはキンメに嫌われたことだけだ。
 深場釣りは大島に限らず船長の腕が釣果を左右すると言われる。400mも高いところから魚の群れに命中させるという熟練のワザが欠かせない。その日の潮流や潮温など色々な自然条件を加味してポイントを探索するノウハウは一朝一夕にはできるものではない。秀作丸の船長に感謝して大島の海を後にした。年に1度は訪れたい離島だ。
 

最後に料理だがアコウは当日よりも2〜3日寝かせてから食べた方が旨い、という話しは聞いていたが、刺身だけでなく照焼き、頭の煮付けは最高に美味だった。
 

 意外だったのは3日後に食べたウケクチメバルの塩焼きは身がプリプリで絶品だったこと。深海の魚はどれも旨い魚が多いとは聞いていたが、それは間違いない。



                           釣場速報(釣り新聞)掲載



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鴨下丸の夜メバル釣り
(金沢漁港)2004年8月11日
今年の夏は記録的な猛暑が続き、日中の釣りは苦痛と危険を伴うまでになって
いるのが現状である。そこで納涼を兼ねて夜メバル釣りに出掛けたのは8月11日。
珍しく平日に夜メバルを金沢漁港の鴨下丸が開催するには理由があった。

 子供や奥様を連れてのいわば家族サービスのお手伝い的な企画だという。世間
ではすでにお盆休みに突入していたのか釣り客は想像以上に多く、当日は都合3
隻の出船となった。


 出船は夕方5時30分だが、約1時間以上前に到着し受け付けを済ませて船に乗り
込むと、筆者よりも早く到着した猛者が約3人。すでに釣り座に着いて道具の準備
に余念がない。たぶん交通渋滞を予想しての早出だったのだろう。

 筆者は右舷ミヨシから3番目に座った。夜メバル釣りは約3年ぶり。メバル専用
竿も3年ぶりの御登場となったがこの軟調竿(2.7m)で味わうメバルの引き込みが
たまらない釣趣と興奮を与えてくれるのだ。

 案の定、遅刻者2名のため定刻より若干遅れて港を出港。猛スビードでポイント
に到着したのは約10分後だ。

 八景島シーパラダイスを遠くに見る小柴崎沖。水深約25m弱でスタート。船長
の「はい、どうぞ」の合図で一斉に仕掛けを投入。

 筆者の仕掛けは船宿仕掛けを使った。胴突3本バリでハリスは1.5号30cm。
オモリは15号。エサはアオイソメの1匹チョン掛け。15cmの長いままでも一気
に食い込んでくるのがメバルの特徴だ。

 ところが、釣り開始と同時につれてきたのは20cm前後の中アジ。周囲でもア
ジが釣れる。「ここの黄アジは型が小さくても脂は乗っているから大切にクーラ
ーにしまって下さい」と船長からの親切なアドバイス。

 明るい内はメバルの喰いが今一歩ということなのだろう。その後、お土産用の
アジを各自数匹ずつクーラーに入れたことを確認するといよい本命メバルのポイ
ントに移動を始めた。


 本格的にメバルが釣れだしたのは午後7時を少し回ってからだ。筆者の右隣の
カップルは逗子市から来た円谷さんがベテランらしく親切に横須賀市から来た二
宮さんを優しく指導していた。時々、20cmオーバーの良型を釣り上げて喜色満
面。筆者はというと、アタリが来ても最後の食い込みまで待っているとエサだけ
取られて空振りが続きたまにハリ掛かりして上がってくると15cm以下の放流サ
イズ。それでも午後8時前には全長24cmの良型を釣り3年ぶりに味わう軟調メバ
ル竿の釣趣を堪能できた。


 キュキュンと一気に引込むメバル特有の引きは刺激的で興奮するものがある。
興奮サイズは結局3匹だけだったが、その代わりに八景島シーパラダイスから打
ち上げられた華麗な花火にしばし見とれることができた。八景沖の夜景と相まっ
て久々の夜メバル釣りを楽しむことが出来た。

 最終的な釣果は本命メバルは7匹(放流2尾は含まず)とアジが2匹だけ。午後10時
に帰宅して捌いて食べたメバルの刺身は甘味がありプリプリの食感も最高だった。
釣れる時間帯にしっかり釣り上げていればもう少し数は釣れただろう。ただガツ
ガツ慌てて釣る釣りモノでもない。家族や子供と夜釣りを満喫することが何より
大切なのではないかな?

                         釣場速報(釣り新聞)掲載



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鴨居大室港一郎丸のタチウオ
2004年11月3日
 10月下旬になって待望のタチウオの活性がやっと高まったという情報をキャ
ッチ。トップで50本以上の数字を掲げる船宿の数が増え出したので11月3日に
鴨居大室港の一郎丸の午前船に乗り込んだ。

 当日の天候は心地よい秋晴れで無風ベタ凪ぎという絶好の釣り日和となった。
祝日ということで片舷8人の16名が乗船。筆者は左舷ミヨシから3番目に釣り
座を構えた。定刻の午前7時30分に港を岸払い。一路下浦沖を目指して約20分
の航程だが、ポイントに近付くと数多くの僚船が船団を形成し、タチウオ人気の
高さを思い知らされた。
 午前8時前には釣り開始となったが、水深が深いことにまず驚いた。

 約140m前後で喰いダナは下から20m上。つまり、120m前後を狙う。晩秋の時期は普通80m前後が喰いダナのはずだが今年のタチウオはどうも勝ってが違うようだ。

 使用するオモリは潮流が速いことも考慮して100号から120号だという。
 実際の潮はそれほど速くはなかったが、水深が深く釣り人の数が多いためオマツリ防止も考えて全員120号に統一。

 それでも時折タチウオが掛かって巻上げてくると隣の釣り人と道糸が交差していることが多く鋭いタチウオの歯を考えると何度も冷汗をかいた。
 運良く当日のタチウオは活性が高いようで、指示ダナをジックリ誘うと120m前後でアタリが出る。だが食い込みは浅く、最初のアタリで合わせても針掛かりしない。穂先にググっと重みが連続的に加わった段階で一気に強く合わせを入れる。すると、完全に針掛かりすると、強烈な引き込みが体感できる。 
タチウオの口周辺は硬く、鋭利なワームフック系の針でもバラシが多くなるので合わせを入れる時には少し強引と思われるほど強く行うこと。
 当日は確かに活性が高くアタリは多かったのだが、なぜか針掛かりが甘く海面
近くでバレてしまうケースが多かった。
 このため、船宿が用意するサバの短冊を針に付ける場合にもチョン掛けではな
く外れにくいように2度の縫い刺しで付けた方が良い。

 また、針のチモトに装着するタコベイトは小さくし夜光パイプの長さも短い方
が食い込みには有利である。仕掛けを目立たせるには水中ランプかケミホタルを
天秤と仕掛けとの中間に装着すると効果的である。
 最も食い気が旺盛だった時間帯は9時30分前後だった。時折、ダブル(一荷)で掛かると電動リールの巻上げが止まりウィーウィーと空回りすることもあった。

 ドラグを少し緩めに設定しておくと大変。巻き上げるのに時間を費やすことになり釣り人の方が疲れてしまうが引き味は堪能できる。

 残念なのは型が今一歩小さい点。全長70cm〜80cmがアベレージサイズである。これは他の釣り人も同じ傾向だから仕方のないことだが「数が釣れる日は大型は少ない」らしい。
 結局、沖上がりの午前11時40分までに22本をあげることができた。因に竿頭は32本だった。

 船長の話しでは「喰いダナさえキッチリ守っていれば置竿でも釣れる。下手に誘うなら指示ダナで待つのも悪くない」という。

 当日も大ドモのベテランは置竿で30本も釣っていたとのこと。ハリスが何度かスッパリと切られていたのも活性の高さを物語る。活性の高いこの時期に釣りに行くことをオススメする。
本日の釣果、型は今一だが、脂がのっておいしそう。
 釣場速報(釣り新聞)掲載



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