忠彦丸のビシアジ釣り
(金沢漁港)
 冬になると一段と美味しくなるのがアジだ。釣果も年間を通して安定している。 そこで年末に納竿のタチウオ釣りで13本を釣り上げた金沢漁港の忠彦丸に午前アジに出掛けた。
 験の良い船宿と独り合点して1月24日の土曜日に釣行した。
 前日まで吹いていた南西風が少しは収まりそうな気配はあったものの相模湾では「南西風に弱い」ため最悪の場合、2時間前後で早揚がりの可能性があった。
ならば、東京湾のアジ釣りなら確実だろうと金沢漁港まで約40分かけてクルマを走らせた。
 出船は午前7時30分。40分前には受け付けを済ませ船内に。釣り座は左舷のミヨシ寄りに構えた。
 
 なぜか午前アジの乗合船には8名ほどしか乗っていない。天候の良い晴天の土曜日だというのに。不安感はそのまま現実のものとなった。航程約25分ほどの観音崎沖に到着し、釣り開始の合図が出たのは8時を少し過ぎた頃だった。 
 ビシ釣りのタックルは2m弱のアジビシ竿に小型電動リールの組み合せ。イワシミンチのコマセを130号のビシに詰め込み水深75mの海に投入。
 
 ビシが着底したら2m巻上げてコマセを振り出す定番の釣り方だ。ハリス2号にムツ針10号2本針の市販仕掛けを腕長40cmの片天秤にセットし、アタリを待つ。
 ところが、20分たっても40分たってもまったくアタリが出てこない。自分の竿だけにアタリがないことは周囲を見渡せばすぐに分かる。なんと最悪の喰い渋りの日に遭遇してしまった。

数日間吹き続けた南西の強風で水温が急激に下がったようだ。午前10時まではまったくアタリがなくこれまでの東京湾のアジ釣りの良いイメージが消失した。
 
 船長から当日の釣り方のアドバイスが告げられた。 「竿は手に持ってビシが着底したら13秒位待って再度タナを取り直して、喰い渋りのアジはタナが合っていないと喰ってこないから」と実に的確で親切なアドバイスがアナウンスされた。
 案の定、流し釣りということもあるが、一度タナを取り直しても30秒も経たないうちに3m前後も深くなっていたりと刻々とアジのタナが変化する。そのタナがうまくあって27cm前後の本命をやっと1匹釣り上げたのはもう10時20分を回っていた。
2匹目と3匹目までは順調に釣り上げるといよいよ終了の時間までもう後20分もない頃になってやっとアジの活性が高まってきた。
 左隣(胴の間)に座った横浜市の大平さんは今日始めてのアジを釣り上げた。なんと全長36cm前後もある良型の観音三崎沖のアジである。体高があり丸まると太った脂の乗ったまさにブランドアジだ。
 喰い渋りの厳しい条件下で釣り上げた貴重なアジといっていい。嬉しそうな笑顔が何よりも厳しい当日のアジ釣りを物語っていた。 
 船長の粋な計らいで10分ほど延長時間をもらったものの残念ながら筆者は4匹という釣果に終った。
 
 当日の船中はゼロから10匹だったという。季節風と水温低下イコール喰い渋りという図式に四苦八苦の日となった。

 教訓として「いつでも簡単に釣れると思うなブランドアジ」である。4匹のアジはすべてタタキにして美味しく食べたことはいうまでもない。
釣場速報(釣り新聞)掲載
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みのる丸の丸アジ(浦賀港
2004年9月23日
 東京湾のアジは型に関係なく美味であることは熟知している。特に秋口になれば
脂も乗って一層旨味が増す。そんな絶品アジを釣りに浦賀港・みのる丸にお世話に
なったのは9月23日の秋分の日。ビシアジ初体験の釣友の加藤氏と胴の間に釣り座
を構え、定刻の午前7時30分より少し送れて港を後にした。最初のポイントは第二
海堡が目前に迫る水深25m前後の浅場である。

 それでも普段は潮が速い日が多いためかビシは120〜130号を使用。筆者は電動
リールを使ったが、ここみのる丸では深くても60m程度だから手巻きリールで十分
事足りる。ハリス2号の3本バリで様子を見るが、なかなかアジからのアタリが訪れ
ない。潮が動いていないことと澄潮のためか喰い気が極端に悪い。潮回りも長潮だ
からドンヨリした活性のない海のようだ。


 ただし、天候は薄曇りで時折薄日が射す涼しくて海上も穏やかだから釣りはしや
すく快適ではある。喰いダナは底から2mという船長の指示に合わせてアタリを待つ
が、周囲もアジからのアタリが遠いことにヤキモキ。やっと食い気が出て来たのは
午前10時30分頃からだ。だが、喰いが浅いためか海面でバラす人が多く、船内に取
り込む際に「アッ、バレた。なんだよせっかく貴重なアジなのに」というボヤキが聞
こえる。型も20cm弱とやや小ぶり。30cmを超える良型ならタモを使うが、小アジ
なら大丈夫だと思って抜きあげる。だが、アジはたとえ水深25m前後でもハリの掛か
りどころが悪ければすぐにバレてしまう。左隣のベテランは喰い渋りでもコンスタント
に20cm弱の本命を釣り上げている。その差はどこにあるのか。話を聞くと「タナは
底から3mにしてます」とのこと。潮が動かない喰い渋りの日には微妙な喰いダナを
釣り人が探し当てる必要がある。活性の低い日のアジ釣りは奥が深いのということだ。

 初体験の加藤氏もアタリの少ないアジ釣りに「ビシアジというのはなかなか難しい
ものですね」と顔色も冴えない。筆者が浦賀や久里浜付近のアジは良型が多く型が同
じなら間違いなく相模湾のアジより美味だと言い切って誘ったため立つ瀬がない。
数釣りができないだけでなく型も今一歩だから不満が募る。当日アオイソメの付けエサ
まで前夜に釣具店で購入してきた加藤氏には申し訳ない気分でいっぱい。トホホである。


 やっとアジの活性が高まったのは沖上がり直前の約20分間程度。竿先に感じるアジ
特有のクンクンという上品で小気味良い引きを味わいながら釣り上げてやっとアジが
9匹に達したところでタイムアウト。筆者は30cm級のサバ1尾を含めてやっとツ抜け。
これになぜかシロギスが1尾加わり晩の酒のつまみにはなんとかカッコがついたものの
初体験の加藤氏には今度は相模湾の30cmオーバーのアジを釣りに行きましょうと約
束して帰路に付いた。ただ今まで食べたアジの中で最も旨かったと加藤氏からメール
をもらった時には正直ホッとした。東京湾アジは型に関係がなく美味であることは
一応証明できたようである。



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                                   釣場速報(釣り新聞)掲載