小田和湾志平丸ボートカレイ
(2006年4月22日)
 旬の魚を追い掛けるボート釣りファンにとってこの時期の戻りガレイは特別な感情を持つ。肉厚で良型が多く釣れるからだ。最後の取り込みまで気を抜けない一瞬があり、とてもスリリングな体験をすることができた。
 出掛けたのは4月22日。すでに花見ガレイの時期としては遅くなったが、まだまだ良型が釣れると思い、三浦半島の佐島港の船宿「志平丸」?(0468-56-0170)から手漕ぎボートを借りて久しぶりの小田和湾に浮かんだ。天候は晴れ。気になる風は北寄りの微風で途中から南風に変わったが、ウネリは皆無の凪ぎで絶好のカレイ日和だった。
 自分で探し出したポイントは円形のイケス(イワシ用)の沖側にある1.2mほどの黄色い灯標の近くだ。水深は9〜10m。海底地形はどうも点々と小さな根があるようで時折仕掛けが引っ掛かるがハリス切れのような根がかりはない。
 注意点としてイケス回りにはロープや鉄鎖が沈んでいるので約30mは離れた方が良い。
 ちょうど上手くアンカリングできたようで、早速釣り開始。時計の針はすでに午前8時近くを指していた。潮は長潮で午前10時20分前後が干潮だから時合には間に合った。
 カレイは潮変わりの前後2時間以内に喰いが立つ。予想通りに釣れることはめったにないのだが、今回は運が良かった。
 タックルはシロギス用と同じでパックロッドに小型スピニングリールの組み合せ。長さは1.8mから2.1mのものを3本。基本的に置竿でジックリ狙うためもう1本追加しても良かったが、集中できる数は3本が限界。1本は足下狙いで残りの2本は20m前後投げて時々ゆっくりと誘いを入れる釣り方が功を奏したようだ。
 最初の1匹は午前9時35分。ゆっくりと誘いを入れて仕掛けを手前に移動させようとした途端、ゴンゴンときてカレイ特有のアタリを楽しみながらリールを巻き上げて最後のひとノシに細心の注意を払いタモ取りしたのは全長36.5cmの良型だ。
 冷汗ものだったのはタモ入れした直後に口からハリが抜け落ちたこと。カレイはエサを吸い込む習性があるため時々そうしたことがあるとは聞いていたが、まさかそんな簡単に外れるとは。
ばらす寸前にタモ入れに成功!かなりの良型だ。
 釣り上げた直後に風が南西に変わり、ボートの向きが大きく変わった。ポイントが多少変わったことが凶と出るか吉と出るか。マメにエサのアオイソメを付け加えてボリューム感を演出しつつ常に新鮮なエサを付けたのも良かったようだ。
 次の時合は読み通り干潮時間から約40分過ぎの上げ潮できた。
今度は最初から強烈な引きを堪能できた。ゴンゴンゴンという平を打ったような独特な引きに加えて途中での痺れるような突っ込みがたまらない。やや軟調子の竿先が海中に半分以上没し、もう少しでリールまで浸かるか否かといったところまで手こずらせて浮いてきたのは全長38cmの当日最大サイズ。危なかったのはタモ入れ直後に今度はハリス切れ。ハリスは2号だが魚が暴れた瞬間に傷の入った箇所から千切れた感じだ。ハリスは3号が理想だと痛感。
 最後の1枚は昼12時5分前。すでに風は南西風になっていたが、強くないので安心感があった。仕掛けを引き摺りながらかなりボートの近くになったのでエサを付け替えようと思ってリールを巻き始めた途端にゴンゴンゴンと。心の中で「オイオイ、本命が3匹も釣れていいのか」とほくそ笑みながら余裕を持ってタモ入れ。ややこぶりながら全長33cmのマコガレイ。今度はシッカリ咽までハリが刺さっていた。
 さて、ここで不思議な共通点があることに気付いた。
 3匹のうち2匹は赤く塗られたスパイクオモリの仕掛けに掛かった点。しかもハリのチモトには赤い毛針を付けていた。
 スパイクオモリは海底を引き摺り際に砂煙りをあげるため効果的かと思い、毎回使っているが、今回はこれも良かったようだ。赤い色が効果的かどうかは定かではない。
本命サイズを3枚もゲットして著者は満足であった。
 仕掛けの全長はやや長めの1.2m〜1.5m。常にエサが海底に着底していることが大切と考えたためである。潮流の速さにも影響されるが、短いよりはカレイには良いようだ。
 時合はとうに過ぎたと判断して午後1時前にはポイントを移動。ホソ根の岩礁帯でカサゴを狙ってみた。持参したサバの切り身を付けてトライしたが、小さなオニカサゴとアナハゼが釣れた(リリース)だけ。風も若干強くなりかけたので午後3時過ぎに着岸した。
 自宅に戻り五枚降ろしで刺身で食したが、しっかりとした歯応えと甘味がありとても旨く、酒の量が増えたことは言うまでもない。
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小網代湾油壺沖ボートでマルイカ
(2006年7月22日)
 今年はマルイカが豊漁だという。油壺周辺の浅場(水深15m前後)で乗合船の釣果がトップで30杯を超す日も珍しくないと聞き、ならば手漕ぎのボート釣りでも少し位は釣れるだろうと軽く考えて7月22日に油壺釣船組合(?0468-81-2873)に出掛けた。天候は朝のうちは小雨模様だったが、貸しボート店から漕ぎ出す頃には曇天になり、風は梅雨時らしく北寄りの微風。
 波静かな横掘海水浴場から漕ぎ出したのは午前7時45分頃。最初のポイントは油壺マリンパークと水族館の建物が見える水深約18mの根際にアンカリングしたが、アタリが遠い。根際のポイントか否か確認するために根魚狙いの仕掛けをサバの切り身エサを付けて落としてみるが、どうも海底には根がないらしい。
 そこで風も無風に近く潮流も緩いようなので思い切ってノーアンカーの流し釣りに挑戦。ボートは朝のうちはゆっくりと西(沖)側に流されていたが、午前10時を過ぎると風向きと潮の流れが変わったようで徐々に岸寄りに流されるようになった。
横堀海水浴場にあるボート置き場。大変風光明媚な砂浜である。
 営業時間が朝7時30分からというので有料駐車場(500円/1日)に約10分前に到着すると、すでにボートファンが数人トランクを開けて道具の準備に余念がない様子。筆者もイカ用タックルの他にサビキ&根魚狙いの欲張り仕様で臨んだ。実際、イカは神出鬼没でボウズになる可能性が高いので、リスク回避の準備が欠かせない。
 それまではアミコマセを詰めたサビキ仕掛けに小さなカタクチイワシを5点掛けしただけでまともな魚からのアタリもなく、「今日はダメかな」と諦めかけていると、マルイカ狙いの地元乗合船がなにやら近くを潮回りしているではないか。いよいよマルイカが回ってきたようだが、釣り船に近付けるのはマナー違反だし、それ以前に危険でもあると判断し、相変わらず流し釣りを続けながら適当な根際を探索していた。
 すると突然根魚狙いの竿先が海中に没した。だが、完璧な根掛かりで天秤ごと仕掛けをロスト。悪いことは続くもので、マルイカ狙いの仕掛けもスナップサルカンから下をすべて根に取られてしまった。浮きスッテ5個の損失は痛かった。だが、これが怪我の巧妙の序章だったのだ。
 仕掛けを作るためにその場ですぐにアンカーを落として浮きスッテを5個付けたブランコ仕掛けをセットて投入。
 置竿にしてカサゴ狙いの仕掛けを作りかけた瞬間、イカ竿が微妙に上下動してボートの揺れとは明らかに異なる引きを伝えた。ゆっくりと竿を持ち上げてリールを巻くとグングンというマルイカ特有のアタリが到来。
「やっときたか」でも慎重に巻き上げないとバラシてしまうと思い道糸のテンションをかけたまま仕掛けをたぐると可愛いマルイカがなんと2杯も付いていた。
やや曇り空で風も少なく絶好のコンディションと言えそうだ。
 なんとか本命を釣り上げてホッとしたものの、怒濤の入れ乗りはなんと約1時間20分も続いたのには驚いた。11時45分頃からだ。天気は雲間から薄日が射し込み暑く感じるほどになっていた。潮も適度に北方向に流れていて、海面にはアマモの切れ葉などの海藻類が流れ、潮が適度に動いていることを物語っていた。
 爆釣ポイントは目の前が油壺の水族館が見え、斜め沖には定置網の端を示す赤い旗付きブイが見えた。水深は約13m。仕掛けの長さが約7.5m。仕掛けを着底させて1mほど巻上げて置竿にすると10秒程度でイカが浮きスッテを抱け抱える感触を穂先に伝えてくる。釣れない日にはどんな工夫を凝らしてもダメなのにいったいどうなっているのだろうかと首を傾げたくなった。もしかすると最初に海底に沈んで失った5個の浮きスッテが良いコマセ代りになったのかもしれない。
 竿は中通しでオモリ負荷10号〜30号のやや胴調子の軟調竿が小気味良い引きで湾曲する姿を見るのは快感の一語に尽きる。もちろん掛かりどころが悪く何度か海面でバラすこともあったが、スッテに付いたスミを拭ってすぐに仕掛けを落とせばすぐに乗ってくる。
 コンビニの握り飯を頬張る時間も極端に少なく小便をするのにこれほど慌ただしかったことは今までのボート釣りでは経験がない。
 結局、ボートを返却する時間ギリギリまでポツポツと乗っていたが、午後2時30分、時間切れで慌てて漕ぎ帰った。
 凪のため約20分で着岸することができたが、もしあと30分も釣っていれば、たぶん50杯は確実だったように思う。
 最終釣果はムギイカ1杯を含む40杯を釣り上げて大満足のボート釣りを体験することができた。
筆者のかっかくたる釣果。これほどまで、イカに恵まれたことは過去にそうざらにあることではない。いかんともしがたい嬉しい結果である。
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長井港沖手漕ぎボートで青物
(2006年9月21日)
 今年は数年ぶりに相模湾のワカシ&イナダが乗合船では好調だというので「それなら手漕ぎボートでもそこそこ釣れるのでは」と例によって甘く考えて出掛けたのは9月21日。
 前日の天気予報では北寄りの微風で凪ぎ。訪れたのは秋の青物狙いでは実積のある長井港沖のツブ根回り。仮屋ボート店からボートを漕ぎ出した時間は午前8時。潮は大潮初日で干潮が午前10時27分頃だから慌てることはない。潮変わりが時合と読んでいたからだ。しかもその後は夕方まで上げ潮のため喰いは良いと勝手に目論んでいた。
 ところが、ポイントにうまくアンカリングできず苦しい展開。ツブ根には黄色と深緑の2トーンカラーの鉄柱があり、そこから北西側に数百メートルカケ下がった水深25m前後のところがポイントである。潮流と風向きを考慮しつつアンカーを打つが、最初は9mでやり直し。次にやっと18mで落ち着いたので竿を出してみることにした。時計の針はすでに8時50分を回っていた。青物は基本的にアミコマセを撒いて魚を寄せる釣法だが、回遊魚だけにルート(通り道)での待ち伏せができないと悲惨な結果となるケースが多い。
 当日も1時間以上経っても外道の小魚すら掛からないので潮変わり前の午前10時少し前にアンカーを上げて再度ポイント探索。最終的に水深約30mのやや深いポイントでアンカーを入れて粘ることにした。

 当日のタックルは2本のライトタックルロッド(1.5mと1.75m)とやや硬めの中通しロッド2.1mを小型両軸リールと組み合せた。仕掛けはウィリー巻のサビキ仕掛けとサバ皮のサビキ仕掛けをセット。もう1本は4号3m2本針にオキアミを付けた底狙い用を欲張った。しかし、この3本の竿出しが後でとんでもないトラプルと不運に遭うとはその時は考えもしなかった。
 当初の目論み通りに午前10時20分頃に竿が一気に海中に没した。
 穂先の軟らかいロッドが満月になり上がってきたのは全長35cm前後の良型平ソウダガツオ。
 この1匹でこのポイントが間違いないと判断し、マメにコマセを詰め替えて投入を繰り返すと今度も同じウィリー仕掛けにヒット。残念ながら丸ソウダだったが、素早くエラを指でちぎって血抜きをする。
 すると10分もしないうちに同じ竿の穂先が微妙な振動を繰り返し、その数分後に突然竿が持って行かれる強烈なアタリが続く。
ソウダガツオの引きは強烈だ。サビキに同時に3匹もかかるととんでもないことになる。早めの手返しが必要で一刻を争うことになる。また、鮮度が落ちるので血抜きも早めにせねばならない。
 午前11時を過ぎてもポツポツとアタるが、ほとんどがウィリー仕掛けの竿にヒットする。色は白とピンクに好反応を示した。サバ皮に掛かったのは2回だけ。オキアミエサの2本針仕掛けにも2匹だけソウダガツオが掛かった。
 海面近くになると仕掛けをグルグルと回転させて上がってくるため他の竿の道糸と絡んだり、隣の仕掛けを引き摺りながら上がってくるため、仕掛けの修復に時間をとられる。
 その手間が不運を呼んだ。脇見をして仕掛けのモツれを直していた次の瞬間置竿にしてあった硬めの中通しロッドが突然ジュボっという音を立てて海の藻屑と化した。リールのクリックをオンにしておけばギア音と道糸出しが可能だったことを忘れていた自分のミスである。「大きなイナダが掛かったのに違いない」と気を取り直してコマセの詰め替えと仕掛けの投入を繰り返す。
 楽しいのはなんといってもライトタックルでソウダガツオを釣り上げる時間だ。下オモリ30号の仕掛けに35cm級の魚が掛かれば、もう竿は満月状態。リールのドラグが効き、スプールが逆回転する場面も何度か体験して、満足感は得られた。
 もちろん、イナダかカンパチが1匹でも釣れれば満足感はもっと高かったかも知れないが、自分で探し出したポイントで釣った実感を味わえるボート釣り。その醍醐味は乗合船にはない別の充実感と優越感がある。
 ふと、気がつくと雲間から太陽が顔を覗かせて青空が見えていた。風も朝に比べると弱くベタ凪ぎに近い状態だ。潮は夕方5時前に満潮を迎えるが、帰港時間は午後3時。ギリギリの午後2時30分まで粘ったが、ついに高級青物の姿は見られずに終わった。海中に消えた硬めの中通しロッドとリールを引き摺って回遊している魚は一体どんな魚だったのだろうか?
 釣り上げたソウダガツオは12匹。サイズは33〜37cm。1匹のみ30cm級のサバが混じった。
ソウダガツオは味噌とネギ&生姜を加えたナメロウの他に漬けと角煮で2日間はソウダづくし
の食卓となった。 
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長者ケ崎オオモリボートカワハギ
(2006年11月25日)
山間の木々が冬支度を始める頃になるとカワハギを釣りたくなるのはグルメ釣り師でなくても同じはず。水温が20度を下回ると外道の種類と数が減るため、ボート釣りでもそこそこ成果を挙げられると判断して釣友の加藤氏を連れ立って長者ケ崎のオオモリボート(090-1776-6586)に向ったのは11月25日。
 当日の天候は爽やかな秋晴れ。しかも風は弱く波もほとんどない絶好のボート釣り日和だ。季節風が吹けばボートが出せない時期が近付いているだけに「カワハギ大漁」を思い描いたのだが。
 オオモリボートを選択したのは葉山周辺がカワハギ棲息に適した海底地形を持つからというだけではない。釣りたい対象魚を告げれば行きと帰りは曳き船してくれるサービスがあるからだ。もちろん、途中でポイント移動をしたければ自由に探索することも可能である。その場合は手漕ぎでドウゾとなる。また駐車場が7月〜8月末以外は無料という点も魅力だ。
 それだけに天気の良い週末は混雑必至。当日も午前7時頃には満車に近い混雑ぶりに驚いた。大半はボート釣り客と予想される。
長者ヶ崎のオオモリボート。

なだらかな砂浜がボートの発着場所だ。しかし、海底にはところどころに根があり、はまれば、大漁をも期待できる。つまり、隠れポイントが随所にある楽しみな場所でもある。

 釣友が来るのを待って曳航されたポイントは葉山公園の真沖。水深は約10m。アンカーを入れて早速釣り始めて分かったのは海底が険しい岩礁帯ということ。タナを取り直すと時々ストンと1mほど落ち込む場所もあり根がかり必至のポイントである。カワハギ釣り初めてという加藤氏にアサリのムキ身のハリ付け方法を教えてから筆者も支度をしている最中に「根ががりした」と言う加藤氏の声が2回も。うまく根がかりを外す基本テクニックを伝授。
 当日の筆者のタックルはカワハギ専用竿1.8mに小型両軸リール。道糸はPE2号を使用。オモリは25号。根がかりを考慮して球形を選択。色は蛍光グリーン。仕掛けは市販のもので、ハリス3号5cmが3本。ハゲバリ5号を使った。エサは冷凍アサリ。秘密の特エサと言われている冷蔵ブラックタイガーを持ち込んで実験も試みた。
 ところが、天気の良い凪の日というのは案外魚の活性が低い日が多い。当日も釣り開始から約1時間が過ぎてもカワハギからの反応は遠い。ただ外道のササノハベラやキタマクラが釣れ始めたので「間違いなく寄ってきている」と睨み、タタキ釣りと弛ませ釣りを複合させた釣り方で粘る
 一方、初挑戦の加藤氏は硬めのシロギス竿を使ってトライ。仕掛けを上下させて誘う聞き上げ釣法で最初の1尾目を釣り上げて満面の笑み。「聞き上げた後に向うから掛かってきた」という加藤氏曰く
「なんだか分からないううに釣れていた」と納得がいかない様子。それでも午前9時30分を過ぎた頃から明確なエサ取り名人芸が展開され始めた。オモリ着底後約30秒でエサがすべてなくなり丸裸に。
 「間違いない、ボート下に群れは居る」と確信してマメにエサ付けをして投入を繰り返すが筆者の竿にアタリは訪れない。筆者にやっと1尾目がヒットしたのはなんと午前10時少し前。型は19cm前だから悪くはない。ボウズ回避の安堵感から欲を出してコマセカゴにサビキ仕掛けをセットした竿を捨て竿として出してみた。海水を触ると暖かいため、これならまだアジやサバは釣れるかも、という姑息な五目狙いに方針変更。
 とはいえ、アミコマセを撒いてカワハギを足留めさせるという発想が実は根底にある。東伊豆の網代ではボート釣りのカワハギ仕掛けはサビキ仕掛けで狙うのが一般的。コマセに寄る習性を利用した効率的な釣法だ。ただ外道も増える場合もあるので潮具合に応じて臨機応変に。
加藤氏の勘の鋭さは本物だ。たちまち、次々と6枚のカワハギを釣り上げる。カワハギはエサ取りの達人である。それを仕留めるには、着底と同時に糸フケを取り、微妙なアタリに神経を集中せねばならない。このわずか、20秒ほどが勝敗の明暗を分けるのだ。勘の鋭さが釣果を左右する非常にテクニックの必要な釣りと言えよう。
 加藤氏は勘が鋭いのか10時までに軽く6匹をクリアして自信を持った様子。オモリを底に付けたままだとすぐに根がかりするため底上げ20cmで仕掛けを上下させて誘う聞き上げ釣法を実践し続けた結果だという。途中叩き釣りをしてから弛ませを入れると仕掛けが根がかりでロストするため、叩き&弛ませ釣法は避けたとのこと。当日ポイント変更は1度もしなかった。加藤氏の仕掛けはハリス2cmの超ショートハリスを使用していた。
 筆者は一途に叩き&弛ませを続け11時頃になってやっと5枚を釣り上げなんとか晩のおかずは確保できた。加藤氏はすでに10尾で余裕のツ抜け達成。師弟関係の立場は完全に逆転した。
 昼過ぎになると活性が落ちたが、エサの取られ方は相変わらず。午後2時の沖上がりギリギリまで粘って6尾を釣り上げた。加藤氏は12尾で筆者の2倍を釣り上げた。
 最後に特エサのブラックタイガーの効果だが目論み通り。ただ塩漬けする時間が短いと身崩れしやすいので釣行前日には塩漬けして冷凍庫に保管しておいた方が良い。当日はマルキューの「塩にんにく」に2時間程度漬けただけだったが、喰い気はバッチリ。ハリ先を埋め込んで丸く付けるだけだからアサリほど刺し方に神経を使う必要はない。
 加藤氏もブラックタイガーで数匹釣り上げていたから効果ありと見て間違いない。
 教訓として付け加えたい点はオモリと仕掛けは予備を充分に持参すること。根がかりによるオモリのロストは特に多く、10個以上が理想だ。
筆者の全釣果。今回に限って師弟関係は逆転したが、著者は気にしない。なぜならば、著者はオールラウンドプレーヤーだからである。
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