新安浦の沖の新年ボート釣り(2004年1月3日)
 毎年、正月明けの初釣行には頭を痛めることが多い。どの魚をどこに釣りに行
くかということに加え冬の季節風で計画通りに行かないことが多いからだ。特に
風に弱い手漕ぎボート釣りはほとんど不可能に近い。
 
 ところがである。今年の三が日はなぜか穏やかな日が続いた。そこで思い切っ
て新規の場所でボート釣りを楽しむことにした。1月3日のことだ。

 場所は以前から一度は釣ってみたかった新安浦の沖である。平成港と新安浦港
が隣接し、大型船の航行するベテラン向きのポイントだと専門誌には書かれていたが、海底は岩礁帯の根が多く起伏に富んだ魅惑的なボート釣り場だ。素人知識
で恐縮だが、海底に複雑な根が点在しているポイントでは漁師が底引網を入れる
ことができないため底生魚は豊富に棲息しているだろうと考え、この時期として
一番に狙いたいマコガレイを本命に決定。
 
 しかし、当日朝8時前に小川貸ボート店に出向いてみると「今の時期はカレイ
は産卵の時期だから難しいよ。今年はアイナメの方が濃いから狙ってみたら」と
いうので、持参したイワイソメを有効に使うために一応アイナメ狙いに変更して
店主にアイナメのポイントを聞いて午前8時15分には漕ぎ出した。
 
 最初のポイントは赤灯台堤防とうみかぜ公園の真沖のほぼ中間付近。岸からの
距離は約250m〜300m。水深は約12m〜13mで釣り開始。市販のカレイ仕掛け
にイワイソメとアオイソメをミックスしてたっぷりと付けて投入。竿は振り出し
式コンパクトロッドの1.8と2.1mを使用。アイナメ用のブラクリ仕掛けは温存
した。
 
 30分経ってやっと掛かったのはシロギス。プルプルとした小気味良いアタリは
なかったが、20cm弱のまずまずの型。次いで明確なアタリで釣れてきたのはアナ
ゴ。ハリを飲み込んでいたので仕方なくキープ。午前10時を過ぎる頃になるとア
タリが途絶えて付けたエサがそのまま戻ってくる回数が増えたのでポイントを移動
した。

 当日は無風で快晴といった絶好の釣り日和だったので思い切って流し釣りに挑戦。
案の定、潮流も極緩やかでほとんどボートが流されない状態で安心。ただし、アタリ
はなく退屈してしまう。2尾目の小アナゴを追釣した後は何も当たりがない。
海底は何やら適度なツブ根と起伏のある状態が続くため潮が流れれば必ず釣れるは
ずと確信が持てた。
 
 白灯台の沖堤防の右端とノリ棚の中間にアンカリングしたのは潮が満潮になる約
1時間前、昼12時頃だった。午後1時15分頃が満潮だったからそろそろカレイの時
合と考えてジックリと待つことにした。潮は適度に流れていたが、エサは取られな
い状態が続く。
 
 しかし、午後12時45分、待望のカレイからのアタリがきた。慎重にリールを巻
くと途中から強烈な引きでリールが一瞬巻けなくなる。「こいつはデカイ」と判断
してタモ網を右手に持ち、浮かせたカレイを網の入れようとすると最後の力をふり
絞って抵抗する。海中に頭を振って潜ろうとするのだ。なんとか再度浮かせてやっ
との思いでタモに納めた。全長は35cmだが肉厚でまさに真子を腹に抱えた最高の
マコガレイだ。
 
 その直後から潮の流れ方と向きが変わり根回りのカサゴ狙いに転向。持参したサ
バの切り身があったからだ。店主に教えてもらった横須賀海辺釣り公園の端と新安
浦港の間のテトラポット(約15m前後)をボートをゆっくりと流しながら狙った。2
回ほどカサゴからのアタリは感じ取れたが、不発に終った。ボートの返却時間は午
後4時だったが、念願のカレイが釣れたので午後3時過ぎに岸に戻った。無風ベタ凪
ぎのボート釣りを正月の時期に満喫できたのはここ数年間では記憶がない。
 
 しかも、まったく初めてのポイントを魚探ナシで探しながら良型カレイが釣れた
のだから今年はもしかするとアタリ年になるかも。
 
 参考までに、ここ新安浦のボート店は小川貸ボート店(電話=0468-22-6055)
しかないようだ。午前5時には当日の天候、風向きなどを吟味してボートを出すか
否かを決定するため、当日でも必ず電話を入れてから出向くこと。なお、当日のベ
テラン親子はビール瓶級のアイナメを数匹釣り上げていた。根魚の豊富なボート釣
り場としても有名だ。


インデックスへ                      釣場速報(釣り新聞)掲載
新谷丸小網代港沖メバル釣り
(2006年5月22日)
 この時期数釣りが楽しめる魚と言えば普通ならシロギスと答えるだろう。だが意外と知られていないのがサビキ仕掛けで狙う洲の崎沖の沖メバルだ。小網代港で唯一遠征船を出している新谷丸に乗り込んだのは5月22日(月曜)。天候は薄曇り。海上は少し南西の風が吹いていたがウネリは小さく気になるほどではない。
 出船時間の午前7時30分には8人の沖メバルファンを乗せて一路洲の崎沖を目指す。航程はちょうど90分。
 釣りを開始する午前9時過ぎには天気も好転し、風も弱くなり遠征釣りとしては快適な日和となった。ポイントは水深85m〜100m前後。仕掛けを降ろせば間違いなく入れ掛かりとなるのが多点掛けを満喫できる沖メバルの醍醐味である。
 オモリは80号を使う。仕掛けは8本バリのサビキ仕掛けなのだが、魚皮のバケが船宿特注で、コレを使わないと釣果は半減どころか最悪の場合はスソになることも珍しくない。
 筆者の釣り座は右舷胴の間。タックルは中通しの3mロッドに小型電動リール。サバ皮であることは筆者にも分るのだが微妙に皮が茶色なのが特徴。
筆者の当日タックル
 船長曰く「サバ皮サビキといっても他のとはモノが違うし、他では売っていないですから」と自信たっぷり。因に、ハリスは1.5号で幹糸は3号。枝スは20cmで枝間は45cmと長い。全長は4m以上となる。針はチヌ1号と小ぶり。
 ところが、この仕掛けが爆釣をもたらすのだ。
 最初のポイントは水深85m前後で底ダチを取り1m誘い上げると3秒後には沖メバル特有のグググッ、グングンと断続的なアタリが竿先に現れる。
 大切なのはこの後で、多点掛けを達成するには最短でも2分は待った方が良い。
 その場でジッと穂先を見ていれば良い。3回目のグイグイで1m程度ゆっくりとリールを巻き上げればそれがまた誘いになり、ハリに魚が掛かるという寸法だ。
沖メバルを見事ダブルでゲットした外川氏(横浜市在住)
 筆者も最初の投入から5点掛けを達成。体長20〜25cmの良型沖メバルがズラズラっと海面を割って抜き上げる瞬間は最高の気分。
 ハリ数の多い(8本)サビキ仕掛けは取り込みで手返しに差が出る。重要なのは船内に取り込んだ魚を外す時に幹糸のテンションを保つこと。
 できればオモリは船外にぶら下げて魚を下側から外しながら仕掛けを徐々に船外に出していけばすぐに再投入できる。コマセは使わないし、エサ付けも不要だ。
 潮はゆっくりと流れているので魚の活性は高く、食い付きも良い。このため外道も元気だ。定番のアカイサキがハリ掛かりすると、ギュギューンと鋭角的に穂先を絞り込む。
 ただクロムツが掛かるとハリス切れが多くうまく取り込めるか否かは口回りの掛かり所で決まるようだ。
 残念ながら筆者の外道にクロムツは混ざらなかった。「ハリス切れの大半はクロムツでしょ。サバなら上がってきますから」と説明してくれた。
 ハリスがもう少しだけ太ければという場面は何度かあったのだが。
良型のクロムツをゲット、ご満悦の入野氏(横浜港北区在住)
 午前11時30分を過ぎると喰い気が落ち、仕掛けを市販のサバ皮仕掛けに替えたこともあって、昼過ぎから筆者はわずか1匹の沖メバルが釣れただけ。
 午後1時頃には南風がやや強くなったため午後2時には沖揚がりとなった。
 帰路も約1時間30分かかるため早めの納竿となった。
 沖メバルの船中釣果はスソで26匹、トップで74匹だった。
筆者の全釣果(右)
 筆者は沖メバル30匹にアカイサキ4匹、大サバ1匹で久々に満足の行く釣りを満喫できた。煮付けに塩焼きの他バターソテー、頭などのアラは潮汁にして食した。酒量がいつもの2倍になったことはいうまでもない。

 恐るべし船宿特注茶サバ皮サビキ仕掛けである。

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真鶴2馬力貸しボートでカワハギ
(尻掛浜2006年12月16日)
 「真鶴方面のカワハギは大型が多い」という釣友の加藤氏の情報をもとに12月16日の土曜日に真鶴の貸ボート店の緒方ボート(?090-9684-9805)を訪れた。同店は約3年前に開業した2馬力ボート主体の完全予約制が人気。実は2週間前に電話で予約を入れたところ「16日は2馬力ボートがいっぱいなので手漕ぎを予約してもらってキャンセル待ちで対応して下さい」とのこと。
 免許不要2馬力ボートの効果なのか大型カワハギの人気のおかげかは定かではないがハッキリしていることは他の地域に比べてレンタル料金が1日2人乗りで5000円(平日は4000円)と格安という点。しかも燃料代込みだから良心的である。
 当日は運良く「1艇追加したので2馬力ボートで楽しめますよ」ということになり、ホッとした。だが、その安心感が後で大きな痛手を被ることに。
 加藤氏のクルマに乗込んで自宅の藤沢を出発したのは午前6時10分頃。真鶴到着は午前7時10分。無料駐車場にクルマを止めて支度をしてから送迎用の軽トラックに乗り込む。尻掛浜の海岸近くまで約5分。なかなかサービスの良いボート店だと感心する。
 ゴロタ石の続く乗り場で店主に挨拶をして当日のカワハギポイントを海上を眺めながら細かく指示を受ける。海上は波も静かで穏やかな凪。絶好のボート釣り日和であった。午前8時前にはホンダ製2馬力エンジンを駆って颯爽と右手(福浦漁港沖)方向に走らせてポイントに到着。長くのびる定置網の脇に同じカワハギ狙いの手漕ぎボートが2艇浮かんでいたので見つけやすい。
 目印となる定置網周辺のブイは数が多く、ポイント選定に迷うが、ロープに干渉しないようにうまくアンカリングすることが肝要である。水深は26m前後。海底の地形は岩礁帯というよりも砂地にツブ根が点在する感じ。根がかりは極めて少ないので、釣り始めてから少し不安がよぎる。
 釣り開始から約40分の間に釣れたのは釣友の加藤氏のササノハベラとキタマクラが数匹。筆者もエサ(アサリの剥き身)が取られるようになってからようやく本命カワハギが釣れたのはなんと午前9時30分頃。加藤氏の話では「1cm弱のショートハリスにするとアタリが明確に分かるから楽しい」というので、早速私も市販の超ショートハリス仕掛けに交換してみた。
 すると今まで感じなかったアタリが明確に出て、立て続けに3匹を追釣する。型は18cm前後だから良型ではないが満足できるサイズだ。釣り方はそれまでの叩き&弛ませ釣りから聞き合わせ中心に変更する。
 オモリが着底して道糸をピンと張ってアタリを待つとすぐにゴツゴツ、ツンツンとアサリを啄む感触が伝わってくるので、軽く聞き合わせてやると、コンコン、ググッと針掛かりして小気味良い引き味とともに釣れてくる。
 特エサとして持ち込んだ冷蔵ブラックタイガーも効果抜群。活性が高い時間帯はアサリと同程度にハリからきれいに消えていた。実際ブラックタイガーを加えて上がってきたのは全体の4割もいた。エサ付けが容易で、エサ持ちも良い点も見逃せない点だ。
 超ショートハリスにて、カワハギを連続して釣り上げる加藤氏。活性が高い場合、アサリは投入と同時に消え失せ持ちが悪くなる。こうした場合、アタリを素早く感知することと、持ちのいいブラックタイガーを餌にすることは、釣果を上げることになるということがわかった。
 それでも3匹目以降は再び、驚異的なエサ取り攻撃に頭を悩ませ、結局叩き&弛ませ釣りに戻ってしまう。外道のキタマクラが増えたこともあって、大型狙いのポイントに移動。時計の針はすでに10時30分を過ぎていたが、せっかく念願の真鶴に来たのだから大型を狙おうということになり、水深約50mの深場にアンカリング、と思ったがロープが足りないためやむなく定置網とは違うブイに括り付けた。潮流と風向きを計算に入れて、釣り再開。
 すると、数分もしないうちに25cmの良型が釣れ、ここなら大型連発かと思ったが、甘かった。水深が深いためか多彩な外道が棲息しているようで、加藤氏が縦縞が鮮やかなシマダイを釣り上げてからはまたキタマクラが多くなり、カワハギの魚影が減ったため、今度はアマダイ狙いに変更することで意見が一致。場所を大きく移動することになったが、こんな時でもエンジン付ボートならなんのためらいもない。
 アマダイポイントは福浦漁港真沖の大きな定置網から南東に下り、水深約70m前後の砂地帯を流し釣りで狙うことになる。本来ならパラシュートアンカーを船首から投げ入れて潮流にまかせて釣るのだが、当日はほぽ無風ベタ凪ぎだったのでまったく影響はなかった。仕掛けをアマダイ用ハリス3号2.5mの2本バリにオキアミを付けて投入。
 釣り再開からものの15分で加藤氏が「オッと凄い締め込み、もしかするとアマダイかな」と慎重にリールを巻いている。70mの底から浮かんできたのは紛れもない綺麗なアマダイだ。その魚体に見とれるうちににわかに西寄りの風が吹き始めた。
 だが、1匹釣れれば周囲には数匹のアマダイが棲息しているだろうと考えて元のポイントに戻って再度流し直しを始めると、風とともに潮流も強くなり始め50号オモリでは底ダチが取りにくくなってしまった。
 この時点でアマダイ狙いを断念して岸寄りのボート乗り場付近まで戻っていれば良かったのだが、なんとエンジンが掛かりにくくしかたなしに手漕ぎで岸寄りに移動しようとすると、どうもボートの動きが鈍い。
風向きが沖側で潮流も沖側に向っている。そうこうしているうちにボート店主が飛んできて「風が吹いたからすぐにボート乗り場近くに戻ってきて」という緊急避難指示が出された。
アマダイを釣り上げた加藤氏。アマダイは水深50メートル以上の砂地に数匹まとまって群れていることが多い。
 だが、エンジンが掛かりにくいことを告げると始動のコツを伝授していただき事なきをえて、無事にボート乗り場目前の浅場に戻ってきた。カワハギはここでも釣れるというので残り時間1時間強を粘ることに。
 風も時折静かになる時間があり、ブイ回りに約20m移動しようとした時に最悪のトラブルが起きた。原因はアンカーロープを最後まで引き上げずにアンカーを海中1mほど沈めた状態でエンジンで移動したためロープがエンジンのスクリューに巻き込み走行不能になってしまった。さらに悪いことにアンカーが根に引っ掛かり手漕ぎでも岸に戻れない状態になった。ボート店主が再び来てくれて「ロープを早く切って、早くして」と指示を出す。素早くロープを切ってなんとか危機を脱することはできたが、陸にボートを着岸させた後、ボート店主にきつくお仕置きの言葉をもらったことは言うまでもない。
 具体的な注意点は3つ。ひとつは携帯電話を持参していながら電源を切っていたこと。連絡が取れないことほど不安になることはない。2つ目は西や南西の風が少しでも吹いてきたら岸寄りに移動してすぐに帰れる位置まで戻ること。真鶴(福浦沖)では、南、西そして南西の風に弱く、午後から上げ潮に変わる日は特に風が吹きやすくなる。
 3つ目。ボートを出す前に当日に釣りたい魚をすべて告げること。当日の天候から判断して午前中の早い内にアマダイポイントで流し釣りをやってから後で岸寄りのポイントでジックリとカワハギを狙えば良かったという。店主曰く「釣りものの順番が逆。最初にアマダイもやりたいと言えばそのように指示をだしていた」と再度注意を受けた。また2馬力エンジンは個体差があり始動にコツが必要なので出航する前に真剣に掛け方を覚えること。
 ボート釣りは弁当と危険は自分持ちと言われるが、うまくポイントに入れて潮具合が良ければ、カワハギとアマダイの豪華リレー釣りも楽しめるのだ。
 筆者のカワハギは8匹だったが、加藤氏は10匹以上に30cm弱アマダイにシマダイ、トラギスなど多彩。上級者向けのボート釣り場というが、注意を守って天候異変(風)に敏感になれば楽しい釣りができる場所であることは間違いない。
筆者の釣果
アマダイが釣れなかったのは残念だが、いろいろと教訓の残る釣りであったというべきか。
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