ハオコゼ
さまざまな毒魚・危険魚の紹介
ゴンズイ
ウツボ
アカエイ
オニカサゴ
ハオコゼ
 堤防釣り、ボート釣りなどでひんぱんに釣れる毒魚の代表魚として、まず筆頭にあげねばならないのがこの小魚である。
 海底に若干の根が入っているポイントに多数生息し、シロギス釣りや磯釣りの外道としてよくハリに掛かる。時にはダブルやトリプルで上がってくることもある。
 一見、小型のカサゴのようで、早まってつかもうものならとんでもない目に合うので要注意! 一度まちがって刺されたことがあったが、たちまち右手の付け根から血が吹き出して紫色に腫れ上がり、なんとも言えぬジンジンしびれる感覚が約3時間ほど続いた記憶がある。
 
 ただし、毒魚としては毒性は強くないが、よく釣れる小魚だけに注意が必要。釣れてしまった時は、メゴチばさみなどで背ビレのトゲに注意しながらはずすこと。
 飲み込んでいる場合は無理をせず。ハリスごと切って海中投棄した方がよい。刺された時の応急処置は患部を熱い湯につけるのがよいとされる。タンパク性の毒なので内部で固まり拡散を防ぐ役割がある。

 余談になるが、このいまいましい小魚をうまく調理して、おいしくいただく方法はないものか考慮中だが、それは今後の取材のレポートの課題としよう。
ゴンズイ
 ハオコゼと並んで毒魚の代表格なのはなんといってもゴンズイであろう。
 磯釣り、ボート釣りなどでよく釣れる魚である。体はヌメヌメしていて細長く、口にはナマズのようなヒゲが8本あり、第一背ビレと胸ビレに毒のある固いトゲを持っている。全体は、黒褐色をしていて側面に黄色みがかった2本のストライプのデザインをしている。
 性質は夜行性肉食でどん欲。穴釣りをしている際、昼間でもテトラポットの奥寄りに仕掛けを垂らすとたちどころに食い付いてくるケースが多い。時にはカサゴの引きを感じさせるほどの強いアタリを感じて、興奮して上げてみると何と全長26センチはあろう巨大ゴンズイであったこともあった。
 毒の強さはハオコゼとは比較にならぬほど強いもので、大人でもあまりの痛さに真っ青になって病院に駆け込んでくるケースも多い。釣れてしまったら、無理をしてはずそうとはせず、神聖なものを引っ掛けたと思ってハリスごと海中投棄するのがベターのようである。
 万が一、運悪く刺されてしまったら、患部を熱い湯につけるか、アンモニアをつけるようにすること。熱い湯につけている間は痛みは柔らぐはずである。

 かくのごとく、危険極まりない魚には違いないが、このゴンズイ、毒のあるトゲをペンチなどで切ってしまえば、すこぶる美味な食材へと変身するのも事実なのである。伊豆の地元の漁師の間ではゴンズイだけを狙う人も少なくはなく、味は油がのっていて白身でウナギ、アナゴとよく似た美味であるらしい。

 地元の漁師さんは味噌汁にすることが多いが、煮つけ、味噌煮、蒲焼き、から揚げ、塩焼き等なんでもオーケーというから驚きである。
 
 我々ホットメディア編集部も今後の取材にぜひこのゴンズイを取り上げ、様々に調理して味のレポートを披露するつもりである。   乞うご期待!
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ウツボ
 オオカミ魚と異名を持つ魚だけに、そのノコギリを思わせる鋭い多数の歯が並んでいる口は釣り人にとって脅威である。磯釣りの外道としてよく釣れ、海中で体を回転して暴れるので仕掛けがムチャクチャにされてしまう。
 
 夜行性でテトラポットの隙間や岩礁に多数生息している。性質は凶暴で肉食、カサゴ釣りでよく用いるサバやサンマの切れ身などの生臭いものによく食らいつく。穴釣りをしている時、フワッとした感触でなにか柔らかいものでも引っ掛けた感じがして、その次にブルブルと力強いひきが何度か繰り返されたあげく必ずハリスごと切られてしまう・・・そういう時はこのウツボの仕業だと思って良い。同じ箇所に仕掛けを投入すると何度でも繰り返されるので、そんな時は場所を変えた方が良い。
 
 一度、ハリがきれない箇所に掛かり、このウツボを釣り上げたことがあったが、何と全長1メートルはあろうかと思われる巨大なウツボであった。その時、この巨大な怪物を間近で観察することが出来たが、魚というよりは何か前世紀を思わせるトカゲかワニのようなハ虫類のように見えた。体全体には鱗はなくヌメヌメした迷彩色の表皮に覆われている。海中では岩礁や海藻に見分けがつかない実に理にかなった保護色と言って良いだろう。釣り上げてからもものすごいパワーでのたうち回り、なににでも噛み付こうとする攻撃性を見せた。

 伊豆・河津のある地点にウツボばかり生息するポイントがある。そこでの防波堤、テトラポット、岩礁地帯で穴釣りをした場合、ヒットするのはことごとくウツボである。
 自然界では時折、一つの種が他の種を駆逐してその一帯を独占してしまう現象が見られるがこのポイントはまさしくその典型的例であろう。
 最初、オモリとハリを多数装備して開始したのだが、数時間で約30本ほどの仕掛けがそれこそ海の藻くずと消え去ってしまった。5号のハリスと言えども、ウツボの強靭なパワーの前では髪の毛のごとくいとも簡単にぶっちぎられてしまった。従って、このウツボをターゲットとする場合はワイヤーのハリスを用いるのがよい。

 このようにグロテスクで凶暴かつ危険な魚ではあるが、食べてみると脂がのって白身で実に美味なのである。刺身にして食したこともあったが、さっぱりして歯ごたえがよく大変美味であった。ただ、身が大変弾力性を持っているためかなり切れ味のよい柳刃包丁が必要である。また、小骨が多いので刺抜きなどでまめに引っこ抜かないといけない。
 また、ウツボはそのパワーに比べて、そんなにタフな魚ではないらしく、釣り上げた当初は元気がいいが、急速に衰弱してしまうようである。バケツなどに入れて、塩を振り掛けると暴れまくって、たちどころにグッタリとしてしまう。南紀を旅した時など、この地方の名産らしく、どこにいってもこのウツボの干物にお目にかかったものである。
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アカエイ
 本州中部以南の暖海の沿岸地域に多く生息する。腹面の周辺部が赤っぽいのでこの名がついた。海底の砂地に静止していることが多く肉食性でイソメ、ゴカイ、エビ、カニなどを補食する。
 船釣りで、外道として釣れることもあるが、投げ釣りや堤防釣りの人にとってはたまにしかお目にかかれない珍しい外道だと言える。
 
 長い尾の先にある2本のトゲには毒があり注意を要する。もし、刺されてしまったらタンパク性の毒なので患部の血を出して、洗浄した上、熱い湯(45度C程度)につけるのがベターだとされる。個人差はあるが、腫れが1か月もひかない人もいるようで、最悪のケースとして刺された手足が壊疽を起こし切断にまで至った例もあるというから恐ろしい毒である。
 ただし、いままでの毒魚の例に漏れず、食べては美味な魚である。よく関西地方では解体されてパックづめにされてスーパーで売られている。 

 もう数年前になるが、西伊豆の松崎あたりの岩礁地帯でボート釣りをしていたところ、カサゴを釣るために出していた竿にヒットしたことがある。その時の水深は30メートルほどでエサにサバの切れ身を使っていたが、ボートに寝かしていたリール竿が突然けいれんを起こしたように身震いしたかと思うと、竿がそれこそ180度の角度で海中に突き刺さったというかんじだった。
 スワッ!巨大カサゴか!・・・と興奮状態の中で、半ば海中に引き込まれた竿をわしづかみにして引っぱり起こし、ドラグを緩める手ももどかしくリールを巻き続けたが、その間の時間が何とたよりなく長く感じられたことだったろうか。
 後5メートルという段階で横の釣り友にタモを用意してもらいボートの上から、黒々とした海面をすかし見ていると、(釣ったエモノの正体がわかりだすこの瞬間が釣り人にとって最大の楽しみの一瞬なのである)深い海中からぼんやりシルエットが形をとってきたわけだが、それがアカエイだとわかるまでかなりの時間を必要とした。
 
 アカエイはボートの回りをらせん状に海中より上がってきたために仕掛けをだいなしにした。タモにすくわれたそれは約60センチほどのアカエイだったが、とりあえずコンビ二の袋に入れてアイスボックスに収納した。もちろん陸に上がった直後に危険で毒のある2本のトゲを切り落としたのは言うまでもない。

 その夜、アカエイを煮付けにしていただいたが、歯ごたえのある食感は格別のものがあった。味もすこぶる美味でごはんと一緒に食べれば最高のおかずだと思ったものである。
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オニカサゴ
スコーピオンフィッシュ(サソリ魚)と英語では呼ばれているように背ビレ、腹ビレ、尻ビレなどに猛毒を持っている。
 刺されると激しい痛みが襲い、患部は紫色に腫れ上がる。痛みは全身にひろがり、ひどい時は吐き気・神経マヒ・呼吸困難・心臓衰弱などをおこす。患部が壊疽をおこし腐ることもある。
・・・かくのごとく危険な魚なので、釣り上げた時は下顎を持つなどして取り扱いに細心の注意をはらわなければならない。
 もし運悪く刺されてしまったら、まず患部を切開して血を出し傷口の清浄を行う。次に熱い湯(45度前後)に患部をつける。こうするとタンパク性の毒なので拡散を防ぐことが出来、痛みも柔らぐはずである。そして出来るだけ早く医師の診察を受けた方が良い。

 オニカサゴは肉食で50メートルほどの深場の岩礁地帯に生息している。通常のカサゴよりも赤みがかり、やや扁平である。全長は20〜30センチに達する。船釣りで専門に狙う人も多いが、量は出ない。外道としてドンコなどがよく釣れる。エサはイカやサバの切れ身などを用いる。
 
 オニカサゴはとても美味な魚である。刺身にすれば絶品で通常のカサゴよりももっと透き通った白身で歯ごたえが良く最高級のクラスといって良いだろう。普通のスーパーなどでは売られていず、一般の人にはその姿は愚か刺身など口にしたこともない人も多いはずである。こういう高級魚の刺身を惜し気もなくいただける時こそ釣り人の特権を感じさせる一瞬なのである。
 オニカサゴは刺身の他、煮付け、鍋などでもいけるが釣りたては、やはり刺身としていただきたいものである。

 2年程前に網代でボート釣りをしていたことがあったが、その日は珍しいほどのベタなぎで無風状態だったので、冒険心から少し沖にある岩礁地帯と思われる所に漕ぎだした事がある。そのポイントにはブイが浮かんでいたのだが、その地点に係留させてもらってソナーで海底の地形を探査したところ根がかなりあると判明した。深さは約40メートルほどでアンカーはうてない。
 
 当初、カワハギか真鯛を狙っていたのだが、サバの切れ身をエサにカサゴ仕掛けの竿をボートの中に寝かしていたところ、急にものすごい勢いでピョンと跳ね上がり、そのまま竿が海中に持っていかれそうになった。条件反射的に竿をつかみドラグを緩めて慎重にリールを巻くこと約数分。
 その間もときおりグッグッという力強い反動を感じたためにウツボではないと判断。てっきり大型のカサゴだと信じきって巻き続けたが、上がってきたのはナント全長30センチほどのオニカサゴであった。その後も約3時間程の間に中形のオニカサゴを3枚ほどあげる事が出来た。
 
 船釣りで狙ってもここまで出ないであろう釣果に満足したが、逆にボート釣りと言えども、ポイントさえまちがう事なければ、かなりの大物をもゲット出来るのだという証明にもなったわけである。

ホットメディア編集部(G)
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  • 今後、このコーナーでは写真などを随時追加して分かりやすい解説を目指します。