ボルボの最新モデル紹介
輸入車のニューモデルは一般的にその年の10月前後に発表し、12月頃から発売するが
ボルボは違う。すでに7月の段階で翌年の最新モデルの発売をスタートさせる。日本市場
にかける意気込みは他のライバル輸入車に比べれば並々ならぬものがある。
 
 そこで今回はボルボ・カーズ・ジャパンに的を絞って発売を開始した魅力的な最新モデル
を詳細に見て行こう。
 「ボルボS60」は2002年7月に追加導入されたS60シリーズのエントリーモデル
である。
 
 ボディデザインは4ドアのスポーツクーペを採用し、4ドアセダンながら美しいシルエット
を持つ。操作性や操縦性はこれまでのS60シリーズと同じだが、従来までのエントリーモデ
ルである「S60 2.4」に比べて30万円も低い価格設定(365万円)が魅力的だ。つま
り、ボルボS60はエレガントなボルボのスポーティサルーンをもっと身近に感じてもらうこ
とが狙いらしい。またS60は「S80」や「V70」とプラットフォームを共通化している。
この結果、ねじれ剛性は同クラスの従来型である「S70」の約2倍に高められている。
ホイールベースは「S70」よりも5mm長い2715mmとなっている。
 
 さらにクラス最大級のワイドトレッドは前1565mm、後1560mmを誇り、軽快なフ
ットワークと安定した操縦性を合わせ持つ。
 
 パッケージングに関しては、人間が乗り込むキャビン部分(車室)を前方に配置するキャブフ
ォワードデサインを採用することによって、クーペのような低いシルエットでも大人5人がゆ
ったりと寛げる広いキャビンスペースを確保している。
 
 快適装備の面では、大小8基のスピーカーで構成される高性能なオーディオ・システムを搭
載。実は「S60」シリーズは2001年6月に発売を開始しているが、販売実績もかなり好
調だ。具体的には、導入当初の予定台数は1300台だったが、同年8月までには目標台数を
クリアし昨年の販売実績は当初計画比16%増の2133台を記録したという。
 
 ボルボシリーズ全体から見ても販売構成比率では「V70」と「クロスカントリー」に次ぐ3
位の位置に付けている。これはボルボ=エステート、という固定観念を良い意味で払拭すること
ができボルボならではのドライビングプレジャーを提供できたことを意味する。
 ボルボ側では新たな顧客層の開拓に貢献したというが、ミッドサイズのスポーツサルーンとし
てライバル車と比較しても完成度が高いから高く評価されていると見るモータージャーナリスト
も少なくない。
 
 搭載エンジンは直列5気筒20バルブ2400ccDOHCの横置き。最高出力は4500
回転で140馬力だから高性能と注目するほどではない。だが、実用回転域で十分なパワーを
発揮して快適で上質なドライビングプレジャーを堪能できるという点を重視すれば、ライバル
他車をはるかに凌駕する輸入車といっていい。

 次はボルボ2002年モデル「V70」 シリーズの特別仕様車として追加導入された
ボルボV70SE(Special Edition)である。開発のテーマは、ファッショナブル&スポーティだ
という。「V70 SE」はV70をベースに、専用レザー/ファブリックシート、専用アルミ
ホイール、ハイパフォーマンス・オーディオシステムなど単品合計価格40万円相当の特別装備
を追加しながら車両本体価格をベースモデルのわずか5万円高に抑えた特別仕様車である。
車両本体価格は405万円。
 
 「ボルボV70」シリーズは、世界中で高い評価と大きな成功を収めた850エステートから
続く初代V70をフルモデルチェンジして、ボルボの新時代に向けた最も完成度の高いボルボエ
ステートだ。
 
 V70はボルボで初めてエステ−ト専用モデルとして開発され、妥協を廃した新たなコンセプ
トから生まれた。外観デザインは初代V70から大幅に変更され、その迫力のある力強いフォル
ムはダイナミックなスポーティさと飽きの来ないフォーマルな普遍性を兼ね備えている。
 
 搭載エンジンはボルボ独自のSLIMコンセプトに基づく高効率な横置き直列5気筒エンジン
を採用し、低燃費を実現している。
 
 注目すべきは高剛性ボディだ。従来型に比べてねじれ剛性を65%もアップしている点だ。
しかも、高性能マルチリンク・リアサスペンションとの組み合せにより、剛性感のある心地よい
走りを実現している。高速走行で驚くのは入念な防音対策による高い静粛性である。
 
 安全対策にも最高水準の装備で対応する。例えば衝突の程度に合わせて膨張のパターンを2段
階に調節する「デュアルモード・エアバッグ」やチャイルドシート装着用の国際標準規格・IS
OFIX対応のマウントを装備するなど先進の安全装備を搭載。
 
 まだある。むち打ち症対策の安全シート「WHIPS、側面衝突の際に乗員の頭部を保護する
エアバッグ「インフレータブルカーテン」、胸部を保護するサイドエアバッグ「SIPSバッグ」
などと合わせて世界最高水準の安全性を達成している。
 
 環境適合性にも目を見張るものがある。先進の触媒「PREMAIR」がコーティングされた
ラジエータはスモッグイーターと呼ばれ光化学スモッグやアレルギーの原因となる地上レベルの
有害オゾンの最大75%を走行している間に有益な酸素に変換してくれる。また内装は非アレル
ギー認定を受けた素材が使われ、布地はすべてヨーロッパのOko−Texスタンダード100
基準に認定されている。


 ついにボルボ2003年モデル第一弾が7月11日から発売を開始した。「S40シリーズ」
と「V40」シリーズである。同シリーズはダイナミック&スポーティをテーマに内外装をリフ
ァインしたジャストサイズ・ボルボとして高く評価できる。魅力的なのは軽量コンパクトなボデ
ィと比較的安価な価格設定である。最も安価なS40が295万円。最も高価なのがV40ノル
ディックスペシャルの345万円である。
 
 両シリーズはボルボ車の中では実用性と機能美を追求したシンプルで飽きの来ないスカンジナ
ビアンデザイン、世界最高水準の安全性、環境性能など、ボルボの魅力を凝縮したエントリーモ
デルである。
 
 そのコンパクトなパッケージングは日本の道路交通事情にフィットしたジャストサイズ・
ボルボとして高く支持されている。驚いたのは同シリーズを購入したユーザーの80%は他
メーカーからの新規購入者となっているという点。まさにボルボ車のエントリーモデルとし
て注目度は高い。
 
 では、2003年モデルの主な変更点を列記してみた。
 
 ?黒塗り格子状フロントグリル

 ?4ダイヤル・メーターパネル

 ?リモートコントロール一体型キー

 ?クローム・トランク/テールゲートプッシュボタン

 ?後方からの視界を改善した新形状フロントヘッドレスト

 ?平成12年度排ガス規制への適合

 ?アクセサリーパッケージ(オプション)の新設定。
   価格は3万5000円から20万円まで6種類

 さらに、最上級ノルディックスペシャルの変更点は3本スポーク・スポーツレザーステアリ
ングの他にV40には新デザインのルーフスポイラーを採用。
CD/MD付AM/FMステレオ、ハイパフォーマンス・オーディオシステムなどがある。



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