鈴商の「スパッセ」
 日本で14番目の自動車メーカーが誕生した。名古屋市にある輸入車販売の?鈴商である。
 作ったのは二人乗りのフルオープンスポーツカー「スパッセ」。往年のスポーツカー好き
には馴染み深いスーパー7に近いデザインが特徴だ。
 
「当時の技術では物足りなさを感じていたので最新技術を取り入れた現代版のスーパー7
を製作しました」と語る鈴木敏夫社長は、昭和52年12月に国産車ディーラーの鈴商を設立し、
クルマ好きが高じてついに念願の自社ブランドのスポーツカー「スパッセ」を発売するに至
った。

 こうした経緯で自動車メーカーに名乗りを上げた富山県の「光岡自動車」もまったく似た
ケース。それだけにクルマ作りに対する情熱は人並み以上といえる。1960年代のレーシング
カーに近い外観の「スパッセ」だが、搭載されるエンジンは、日産のシルビアに積まれている
エンジンと同じ。排気量は2000ccで変速機もシルビア用である。
 
自社開発は内装と外装の他に設計や開発が難しいと言われる足回り(サスペンション)を4年
掛かりで完成させたというから驚きである。自動車ジャーナリストの梅沢克博氏は「乾燥重量
570kgのボディを最高出力220馬力のパワーで引っ張るスポーツカーの足回りは安全性を重視
して作る必要があるはずですから実験やテスト走行に相当時間を費やしているでしょう」と分
析する。
 
ただ残念なのが「スパッセ」の実車は現在名古屋の本社でしか見られないこと。価格は160
馬力のe-ロードが398万円。220馬力のクラブスポーツが468万円。納期は約30日。
 「今後もスポーツカー路線で行く」という鈴木社長はすでに新型車(2人乗りクーペ)を開発中
だという。


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