まあ、発作みたいなものですね。京商で過去に発売していた「GT15」エンジンです。もはや有名になってしまった感もありますが、ご存じ「秀和」のOEM品です。

 むかしHGKにいた津野さんが興した会社なのですが、当初京商のバギーなどの生産を請け負っていました。しかし、コストの関係で京商が中国に生産拠点を移したため、独自の製品の開発を余儀なくされた津野さんは、これまた関西の某社を追い出された「世界的なエンジニア」であるMさんのサポートを受けて、エンジンの開発をすすめました。タミヤのFS15を開発したのが始まりみたいですね。その後京商・HPI・YOKOMO・クイック・JRなどのOEM品を輩出することになります。みんなOSエンジンに酷似しているって理由、おわかりですよね。

 京商では他社との差別化を明確にするために、16クラスを選択しました。F2Aマニアに助言をうかがったこともありましたが、結果的にスポーツエンジンに近い線におさまっていましたね。私としては、どうすればエンジンの特性を変えられるかを、勉強させていただいた思い出のエンジンでもあります。

 その後、40クラスエンジンまで発売するに至った秀和工業でしたが、単気筒だけでなく水平対向やV型6気筒エンジンまで開発の可能性を見せていました。私はラフスケッチしか見ていませんでしたけどね。

 当初、工場は東京都板橋区の西台にありましたが、金属パーツを製造していた埼玉県の加須工場でエンジンの製造も行う都合上、拠点はやっぱり加須ですね。タミヤのFS15の発売が・・・いつでしたか、90年代の始めだったかなあ。お客さんは「OSがOEMで生産しているんだ!」などともおっしゃっていましたね。業界ではみんな知っているくせに、「Mさんのエンジン」などと称しておりました。

 まあ、元が元だけに、OSと見間違えるほどの仕上がりであったことは否めませんが、発売元(製造を依頼したメーカーですね)の要望で少しずつですがスペックが異なっています。外観が同じようでも、特性はさまざま。OSとの最大の違いは、シリンダーにハードクロームメッキがかけられているということです。OSのほとんどの「ABCエンジン」って、ニッケルメッキでしたからね。

 では、こんなエンジン一体何に使うかともうしますと・・・・困りますね。

 まあ、さまざま思い入れのあるエンジンには違いありませんので、気が付くと集めているんです。

 多く出回っているのは車用の12クラスと飛行機用の16クラス、船用の18クラスですが、今回はGT15だったのでCLのコンバットかラットレース用でしょうね。私はネルソン15なんて化け物も持っていますから、それと比較するとこのエンジンはほんのお遊びなんでしょうけど、その範囲で真剣に考えています。

 まずはカービュレーター。とりあえず内径はφ6.4となっています。過去のデータからその辺が限界と考えていますが、どうでしょう。

 リヤのカバープレートです。このGT15は、実は車用なのです。当初12クラスだけで始まったRC・GPカーでしたが、そのうちにエスカレートしたのか、排気量アップのレギュレーションになりました。

 飛行機の方は15クラスまでがAクラスと言うカテゴリーになっていましたが、Aクラスで競技に出場するRCマニアなんかいないだろうってことで、飛行機用の排気量は16クラスって訳です。

 今回のエンジンには、したがってリコイルスターターとシンクヘッドが付いていました。

 要らないものは取り外し、カバープレートは旋盤で自作です。輪郭はヤスリがけの手作業でしたが、結構きれいにできました。なれですかねえ。

 余談ですが、GT18っていうエンジンは、このクランクケースで可能な限り排気量を増やしてみようってことで作られました。つまり、あまりバランスっていうことを考えていなかったのですが、その割には結構良く回ってましたね。

 その他に製作したのはシリンダーヘッドとドライブワッシャ、スピナーナットでしょうか。クランクケースの冷却フィンは、円形に切削し直してあります。深い意味はありません。

 回転数だけは12クラスの方があがりますね。でも、トータル的には15サイズが好きです。

 とりあえずテストランしてからではありますが、ピストンも作り直すかもしれません。

(2009年2月6日)

 GTエンジンと平行して京商では、廉価版RCカー用エンジンとして、中国のASPエンジンを採用していました。GX11などがそうなのですが、同じハードクロームメッキをかけ、同じタイミングにしても性能差は明確でした。後に、GPダクテッドファンを開発しているときに、とある事情で秀和製エンジンの使用を中止せざるを得なくなってしまいます。そこでASPに18エンジンまで試作してもらい、開発を進めたのですが、結局OSのCV15を採用するしかありませんでした。

 GPダクテッドファンにおける私の担当は、設計図の作図だけだったはずなのですが、今思い起こすとさまざま手伝ったような気がしますね。秀和にエンジンを依頼できたならば、後方排気+チューンドサイレンサー+18クラスとなったのでしょうが、それって、関西の某社から直後にリリースされましたよね、秀和に間違いないぜ。

(2009年2月7日一部追記)

 見かけ倒しでも良いではありませんか。シリンダーヘッドにパープルアルマイト処理をしてみました。

 使用するだけで色落ちする、OS−LAシリーズなどに嫌気がさしたためでもありますが、雰囲気も大事ってところでしょうね。

(2009年2月19日)