苦労の連続、Me109
 思えば私がパソコンを購入するきっかけになったお仕事でしたね。98年の暮れのお話です。
 もちろん仕事では使用していたパソコンですが、あーんな高価なもの、購入など考えてはいませんでしたが、ある日部長から「取り説やらフィルムのカラーリングをやれ」と連絡がきます。充分に元が取れる仕事を回すという約束ではありましたが、一応疑い、でも一式購入してしまいます。現在も使用している機種はMacですが、これは当初の機種選定時にQRPに相談したことが由来しています。ウインドウズでないことが良かったか悪かったかは・・・・まあ、いいか。
 アドルフ・ガーランド中尉が搭乗するMe109は最も有名らしく、プラスチックモデルでは様々なメーカーからリリースされていますね。しかし、スワスチカ(カギ十字です)が入っているとヨーロッパでは売れないし、ネズ公(ミッキーマウスみたいなあれです)が書いてあるとディズニーがうるさいし、もう殺風景。悔しいし、カラーリングフィルムの初仕事なので、私のJPNナンバーを入れておいたりして遊びました。
 カラーリングフィルムだけでも充分忙しいのに、機体の開発も平行して依頼され、時間が無かったこともあって、クラブの飛行場でもテストを行った覚えがあります。
 胴体の迷彩模様が決定せず、飛行機マニアでもある営業担当者との合作みたいなもんでした。だいたい、1本10万円もするグラフィックソフト2つを併用するだけで、その操作がわかりにくくてたいへんだったしMac自体になれてなかったですから、よく年度内に発売できましたね。
 資料本やプラスチックモデルをたくさん購入して参考にするので、当時は「メッサー博士」になりましたが、現在はすっかり忘れています。私の脳のメモリーって少ないですから、前のを消す必要があるんです。



スホーイSu31です!

 本来、他メーカーで出来ないような製品や機種を選んで製品化することが多かったK社ではありますが、やっぱり人気機種で稼ぐことになりました。おきまりのスホーイSu31の開発です。
 開発とは言っても、今回は茂原のGNさんの設計で、契約上私は取り説の作製だけのはずで・・・・いつもと同じか。雑務ばっか。
 基本的な性能や特性は社内の開発員が行いましたが、ほとんど触らなくて良かったそうな。で、トントン拍子に作業が進み、某RCAWの取材も先に行おうということでスタッフは一路千葉県勝間の飛行場に行きます。しかし事件はそこで起こりました。(こちらは私は同行しておらず、聞いた話です)
 アクロ機の取材で、しかもパイロットは元世界チャンプですから、編集者は過激なアクロを求めます。しかし機体はスホーイとはいうものの、50クラスの小型機です。結果はフラットスピンを地表ぎりぎりまで持ってきたあとのリカバリーで失速:墜落です。
 殆どの撮影が終了していたのが不幸中の幸いですね。墜落の原因は明確で、低空でのリカバリーだったので、やや大きめな舵を使った事による失速です。したがって、どんな機体でも生じることですから設計ミスではありません。
 でも、アクロ機を飛ばすマニアって、過激な方が多くいらっしゃいますもんで、同様のアクシデントを想定し、私の独断です。
 取り説にはこのような一文を入れておきました。
「スロットルを全開にしたままのスナップロールや、急降下後の急な引き起こしなど、機体に大きな負荷をかけるような飛行を行うと、場合によっては空中分解することもあります。」「(前略)機体にかかる負荷が蓄積し、だんだん機体の強度が低下することがあります。(中略)必要な補強をして安全飛行につとめてください。」
 この他にもPL法を意識した消極的な説明分が満載!模型飛行機でここまで書いたのは、私がはじめてでしょうね。ちなみに、これらの文章に対し、会社からはなんの注文もつきませんでした。


 後日、取り説製作時に組んだ試作機を飛ばしましたが、搭載したエンジンが「ええーっ!」って言うくらい非力。おまけにエンジンの重量が軽かったのでやや後ろ重心になっています。「後ろ重心のアンダーパワー機」の恐ろしさ。しっかりと身につけました。ノーマルのSS50って、だめねえ。

 誤解なさらぬように、機体の基本性能は、結構良好です!




商品名はCAP232−60ですね!

 20,40と来た人気機種のCAP232ですが、いつまでも小さい機体ばかりでは仕方ない・・・ってことで90サイズの開発です。今までは近所のSさん設計でしたが、90サイズだし本格アクロ用ってこともあって、茂原のGNさんに設計が依頼されました。
 様々な機体の飛行はしているものの、GNさんって232の設計なんて始めてのはずですが、一体どうなることやら。
 しかしGNさんに聞くと、232については様々な欠点と長所が混在しており、トータルバランスではG−202が優位ではあるそうですが、232の方がメリハリがあって面白いそうです。欠点についても水平尾翼の位置や胴体の形状から詳細に説明してくれます。なんだ、詳しいんじゃん!
 と、言うわけでナイフエッジ状態におけるラダーのクセを出にくくした胴体形状とした「アクロ機:CAP232」は完成しました。そう、20と40は「スケール機」でしたね。今回はアクロ機って訳で、具体的な違いはと言うと、サイズ以外に以下の点があります。

○ アクセルを開けている限り、安定域に入ろうとする。(40サイズでは、アクセル開けても暴れるときは暴れます。)
○ 急舵使用時の失速特性は同じではあるが、着陸時の安定性はスタント機なみ。

 GNさんって、自分で機体の製作はしないものの完成機屋さんに指示を出しているわけですから、寸法や形状で変化する飛行性能は熟知しているのでしょうね。たいしたもんです。