パイパーJ−3カブ
 K社のSQS第1号機です。良い工場を見つけたのが決めてのようですが、そのサイズとクゥオリティに見合わない低価格の実現が、他社からのマージンになります。
 重い材料を使用する可能性から、出来るだけストリンガー構造をとり、被覆は当然のフィルム張りで軽量化に貢献です。
 私はRCTの原稿書きだけが担当でしたが、当然キットの組み立てとフライトが入ります。取り説が出来る前でしたので製作にはやや困りましたが、結構出来も良いし「これなら売れるな」と思って価格を聞いてびっくり。私はこのキットを「いくらなら購入したいか」という自己基準で算定して40000円弱を想定していたのですが、なんと28000円!結局あっさりと数千機以上売れたみたいです。これって、ラジコン機の売り上げとしては相当な物なのですが、みなさんもびっくりしたのか、その後、業界は同じ路線を歩むことになります。
 初期のカブはおきまりの「フラットボトム翼」で、私好みでしたが、しばらくして工場を換え、軽量でさらに仕上がりが良くなったのですが、翼型が半対象になってしまい、つまらなくなりました。ほとんどのマニアは半対象が良いって言ってるそうですが、私はアクセルワークで上昇できる機体が好きでして・・・・
 ついでに、実機風の絹目調のフィルムは、つやつやの「うつくしい」ものに変わってしまいました。




AT−6テキサン
 第2次世界大戦時のスケール機の中で、現在も飛行している代表格はやはりAT−6:テキサンでしょう。練習機としてだけでなく、自家用機としても現役であり、最も有名なのがエアレースにおけるワンメイクカテゴリー機です。
 当然SQSでの製品化が決定しましたが、エアレース仕様では彩色が増えてしまい、コストを下げることができません。コマーシャルタイプ機は、一般的な大戦機のそれに落ち着きました。
 複雑な曲面で構成された胴体はグラスファイバーで克服し、AT−6の最大の特徴である平面型と上半角も、主翼中央部のリブ及びスパー類をグラスファイバーの外皮で覆うことで、強度と外観のバランスを取ることにしました。
 翼端の細い主翼平面型は、そのままでは翼端失速を引き起こしやすいので、翼の厚さはやや厚めとし、ねじり下げをつけて対処します。
 しかし、主翼中央部の強度を確保するために、ややオーバークゥオリティとなったキットは、完成重量が時として3kgを越えることになります。これはやや狭い間隔の主脚による離陸時の滑走安定の悪さも加わって、離陸を非常に困難なものとしてしまいました。
 さらに、スケール重視のディメンションでは機首が極端に短く、重心位置の設定を困難にします。バッテリーや受信機を機首先端に移動でもすればなんとかなるのですが、工夫無しに組み上げたキットは、ほとんどの場合後ろ重心になります。結果、離陸(というよりは機体が浮き上がった瞬間)直後に翼端失速を起こし、ロールしながら墜落する機体が見受けられました。
 グラスファイバーでできている胴体もその重量のばらつきが目立ち、最大100g以上の差が計測されます。しかしこの範囲は工場でのクゥオリティアップで何とかなりますし、なんたってスケール機ですから「上級者向け」という注意書きで逃げることにしました。
 でも、AT−6の飛行姿勢を見たらこーんな苦労もどこかへ飛んでいきました。さらに富士エアロフレンズの有志(雄志かな)3人がエアレース仕様に改造(塗装まで)してくれて、編隊飛行まで披露してくれたからたまらない。
 他社でもAT−6は販売されていますが、飛行性能重視の結果、どう見てもAT−6に見えない物や、どことなく変な形のそればかりで消化不良をおこしそう。K社のAT−6は、とにかく格好が良いですよ。




練習機 PT−19
 展示見本の製作を担当した機体です。設計は近所のSさん。さすが「普通の」単葉低翼機です、設計変更は無しね。





 で、展示見本ですが、通常練習機っていうのは教官が後部座席に座りますので、見本はそれに倣いました。



 写真の後部搭乗者が私の作品です。しかし会社の開発員は「どこかの本で見た」と言って、前部座席だけに搭乗して操縦しているのが普通だと言います。結局箱絵は前部搭乗になりましたが、その人形が凄いですね。「販売数ダウンにつながりそう」と危惧するのは私だけでしょうか。まるでゴジラに出てくる「ミニラ」です。

 へたくそ!