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CAP232−20です! |
15から25クラスの2ストロークサイクルエンジンで飛行出来る、手頃なスケールアクロ機として、「CAP232」が開発されることになった。K社製SQSとしては比較的早い段階の製品だったので、中国の工場で試作機を作ることが出来ず、しかも今回は5月のホビーショーが迫っているため、設計者の「近所のSさん」から図面をもらい、私が試作することになった。胴体の構造は、トラスにストリンガーが組み合わされた非常に複雑なものだ。思えばここからがきついオーダーの始まりだったような気がする。
胴体だけでなく、極端に強いテーパーの主翼など、様々な困難があったうえ、胴体補強のベニヤ内張まで市販バージョン同様の肉抜きをしろという。注文は2機。1機は生地完成でよいが、もう1機はフィルム貼りまでときた。納期から逆算して、製作にかけられるのは僅か15日!
キットではなく図面からフルスクラッチだぜい!俺に「寝るな!」って言うのか?と訪ねると、相棒は「いえ、寝ていいですよ。納期に間に合えば。」だと。答えになっとらん。
試作機で困るのは、キャノピーなどのバキューム成形品だ。試作:はじめての機体だから、専用品なんかあるわけない。したがって、私は様々なパーツを保有し、流用を考えている。例えば「オー○ムスポーツ」のキャノピーはOKさんの「ミスティック30」用だし、スパッツなんかQRPの製品だ。
少しでもコマーシャルタイプと違うとマニアは騒ぐので、試作機をカタログに載せるのは控えたいところだが、スケジュールの点からそれは困難なことが多い。たとえば「オー○ムスポーツ」や「CAP232−20」、「ゼロファイター4c−50」、「カタリナPBY」などは、当初試作のそれがカタログに載っていた。ゼロなんか、垂直尾翼に私のJPNナンバーが入っているしな。
CAP232−20は、試作機の製造までが私の担当である。この先は聞いた話だ。「やっぱり、結構ころころしますよ。胴体が太すぎますね。」当たり前である。設計図を見た瞬間、直感で分かっていたわい。設計者のSさんも同意見。「スケール機って、これアクロバット機よ!」
ご存じの通り、アクロ機って「失速する」のが前提だよな。私は心の中で「ふっ」と笑った。
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CAP232−50ですよ!! |
20サイズのCAPは、飛行中とてもころころしていて安定しない。実機がアクロ機なので「さもありなん」である。選定したのは会社なので、文句を言ってもはじまらないだろう。
しかし懲りないK社は「次は50クラスで・・・」ときたもんだ。いや、次というより、20クラスを単純にスケールアップ(ただの拡大コピーじゃあないか!)した試作機を、すでに工場で作ったらしい。
数日して試作機が届いた。何故か危なそうな機体は私の所に来る。そのころ会社はてんてこ舞いだったので、結局飛行テストは私の所に来たというわけだ。
当然試作機は、各部の寸法や重心位置など、多くの問題を抱えていることが多い。特に今回は「問題点のデパート」であった。とにかくよく「暴れる」のである。例によって設計者のSさん「あたりまえだよう、アクロ機だぜ。」とは、なんの救いにもなってはいないが、しかしこれで開き直ることができた。
通常市販キットは、お客様が使用すると想定された様々な状態でテストを行う。例えば安価な2ストロークサイクルエンジンをのせたり、マニアックな4ストロークサイクルエンジンに換装したりと言う具合だ。当然重心位置が変化するが、その際の対応としてメカの配置も再検討したりする。さらに使用するメカも上級モデルでなければ飛行できないようなことは極力避けることになる。
つまり、今回のCAP−50のように暴れる機体でも、廉価版のメカで飛行可能な様に仕上げなければいけない。でも、ちょっとエルロンを切ると、一瞬で背面飛行になるので、困ったなあ。
結局各舵の作動角を極力おさえ、安定して飛行する範囲の設定を取り説に入れてもらった。例えばあの「巨大な」エルロンの動作範囲は、後縁で10mm程度のはずだ。エレベーターも同様に動作角が非常に小さい。これではアクロ飛行は不可能だが、しかたないだろう。
一段落ついたので、私は試作の1号機で遊ぶことにした。エンジンは91−4ストロークサイクルエンジンを搭載し、中級メカのエクスポネンシャル機能を使用してセッティングを煮詰めた。結果エクスポネンシャルなんか60%を超えたぞ。
今では当たり前のことだが、当時としては驚異のセッティングだったと思う。完全なオーバーパワーにコンピューターミキシング等を駆使したのだから。とても「安価なSQS機」に勧められないな。思えばこの機体が、スナップロールをしながら上昇できるはじめての機体だった。ああ、目が回る。
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