「結構苦労!」の電動プレーンです!!
 他のページでお話ししました、400モーターをギヤダウンで使用した製品の原形が、左の低翼機です。なんかスカイメイトのデザインに似ていますが、設計者が同じですからねえ。
 こんな格好をしてはいますが、操舵はラダーとエレベーターのみでして、それでもロールくらいはできました。我ながらなかなか良くできた機体だなと思っていますが、このころは大学の先輩といっしょにドイツの電動機をテストしまくっていましたから、特にパワーユニットに関してはあまり障害はありませんでしたね。
 少し前に手伝っていたデザイン会社でも400モーター関連をテストしており、そのパフォーマンスには自信をもっていましたので、開発は瞬く間に完了し、結果は前述の通りでございます。
 もう一機がK社の「シューティングスターT33」です。この手の「げてもの」(げてものですよ、こんなの!)は、第一印象がその後の売り上げに大きく響きますので、確実に飛行する事が重要です。当時の人気機種ではなく、この機体を選択したのは、もちろん主翼の効率を優先したためです。このあたりはいつぞやのRCTにも書きましたね。(「載せるな!」って言ったのに本名が載っていました。こちとら社員じゃあないんだぞ!!)
 実はこの機体、箱絵(キットの箱の写真です)撮影に使用したものですが、やっぱりパワーユニットの熟成に時間がかかったため、380のノーマルモーターに12V・600mAhのバッテリー仕様になっています。発売よりも相当前にこういう撮影がありますから、その仕様が市販と異なる状況であることは日常茶飯事(「ちゃめしごと」って読みます。)です。




飛ばないのは俺のせいじゃないぜい!
 で、次の製品は思いっきりジェット機にしようってことで、人気機種の「F−16ファイティングファルコン」に決定・と言うか戻ったわけですが、これも以前手伝っていたデザイン会社でテスト済みでして、F−16のような主翼と胴体のラインが連続した「ブレンデッドウイング」の効率は良好で、やや小さめでも充分な揚力が得られ、空気抵抗もさほど増加しないというすぐれものです。
 パワーユニットも精度とバランスを向上させ、始めのロットと比較して1割以上の推力アップが図れています。さらに高出力モーター(じつは、巻き数が1ターン少ないだけなんですが)も開発されましたので、これはもう大幅なレベルアップになるはずでした。
 しかし「好事魔多し」でしょうか、吸気孔が機首下部にのみ存在することから極端な頭下げモーメントが発生し、推力が増せば増すほど急降下するという悪循環に陥ります。
 エンジンダクト機でも似たような現象を発生しますが、ここまで極端だと、とても市販なんてできません。改善策は機首下部の形状変更ですが、これは型の大幅修正(と言うか、作り直し)になりますので、予算的にも時間的にも無理です。そこで究極の技が出現します。機首サイドの吸気孔がそれで、「こんなもの」でもほとんど問題は改善されてしまいます。凄いというか、強引と言うか・・・・・・

 私がEP機(電動機です)に携わったのはこの3機種4機に加え、ポーターフィールドとストラトス1600ですが、いずれも開発なんて仰々しい携わりはなく、特に今回のF−16については、契約上はデカール(カラーリングフィルム)の作製だけとなっています。
 デカールは、その貼る位置の提示という性質から、取り説の1ページに関与したり、テスト飛行につき合ったり、改善点アドバイスなど、契約以外の仕事もしています。まあ、このあたりはサービスと言うか営業活動と言うか・・・・




専門じゃあないんですけど・・・
 最近楽しんでいるディーゼルエンジンにせよ、このEP(電動)機にせよ、どうも結構入れ込んでいるからか、知らないマニアの方々から「専門ですよね」などと言われることがあります。昔は「知らない」とばれるとはずかしいからその道の勉強をしたり、知らないことには首を突っ込まないようにしたりと工夫したものですが、最近は羞恥心が無くなったのか開き直りからか、「知らないものは、知らない」と、はっきり言うことにしています。
 余談はさておき、左は某K社のストラトス1600で、問題の「年越し開発」をした製品です。設計は元某国F3BナショナルチャンピオンのWちゃん。「ちゃん」付けってなれなれしいようですが、皆さんそう呼んでいますから気にしていません。(私はね!)
 写真はK社のHPから持ってきたものですが、コマーシャルタイプ(市販バージョン)の翼端はもっと曲線の入ったものですから、我が社に残っている試作機かもしれませんね。某専門誌の取材の時の写真の流用か、それとも別の時のやつかは定かではありません。
 胴体はグラスファイバー製で、出来は非常に良いのですが、サイズと価格が手ごろなせいか、初心者の方々の購入が多いらしく、荒い着陸によって胴体の破損が多いみたい。
 取り説とフライトテスト、雑誌取材を引き受けた製品ですが、いざ市販されるとモーターの進角が逆になっていました。それでも良く飛ぶみたいですが・・・・・・・まったく、もう。