ご覧の通りでございます!

 たしかに、HINESS10は存在します。当然市販はされていませんから、HINESSコレクターが見たら卒倒するかもしれませんね。もちろん「そんなマニアがいれば」の話ですが。
 このエンジンは、今回入手したハイネスエンジンの山の中の一つです。実際はクランクケースの刻印だけが「10」ってことなんですが、販売予定でもあったのでしょうか。
 クラブ・ハイネス横浜研究所で過日テストランをやったところ、09エンジンの回転数の頭打ちは、吸気システムに原因があると判明しました。これはボアアップ等の排気量変更程度では吸収できない部分ですので、開発途中で断念したのかもしれません。
 他でご説明差し上げました通り、模型用エンジンの吸気システムというものは、その使用回転域によっては性能に大きな影響を及ぼしますし、始動性にとっても重要な要素と言えます。
 他メーカーでもよく見られるように、同一クランクケースを用いた排気量アップは、最も簡単なマイナーチェンジ(グレードアップって言うメーカーもあるなあ)ですから、それで性能アップと販売数拡大を狙ってテスト生産したのかもしれません。クランクケースの鋳型を修正するよりもお金はかかりませんからね。しかし、根本原因は吸気口の位置でしたから、目的は達せなかったのでしょう。
 電波実験社発行の「総合カタログ」によると、HINESSエンジンには様々なバリエーションがあるように見受けられます。しかし現実に一般に市販されたものは少なく、私が確認した物だけでも以下のタイプだけです。

  09黒アルマイト(ヘッドは無彩色と黒アルマイトの両タイプあり)
  09シルバー
  09MOCK(09のクランクケース下部に、切り取ったシリンダー部だけをくっつけた物、黒アルマイト)
  20黒アルマイト(ヘッドは無彩色と黒アルマイトの両タイプあり)
  20シルバー
  44TWIN(RC用のみ、マフラーは様々なタイプあり)

 これらのうち、20はRC用と車用ヒートシンク付きがありましたし、模型店の要望によって若干の水冷タイプも生産されています。44TWINに代表されるように、マフラー(消音器)についても様々なタイプが確認されています。本来20には専用のそれが販売されていましたが、しばらくして09クラスの後端にコーンを追加した改造バージョンが出回りました。
 44TWINには独立型や一体型など、それこそ多数のマフラーがあったようですが、実際にそのエンジンを使用したという話を聞きませんので、マフラーの性能・精度はもちろん、その有無に関してもあまり大きな問題ではなかったのかもしれません。
 HINESSエンジンの生産台数は、製造者の真田さんが他界して17年になりますので、知る人はいません。09と20がせいぜい数千台、44TWINは639台と言われていますが、そんなところかもしれません。特に44TWINは、そのシリアルナンバーが打たれた製品が、最後まで工場に残っていましたからね。
 実際はこの他にも「前後運動ピストンエンジン」や星形や水平対向などの多気筒エンジンが生産されています。しかしこれらは少ない物で2台、多くても数十台しか生産されておらず、つまり、安価な量産エンジンよりも、高価な単品カスタムエンジンで利益を上げることを主眼に置かれたもののようです。

 今回私は、とある不動産業者を通じてHINESSエンジンを入手し、しかしある範囲の責任を負うことになりました。HINESSエンジンの歴史など、本来私ごときの出る幕ではないのですが、記録に残すことが責務になりました。


(2007年2月4日)

こりゃまた新型ヘッド!

 横浜研究所長が、なにやら悪企みをしているようです。
 ENYA09のヘッドを突きつけ、「ハイネス09に合わせてヘッドビス穴を開け直しなさい。」だって。ヘッドはフィンが1枚欠けた中古品。おそらく中身をエンヤのそれに代えて「エンネスエンジン」にするのでしょうね。で、それに合わせて圧縮比を合わせるべくヘッドも交換したいが、ビス穴の位置が微妙に異なるってわけです。
 出張所長は「とりあえず回れば良いんだ!」と申しますが、フィンの欠けたヘッドの再利用なんて、アーティストでもある私が許すわけありません。フィンの欠けたENYAヘッドは燃焼室回りだけを使用し、外周は旋盤とフライス盤で作り直し、ボタンヘッド化いたしました。
 締め付けビスは、ノーマルの黒アルマイトヘッドに合わせて黒色染色されていましたが、こちらはユニクロメッキのものに変更しておきました。なんか、とーーっても格好良くなってきちまったい!!渡すの、やめようかな。

  
 (2007年3月2日)