私が小学生の頃から通っていた東京・神田にある「科学教材社」の前で、慣らし運転をしていたのを見た記憶があります。始めはグローエンジンだと思っていたのですが、どうも様子がおかしい。ブースターもつないでいないし、だいたい、あるべきところにプラグらしいものも無い。ディーゼルエンジンという存在を知ったのは、それから結構あとからでした。気付いた時にははるか昔に製造中止となっており、もはや入手できないと思っていました。

 KOディーゼルのことなどすっかり忘れたころ、行きつけの模型屋さんからエンジンのジャンク箱をいただきました。その中に入っていたのがUEDA09やKO099-Dです。それからさらに20数年後、オーバーホールついでにバタフライバルブとスピナーナットを作り、部分アルマイト仕上げを施しました。現在では充分に実用エンジンとなっています。

KOボーイズ塾長は、こんなものも持っていました!


 KOボーイズ塾長は何をどれほど保有しているのでしょう。KOのディーゼルシリーズは全てそろっているようです。049から15までは、耐久性や性能全て好評だったエンジンですが、その仕様はやや異なります。
 写真は099タイプです。摩擦によりヘッドのアルマイトが薄くなっていますが、外観に大きな傷はありません。奥のモデルには、カービュレーターに細い穴があけられていますが、これは29のものと同様なバタフライバルブの名残かも知れません。もっとも、このころは2ニードルタイプが主流だったはずですから、前の持ち主が自分で加工したのかもしれません。まあ、私としてはどちらでもかまいません。
 よく見るとバックプレートは3本のビス止めになっています。049が2本、15が4本止めですので、ちゃんと比例しているところがチャーミングですね。

 左写真はKO-099D用に製作したバタフライバルブです。本来カービュレーター上側の穴は2ニードル用ですが、製造終盤ではバタフライバルブをつけていたのも事実です。ここではバタフライバルブを、さらなる精度で製作してみました。

 ものが細かいので、くしゃみをしたらなくなりそうですが、保持を考えながら切削加工していきます。構造は簡単なのですが、元々の精度もはっきりしていないため、現物合わせで作業は進みます。だいたい、カービュレーター内径も貫通穴も、位置や精度なんか分かりませんしね。

 そのままでも流路を閉鎖していますから、なるべく余分は切り取っておきます。全閉時にもすこしだけ隙間をあけるべく切り込みでもつけようかと思いましたが、それはテストラン後の方が良いでしょう。

 なんかしっくりこないまま、2個分製作してしまいましたが、ちょうど滑らかに動作する組み合わせで固定です。エンジン作動中に外れるとエンジンは破壊しますので、ネジロック剤を併用しながら組み立てました。

 で、動きの方はご覧の通り。一応引っかかりもありませんが、僅かに見える隙間から、どれほどの空気が漏れてしまうのか・・・・・

 実用にはマフラーが欠かせませんね。元来ディーゼルエンジンって回転数が低いのでノーマフラーでも静かなことが多いようですけど、昨今それでは市民を説得できません。

 排圧があっても平気なディーゼルエンジンなので、写真のようなマフラーを製作いたしました。直接、小型の膨張室をとりつけて、そこから最短距離の排気管をダブルです。格好は良いですね。一応ガスケットまで入っているんですけどね。

 実際にエンジンを始動すると、なんかうるさい。仕方ないので排気管の左右2本にシリコンチューブを詰め込んでおきました。 

 ディーゼルエンジンは「排圧が高くても平気」って、壊れにくいってだけのことなんです。やって分かりましたが、やっぱ出力はおちますね。ノーマフラーの時はすーっと上昇したテスト機「アトラスジュニア」も、マフラー付きになると「う、うーん」という上昇角になります。

 写真は、テスト機「ATRAS JR」です。絹貼りドープ仕上げで製作しています。全備重量は800gを下まわりますので、非力なエンジンでも軽々飛行するはずでした。

 写真ではMKのグラスナイロンプロップを用いられた飛行時で、ノーマフラーでは充分な上昇力が得られます。FUJI099Sタイプ でも同様でしたが、マフラーをつけ、「三ツ星の木製プロップ」なんぞつけようものなら、やっと上昇パターンになってしまいます。ありゃ、なんだ、犯人は旧型木製プロップでしたか。

 


 049はラジアルマウントを基本として設計されていて、ビーム用ラグがありません。機体の製作を考慮しているのでしょう。実際問題として、小型機にはラジアルマウント:機首先端部を胴枠のみでまかなう方が製作は容易であり、むき出しのエンジンは取り扱いの点で有利です。COXのエンジンも同様ですね。
 基本的に15には2つのタイプが存在し、カービュレーターがラッパ型の1型と煙突型の2型とに分かれます。2型は1型の鋳型を改造したものという感触がありますが、こちらは定かではありません。外観の雰囲気から「ラッパカービュレーター」が2型みたいな気がしますが、2型は煙突の方だそうです。
 新参謀の15エンジンのうちの1台は、しばらく欠品で保存されていたそうです。その後修理部品に恵まれなかったので某マニアにヘッドの製作を依頼したみたい。それが左下写真の15エンジンです。アルマイトが非常に濃いので、一目で分かります。さらにノーマルと並べるとフィンの厚さや間隔、トップの形状もかなり異なりが見えます。おそらく現物から寸法をとらずに製作したのでしょうね。
 ところで、ウエダクラブって言うのは実績によって、そんなに簡単に地位が変わるのでしょうか。総統閣下にうかがいました。
総統閣下:「ふっ、競争意識は必要なのでね。」
 良くわっかりまっせーん。

(2006年11月26日)