FUJI 15−3型です。  

クランクシャフトまでは調べていませんが、コンロッドとピストン・シリンダーはENYA15と同寸法です。発売当時(って、1970年代前半ですね。)「西麻布の巨匠」がそれらを交換したエンジンをテストしたところ、60%ナイトロメイサン燃料によって23000rpmもの回転数を得ていました。この事を最近巨匠に伺ったところ、「あのころはRCのパイロンレースのためにテストしていた。」とのこと。巨匠って、CLマニアだったはずですが・・・・・

 
当時神奈川の「大船フライングクラブ@OFC」のコンバットマニアに改造してあげたのが発端らしいです。そのコンバットマニアの中にRCパイロンもやっていたマニアがいて、そちらでも使用されたと言うことらしいですね。ちなみにそのマニアの名前は「日野・・・」聞かなかったことにしようと思います。

 余談ですが、厚木の某K社には日野茂という部長がおりました。1/8RCレーシングカーでも岸清勝部長と双璧をなしていた方です。RCパイロンもやっていらしたはずで、我々が忙しいときはK社内のRC機開発も手伝ってくれました。ある日、日野部長は18エンジンのテストランを手伝ってくれました。しかし、燃料チューブが足りないことに気付き、開発室の4リットル燃料缶に付いていたハンドポンプのそれを切ろうとしました。慌てた私は部長を制止し、工具箱から予備のチューブを取り出してあげました。

 こちらが忙しそうだったから自分で捜していたらしいのですが、それならここまで(開発室は7階)来るなよな!日野部長とは、そう言うおもしろい人です。

 以前、電動ダクテッドファン機によるパイロンレースで、参加者増の為にサクラ参加してくれたとき、運悪く上位3名によるAメインレースに岸部長、日野部長が入ってしまいました。4位を入れ替えてワークス感を薄めようとしたら4位は私。5位も社員だったので仕方なくA,BメインともにK社のワークスレースになってしまいました。で、そのAメインレースのスタート直後のコーナーで、2番手スタートした「なかじょう選手」(適当に漢字を入れてください、RCパイロンで有名な方です)の上方に位置した日野部長機は、なぜかゆっくりと降下し、なかじょう選手(適当に漢字を入れてってば!)機に接触・・・と言うよりも「踏みつけて」墜落させてしまいました。その後岸部長機とランデブー飛行した日野部長は優勝してしまいます。レースで競技委員長も兼ねていた私は「わざとだろう!」と日野部長に問いただしましたが、日野部長は「おれがそんなに操縦うまいわけないじゃん」と言ってへらへらしていました。あやしいぞ!

 そういえば私が賞品用に持参した京都の地酒を、箱入りにもかかわらずめざとく見つけ、競技開始前に本部裏で飲んでいたのも両部長だったな。無地の白箱なのに、なぜわかったんだろう。いや、それよりも「部長!それは俺が持ってきた、お客さん用の賞品ですよ!!」と制止したにもかかわらず、最後の1杯を慌てて注いで、2人で飲み干したあと「うん、でも、もう無いよ」だって。K社の部長級は、大物なんです。    

いかん、ついいろいろ書いちまったい。みなさん忘れてくださいね。     (赤文字は、2009年2月22日追記)

 ノーマルの「FUJI15」はENYAの15と比較してやや非力であり、ライフも短かったので「使い捨てエンジン」の感がありました。でも、価格が安かったので結構使われていたみたい。
 私が保有している3台のFUJI15は、それぞれ変な仕様になっています。1台の使用ビスはヘッドビスがISO、フロントハウジングビスはJIS。もう1台はぜーんぶJIS。最後の1台はみーんなISOネジ!
 この件について巨匠は「なにかの間違いだよ!」とのたまわれました。分かりやすく言うと「フジの工場では、良くあることさ。」でしょうね。
 フジの純正マフラーって、09との共用なもんですから、それぞれの排気口のサイズに合わせたアダプターを使用します。15の排気口にはマフラー本体を傾けて取り付けるわけですが、この場合、取り付けネジの頭がマフラーに沿ってひねられてしまいます。貴重なJISネジですので、左写真のように斜めに座ぐりを行って,
ビスが真っ直ぐに締められる様にしておきました。

 設計者は西麻布の巨匠。設計と言っても元になったエンジンはENYAの15みたいです。「ENYAのクランクシャフトがφ9だから、FUJIはφ9.5にしよう」とか「ENYAのヘッドボルトはM3だから、FUJIはM2.6にしよう」など、様々改良していたそうな。鋳造も小田原の工場で行って、良質な製品が仕上がったのですが、その後ヘッドボルトをM3にしたり、そのあおりでシリンダーヘッドを大きくしたりで、なんか不格好になりました。巨匠はいまだに怒っていますね。    

(2009年3月9日追記)

FUJI15−1型(タイプC)です!

 まあ、この様なエンジンを集めだしたら、もうコレクターですね。私はこの呼ばれ方が嫌いなんですが。(入手は全くの偶然なんです。)


 両排気のFUJI15ですが、当然私は使用しているところを見たこともありません。

 見た目はKOやFOXの15のように小柄というか、華奢な印象を受けます。099ジュニアの中期までのモデル同様、ヘッドだけは圧入になっており、場合によってはヘッドがゆるみ、何かの拍子にフィンが斜めになることも予想されます。

 ネットオークションに出てくるフジエンジンで、そういう「斜めヘッドエンジン」がたまにありますね。腕ずくで回し直せば良いのですが、知らないのかなあ。

 箱はうわさの「グリーンボックス」です。造りが凝っている割には、印刷は薄い紙に行われており、それを箱に張り付けるという手法のようです。

 中箱・・・と言うか下の枠には台紙みたいな厚紙が、やや輪郭を逸脱して張り付いていて、深さの異なる外箱を受けるようになっています。したがって、展示の時に用いられる「ひっくり返した外箱の中に、中箱を傾けて入れる」ことはできません。

 FUJI15の1型には大きく分けて3種類あり、当初細かったクランクケースのシャフト部を補強のために太くし、しかしドライブワッシャはそのままだったので写真の様に外径に差が生じます。

 初期型には後部に燃料タンクが付いていたようですが、その後廃止され、ケースと一体型であったカービュレーターは、後期型ではきれいに機械加工されたものが付属しました。(6.2mmと6.6mm内径でした)
 この写真のエンジンは、1型の3代目。つまりC型ってやつだそうです。



 
 ゆくゆくはマフラーを造ってボクサー系に載せたいのですが、排気口は前後で寸法が違うし、斜めになっているし、なんたって「それっぽい形のマフラー」って、一体どんな形?


   (04年11月10日,「西麻布の巨匠」の協力により更新)

FUJI15−3型には、こんなタイプもありました。

 メーカーが3型を市販するときに作ったプロトタイプみたいです。こちらの出所は西麻布の巨匠、「初期型が無い」って言ったらくれました。でも、良く見ればおわかりでしょうか。シリンダー部の冷却フィンが削られていて、やや細くなっていたんです。仕方ないのでリングを製作し、はめ込んでおきました。始動すれば熱膨張で外れるでしょうから、このエンジンは展示見本ね。

 手前が保有していた、コマーシャルタイプの初期型です。「2.5cc」って入っていますし、純正A級マフラー固定用スクリューの逃げが、排気口裏に出っ張っています。しかし、クランクケース内にはスクリューが切ってありません。A級マフラーに入っている大きなバンドは、おそらく初期型エンジン用なのでしょうね。

 ヘッドだけでなく、フロントハウジングを含めてはじめはM2.6のスクリューを使用していたんです。規格が変わって、2.5が2.6になったころです。強度的な問題なのか、スクリューの価格によるコストダウンなのかは知りませんが、この後スクリューは全てM3に変えられてしまいます。その結果シリンダーヘッドがばかでかくなってしまいました。こう見ると、後期型のラージヘッドモデルは「バンデル星人」に見えてしまいます。古いか。

 左がコマーシャルタイプです。そのうちにピストンは造り直して復活させますね。見て分かりますでしょうか、プロトタイプのクランクケース、フロントハウジングとの合わせ面が未加工なんです。少し延びてますよね。そして、シリンダー部も未加工なので、結局展示見本ってことですね。加工すれば良いことなんですけど。やっぱ、スモールヘッドは格好良いですね。

 3型の初期型は、2型と同じニードルがついていました。後期型になって、4型まで使用されたスプリングニードルに代わることになります。個人的にはスプリングの方が好きなのですけどね。丈夫だから。

 何を思ったか、プロトタイプの取り付けラグの取り付け穴の間隔は、とんでもなく広いです。コマーシャルタイプは14mm、プロトタイプは18mmもありました。

 そうそう、ヘッドスクリューの規格ですが、同時期に発売されていたOSさんとこのMAX10は、ちゃんとM2.5を使用していますね。

(2010年11月28日)