SUPERTIGER 35

 とにかくスーパータイガーって言うエンジンには様々な形式が存在しまして。でも私が知っているグローの35サイズって言うと、G21クランクケースの35だけでした。

 G21クランクケースとは、F2B世界選手権でも数多く使用された「ST46」のクランクケースとして有名ですね。29から46サイズまで流用された、コンパクトな外観が特徴です。

 左写真は、最近入手したものですが、例によって当初は廃油でギトギトでしたが、定番の「煮込み」を行うまでもなく、アルコール漬けとブラシ磨きだけできれいになりました。よく見ると外観もほとんど無傷で、なんか、もうけみたい。

 ちなみにクランクケースの「.35」の文字は、よく見ても一体ものです。「置きゴマ」ではありませんので、少なくともこの当時は35専用だったのでしょうか。取り付けラグ脇に変な刻印も打っていませんし。

 結局1000円で入手したのですが、配送されたときは左写真の通り。CL用カービュレーターも作り直しで、やっぱ、手間はかかります。

 当然ボールベアリングは交換と思いましたが、このエンジンってプレーンベアリングなんです。ドライブワッシャはお飾りみたい。

 主だったスクリューは旧JISみたいだし、バックプレートはFOX35みたいに鋳はなしで平面がでていません。取り付けラグ面と排気口もちょっと荒れていたので、ここはフライス加工しておきました。

 当時(60年代でしょうね)としてはなかなか良い製品だと思いますが、スタント用なのかなあ。

 尼崎の巨匠にも聞いてみましたが、

「スーパータイガーはいろいろ集めましたが、今は押入の奥にしまってあって、よくわかりません。」「35はコンバットに使うつもりでしたが、キャブレターを作ろうと思っていたら、そのうちにRCに夢中になって・・・」

 仕方ありませんね。私が知りたいのは、RC用として存在したのかどうかということです。オリジナルのカービュレーターはCL用マルチジェットタイプです。46では多かったはずですが、ジェットの穴は0.7mmほどのものが4つのみ。左写真のそれは新造品ですが、寸法はオリジナルのままにしてあります。結構長いですね。

 で、問題はその取り付け径。なんとφ10なんです。ST−23だってφ12くらいありましたけどね。クランクケースの排気口側には、中央に柱があってM2.6のスクリューが切ってありました。バタフライバルブはあったのでしょうね。

 本来ならエンジンの歴史やら性能について講釈するべきなのでしょうけど、私の場合は実用主義ですからね。そういうのはコレクターの方々にお任せいたします。

 で、実用に向けてマフラーも作りました。いつぞやのMcCOY35のときと、ほぼ同寸法にしてあります。最近のエンジンには、端面を「面取り」仕上げにしてありますが、オールドエンジンには「角丸め」にしてあります。これだけで雰囲気が変わるから、大したものです。

 純正の29用は、ちょっとだけ寸法が合いませんでした。エンジン側を削ればよいのですが、バンド止めになるしなあ・・・・どうしよう。

 ちなみに自作マフラーの固定には、クランクケース肉厚の隙間ギリギリにスクリューを立てています。余裕は0.5mmほどのはずですが、結構うまくいきましたね。60mmのロングスクリューを使用しています。

(2009年10月11日)

 型式の確認はできていませんが、RC用スロットルバルブを入手しました。同じ頃のG20がこの形式を使用していますので、間違いないでしょうけどね。

 STおなじみのツインニードルではなく、単純なドラム制御のやつです。しかも、加工の簡易化のためか、スロットル本体には貫通穴が空いていて、スロットルアームのフランジ部と、反対側の押さえ板で抜け止めがなされています。なんか、付け焼き刃。

 本体の小ささが影響しているのか、設計ミスかは分かりませんが、吸気マニホルドの外形にスクリューが入り込んでいますね。加工は難しくなるのですが、CL用ニードルアッシーの使用を前提とすると、このサイズになります。そう、このニードルバルブとスプレーバーは、CL用なんです。

 本体のエンジン側取り付けシャンクは、φ10。23エンジンよりも細いんです。ほんっと、昔の型式ね。

(2010年7月3日)