栄光のFOX35!

 「ビッグネーム!」です。1950年代からUSAを始め、世界各国で使用された名スタントエンジンです。小型・軽量であり、なんと言ってもおだやかなその出力特性は特筆ものだったみたいです。
 しかし、OSのMAX−S35の台頭で陰が薄くなり、40や45、そしてシニューレエンジンの出現によってパワー競争から脱落して行きました。現在も60クラスとは言え、クロスエンジンが多用されている、F2Bの世界の一時代を築き上げたと言えるモデルでしょうね。
 中学生のころ、私は多摩川の丸子橋近辺で飛行していましたが、上級者の何人かがこのエンジンを使用していました。機体が上を向くとうなるような排気音をあげて上昇する様は、「チキンスキンがスタンダップ状態」(「鳥肌が立つ」ってことです。)でした。中学生の私には当然そんな高級エンジンは手に入りませんでしたので、その後ENYA35でF2Bのまねごとを始め、ENYA45Sへと繋がります。で、45Sは「FOX35のような特性ながら、パワーは倍よ!」って教わりましたので、気をよくして現在に至っています。
 写真のFOX35はネットオークションで入手したものですが、程度は新品同様・・・と申しますか、ものすっごく硬くって慣らしができなかったみたい。たしか45Sも似たようなものでしたね。・・・・「似てる」か、どうしよう。 
 

(2006年7月22日)

 たしかに当時としては良い仕上がりだったのでしょうが、各パーツの仕上がり精度はいまいちみたいですね。特にリヤカバーなんてガスケットは円形!カバーは写真の通り変形三角形をしているので、ビスで締め付けるとガスケットの厚みだけカバーが歪みます。同様にダイキャストのクランクケースとマフラーは良好な当たりが確保されていませんので、ビスを締めるとどちらかが歪みます。さらにマフラーはゆるむ可能性もあるという訳です。
 とどめは取り付けフランジ。写真のエンジンはフライス盤で加工し、平面を出しましたが加工しろは0.2mmほど!日本製エンジンならKYOUWAに匹敵しそう。
 さて、マフラーの取り付けのみならず、リヤカバーの歪みは一次圧縮に大きく影響します。つまり、吸い込みが不安定になるので回転の安定が満足できないことが生じます。これはカバー側だけの責任ではなく、クランクケースの当たり面も完全な平面では無いことが原因ですので、双方を機械加工してガスケットも作り直しました。特にガスケットはカバーと同様の形状にしましたので歪む心配はありません。
 マフラーの取り付け面も平面加工し、こちらもガスケットを製作しました。もちろん締め付けビス部までの形状でね。このガスケットは幅が1mm程度の「枠」の様な形状になりますから、さすがにレーザーカットでなければ切れませんね。

 こちらは「ためちゃん」のFOX35。排気口が見えませんのでマフラーが着くのか着かないタイプなのかわかりませんが、初期のそれに近いモデルでしょうね。

 どこでどうやって仕入れたか知りませんが、なんかすすけているからか「焼き芋エンジン」って銘々されています。かわいそうに。

 よく見るとヘッドビスのすり割り部もかじっていますね。ドライブワッシャもオリジナルかしらん?こんなんじゃあプロップがゆるんで飛ぶぞ!おそらくガスケットだけでは何ともならないでしょうね。無いよりましか・・・・

 余談ですが、バックの箱は「丸鷹モデル」のやつですね。中身はなんだろう。


(2006年7月22日)