いるか座新星はいるかな? > 星図を活用しよう



星図を活用しよう

望遠鏡で星空を観測する場合にほぼ必須になるのが星図です。星雲星団のように目立つ天体を見るだけの程度であれば、ガイドブック的な資料、あるいはインターネットで手に入る情報で十分なこともありますが、新星のようにどこに出現するかわからない天体や、彗星のように位置の変わる天体を見るためにはよい星図が欠かせないと言っておそらく過言でないでしょう。

初歩の段階では必要なく、必要になれば買うので十分との意見もありますが、むしろ宇宙を好きになる、天文学について知るためには、たとえすぐに観測をしなくても早くから星図に慣れ親しむことをおすすめします。世界のことを知るのに世界地図を使い、ニュースなどの地名を地図で確認する習慣を持つのと同じです。地図を見てまだ見ぬ場所に想いを馳せられる方であれば、星図を見て宇宙を旅することができるでしょう。

星図を選ぶ際の注意点は地図を使う時と同じです。目的地点の近くでは詳しい地図が必要ですが、これは多くの場合インターネットで必要な図(変光星の場合は変光星図)を手に入れることができます(この詳細図の使い方は後に説明します)。それに加えて目的地点と周囲のめぼしい場所の位置関係がわかる程度の縮尺の図が必要です。この目的のためには6等級ないし9等級程度の限界等級の星図が便利です。このサイズの星図であれば、全天が20-200枚程度に分割されています。どのような方もまずは手頃な6等級程度の限界等級の星図を持っておくとよいでしょう。今回のいるか座新星でも、近くの(57)星まではこの星図を使って導入することができます。

望遠鏡を使う観測になると、限界等級が6等級の星図ではちょっと不足します。たとえばこの程度の星図にも星雲星団のマークは描かれていますが、記載されている恒星よりも多くはずっと暗いため、その方向に望遠鏡を向けても、どの天体かわからないことが往々にしてあるためです。少し値がはりますが(あるいは洋書になりますが)もう一段階詳しい星図を購入することをおすすめします。かつては8等級まで記載されたミハイロフ星図が手頃な価格で入手できました。この星図は変光星や重星が的確いマークされ、便利な天体表が付いていました。現代では

滝星図(8.5等)

がフリーで公開されています。観測に使用するには印刷方法など工夫が必要かも知れませんが持っておくと役に立ちそうです。

フィールドスコープ程度を使われる方であれば、Uranometria 2000(9等級まで)が冊子になっており便利です。日本版は絶版のようですが、英語版を入手できます。星図は記載されていない新しい新星の場所などいろいろなことを書き込んで、星図の仕組みなどを調べ、むしろ使い潰すぐらいのつもりで活用するのが上達の秘訣です。

また目的地周辺の詳しい星図は必ず必要になります。新星などのめぼしい天体であれば観測用星図が公開されることが多いのでそれを使えばよいですが、

AAVSOのサイト

を使えば星図を作ることができます。ここで注意すべきは限界等級と星図の広さ(サイズ)です。目的の変光星よりも暗すぎる天体までプロットしてしまう、あるいは自分の望遠鏡で楽に見える天体よりも暗い天体までプロットしてしまうと天体の同定がやりにくくなります。ある程度広い範囲の図(角度の1-2°)では9から10等級の明るい限界等級の星図を作り、2倍の拡大図を作るごとに限界等級を1-2等級暗いものを作図して、広域図と詳細図を用意しておくとよいでしょう。もちろん新星や変光星がずっと暗くなった場合は、少なくともその等級よりも1等級以上暗い星まで表示した詳しい星図がさらに必要になります。

世の中にはパソコン上に星図を表示するソフトやインターネットのサイトはたくさんありますが、これはむしろ経験者や熟練者向けで、これから初めて星空散歩を楽しむ方は、全天の中の位置や星座の星との関係がわかりやすい星図帳を持つことをおすすめします。 (上記AAVSO星図は変光星の観測目的なので特別です)。 またコンピュータで自動的に作図されたものよりも、人の手で校訂された星図の方が実際の見え方に近いこともあります。サンプルがインターネットなどで見られる場合もありますので比較してみられるとよいでしょう。