いるか座新星はいるかな? > SS Cygの爆発を捉えよう!



SS Cygの爆発を捉えよう!

前田 豊

 数ある変光星の中に「矮新星(わいしんせい)」と呼ばれるグループが有ります。これは普段は暗くて(小さな)望遠鏡では見えないのですが、ある 日突然何等級も明るく増光し、あたかも今まで何もなかった所に突然光りだす星のことです。その振る舞いが新星を小規模にしたように見えるので矮新 星と呼ばれています。

 そんな矮新星の中でも増光した時の明るさが8等台と明るいのがはくちょう座SS=SS Cygです。この星は普段は12等台なので小さな望遠鏡や双眼鏡では見にくいのですが、約50日の周期で増光を繰り返してしています。普段は目立たない12等星なのですが、突然増光を開始した後は一日くらいの時間で極大光度の8等台まで明るくなり、約一週間ほど継続した後元の目立たない12等星 にゆっくり戻っていきます。毎日見ていると普段はなにもない所に突然新しい星が現れたように見えるのです。勿論極大光度もいつも8等台とは限りま せん。カタログでの極大光度は7.7等ですから、そこまで明るくなるかもしれませんし、片や10等台の暗い極大だって有りますから油断できません。

 観測方法は簡単です。大きめの双眼鏡(口径4cm以上を推奨)、又は小望遠鏡と星図があれば簡単に見えます。もし口径10センチ以上の望遠鏡を お持ちであれば平常時の姿も簡単に見ることが出来ます。星図は日本変光星研究会のホームページにある平沢康男さん自作の星図がよくまとまっていて導入もしやすいでしょう(詳細図の南北が逆になっているので注意)。

 導入は星図を見ながらデネブから目的の星SS Cygの側にあるはくちょう座75番星を目指します。勿論自動導入があれば一発でSS Cygまでひとっ飛びして構いません。75 Cygの直ぐ北東に特徴的な三角形の星の並びが有り、その底辺の真中付近にSS Cygはいます。そこを眺めて光っている星がなければ、視野の中野一番暗い星の光度を星図で調べて、例えば見えている星で一番暗い星が9.9等なら「<99」と記録します。これはつまり今日のSS Cygは9.9等よりも暗かったよと言うことです。

 これを天候が許す限り毎日続けていきます。そうするとはじめは不慣れだった導入もどんどん時間が短縮されますし、SS Cygがいる・いないも一瞬でわかるようになります。熱心な観測者の中には夕方一度観測して夜中や明け方ににもう一度確認する「猛者」もおられることで しょう。そして、ある日突然見慣れた視野の中にピカっと光っている姿を見つけるのです。きっと感激されることでしょう。次の爆発は今日かもしれま せんし、明日かもしれません。増光の発見は世界中の観測者が狙っています。今回「第一発見者」になれるのは貴方かもしれません。