小さな幸せは終わることはないんだ。

     Little Happiness the Future

       そして幸せは続く

そうして僕ととの小さな幸せが続いていくうちに年が1周する。
ぼちぼちあったかくなってきた休日、僕はと一緒にまた散歩に出ていた。

「周助さん、」

近所の公園を通り過ぎようとしてた時、隣りを歩いていたが言った。

「見て、桜が咲いてるよ。」
「本当だ、」

見れば、こないだまで枝しかなかった木々に
白や薄桃色の花がたくさんついている。

「全然気がつかなかったな。いつの間に開いたんだろ。」

僕は気をつけないとすぐに散ってしまいそうな
花にそっと近づいて手を触れる。
気のせいかな、何だかいい香りがする。

「桜が咲いてるってことは僕らが一緒になってから、もう随分経ったんだね。」
「うん。」
「どう、なのかな。」
「どうって何が?」

無邪気な顔でこっちを見るに僕はちょっと照れくさいものを感じる。

「エリと一緒になってから僕は幸せだよ。」
「うん。」
は、どうなのかなって。」

多分僕は相当おかしな質問をしたんだろうね、はクスクス笑った。

「周助さんにしては変なこと聞くんだね。」

は言ってそっと僕に近づいた。

「幸せだよ、私も。」

耳元で言われて僕は顔が熱くなるのを感じる。
そんな僕の様子が更におかしかったのかのクスクス笑いがひどくなった。

「周助さん、真っ赤っかだよ。」
「だって…」
「いつもだったら恥ずかしいこと言うの、周助さんなのに。」
「ひどいなぁ。」

僕は言って、もう一度桜の花を見上げた。
丁度風が吹いていたから花がユラユラ揺れてて
まるで僕らの様子を見て笑ってるみたいに見える。

、」
「なぁに?」
「そこに立ってて。写真撮るから。」
「私1人で?周助さんも入ろうよ。」
「御免、三脚持ってきてないんだ。」

はなぁんだ、とちょっと残念そうに言って
桜の木の下に立った。
僕はファインダーを覗き込みながら桜の花との姿が妙に合ってる、と
思ったんだけどそれはきっと欲目って奴だろう。

「行くよ。」

そして僕はシャッターを切った。


写真を撮った後は、せっかく桜が咲いてる所に
来たから花見と洒落込むことにした。
うまい具合に木の下にベンチがあったんだ。
急だったから生憎お弁当も何も作ってなくて、
近くのコンビニでお昼を買ったけど十分だと思う。

「あれ、うまく撮れてるかな。」

サンドイッチを齧りながら僕は言った。

「周助さんなら大丈夫だよ。」

がミックスオレをすすりながら答える。

「私、心配したことないもん。」
「ありがとう。」

僕はサンドイッチをもう一口。

「綺麗だね、桜。」
「うん、ホントに。」

が目を細めて言った。

「何か不思議だね。」
「何が?」
「こうして一緒に桜見てたら、ああ、今周助さんと一緒なんだなって思うの。
いつものことなのに、何かいつもよりぐって感じる気がする。」

の言うことはわかる気がした。
だって僕も似たような感じに囚われていたから。

「確かに、不思議だね。」

風がまた吹いてきて、桜の枝を揺らした。
何だか魔法をかけられてるような気分で、そのまま僕はそっと目を閉じた。
そこへがそっと頭を僕にもたせかけてきて、僕らはしばらく食べるのも忘れて
そのまま静かに何かを感じていた。


僕らはそうしてまた小さな幸せを積み上げながら生きていく。
幸せは何も今だけじゃない、ちょっとずつでも続いていくんだ。
これからもずっと、ね。

少なくとも僕はそうありたいって思ってる。




そうそう、言っておくのを忘れてた。
この後、僕らに小さな幸せが1人増えました。


Little Happiness t he Future 完



作者の後書き(戯言とも言う)

やっと完結しました。本当にミニ連載になってしまいましたです。
リクエスト作品だというのにスランプに実生活の多忙さが
加わって長いこと放置状態になってしまい
自分の阿呆さ加減と無責任さに自責の念に駆られます。
最後に更新した日付を見たらとんでもないことに
なっていて、体から血の気が引きました。

リクエストをくださった架奈芽様(もし今でも御覧になっておられるなら)には
遅くなりすぎたことに関してお詫びを申し上げたいと同時に
こんな不届き者にリクエストをして頂き感謝を捧げたいと思います。
本当に有難うございました。

ここまで読んでくださった他の方々にも感謝します。

2006/04/08


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