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旅のエッセイ |
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810番小巴 17番目の乗客になるには ['04.2.7/002]
ミニバスは緑色も紅色も座席数一杯の16名が乗車定員で、それ以上は乗れませんし、立ち席は不可です。でも、急ぎのときなど乗れたらいいなぁと思うこともあります。真似しちゃいけないけど、ウルトラCもありました。 |
香港の友人は、私をバスに乗せようと焦ってくれていた。
沙田で飲茶していて、14時に沙田博物館に行かなければならないけど、その前に馬鞍山に買物に行ける?という話をしたら、地方指南を見ていた友人が言った。
「あるある、小巴810番」
彼女の言うにはここからバスなら馬鞍山は10分で行ける距離だとのこと。14時までまだ1時間ある。では出発!しかし雨の中待たされた挙げ句、来たバスはカーブを繰り返し、友人の予測した直線コースとは少々違うルートを進んだ。13時半近くに馬鞍山到着、ショッピングセンターへ飛び込む。買うものは決まっていたので売り場を爆走!お金を払い、袋を引っつかんで帰路のバス停探しだ。時間がない。「810!? 810!?」と騒ぎながら見つけたバス停には待ちの行列・・・・・・まずい、1台目が来ても乗れないかも!
バスが雨の中やってきた。行列が動き出し、そろそろ定員かな…と思ったとき、友人が言った。「乗って!」
車内はまだみんな着席途中、席が足りるのかよくわからない。運転手が振り向いて「もうダメだよ」サインを送ってきたのと、大埔に帰るのでこのバスには乗らない友人の「タムラさん、オクトパスやっちゃえ!」の声はほぼ同時だった。
ピッ、とオクトパス精算音。あーっダメだーっと叫んで天を仰ぐ運転手。車外では友人が運転手に向かって「その人すごく急いでるんだから、一人ぐらい乗せてやってよ」と怒鳴っている。
「ここ座るから、ね?」と運転手の横の平たいスペースに座ったら「ダメダメダメ!」と怒られる、外では友人が「行け行け〜」と手を振る、そのとき入口一番近くの奥さんが助け舟を出してくれた。「途中で降りるから、それまでこの席に一緒に座らせてあげる」運転手も了解、多謝多謝とすり寄ってお邪魔する。いわゆる「半ケツ座り」か。しかし買い物袋を3つ膝に乗せてる奥さん、一人がけの席はどう詰めてくれてもシートの角、1辺10センチ強の三角形しかスペースができない。4分の1ケツ、にも満たないのだ。
「空気椅子」状態でのミニバスの旅が始まった。ミニバスは飛ばす。左カーブは奥さんに寄りかかればいいが、右カーブでは前のバーを全力で掴みつづけないと通路に転がり落ちる。奥さんが降りるころには、体の右半分が突っ張ってバキバキ状態。
奥さんが降りていったとき、「1人降りれば1人乗れる」の法則にもとづいてステップに足をかけた新規客、運転手が「ダメ、満員」と言って断った。なぜ?と不思議そうな顔して降りた小姐、ごめんなさい。17人乗ってたんです。
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