在来種のヒオウギは、漢名を“射干”と書き、日本での生薬名は“ヤカン(射干)”です。 一方、シャガ(アヤメ科 アヤメ属)は“射干”の音読の“しゃかん”が転訛したもので、原産地は中国で、3倍体で不稔性なので種子では繁殖できません。 ですから人為的に日本に持ち込まれたもので、それも、稲作が伝えられる以前の史前帰化植物と云われています。 シャガは、間違えてヒオウギの漢名の射干の音読を与えてしまったと云うのが定説ですが、本草和名では正しく認識されています。 では何故、当時の人たちは訂正しなかったのでしょうか? この疑問を私見ですが、考えてみました。 ここで疑問になるのは、現在のシャガの利用方法はせいぜい園芸用で、日本に移入された目的が分からない。 食用、薬用では無いとすると、他の移入植物の包装材(シャガの葉は常緑)に混入して日本に入ったことから、人々に注目されていないかったので、葉の出方が似ているヒオウギと混同され、シャガもヒオウギも区別されずに『シャガ』と呼ばれていたのではないかと思います。 処が、シャガは実がなりませんが、ヒオウギには球形で光沢のある漆黒色の種子がなるので、この特徴に着眼した名前が生まれ“ヌバタマ、ウバタマ、カラスオウギ”と呼ばれるようになっていたので、本草和名などで漢名と和名を対応させたが、片や、シャガの方はそのままの名前が現在に伝わった。 この考えは如何でしょうか? また、シャガは中国では薬草として使われます。 利用部位 全草 適用 解毒、消腫、鎮痛、肝炎、肝痛、胃病 成分 未詳 |