全身麻酔による手術の話
 江戸時代中期の医師、華岡清洲が、曼陀羅華(まんだらげ)(チョウセンアサガオ)と草烏頭(そううず:カラトリカブト)を主成分とした”通仙散”と云う、全身麻酔薬を用いて、1804年に乳ガンの摘出手術に成功した。
 これは日本で初めての外科手術であるばかりでなく、米国の歯科医モートンらによるエーテル麻酔法に40年も先立つ、画期的なものです。
 全身麻酔薬を完成させるまでに、人体実験の途中で母は没し、妻を盲目にしてしまうという、凄絶(せいぜつ)な代償を払ってのことであった。