名前の由来 | 紀元500年頃、古代ローマ時代から、炎症に外用薬として、また、膿瘍に軟膏の形で用いられたと記録にあるそうです。 その毒性も古くから知られていたようで、死者の魂が宿る草だとか、妖精の草だとか、濃い紫色の斑点は妖精が毒のあることを知らせるためにつけたものだとか、いろいろなことが信じられていた。 イギリスでは昔、魔除けの花と云われ、また、キツネのしっぽが魔除けに使われたりすることもあり、妖精や狐と花の形が結びつき“狐と仲の良かった妖精は、狐が晩のご馳走のために鶏小屋を襲うとき、足跡から犯人が分からないようにと、この花の手袋を贈った”と云う話から13世紀のウェールズの薬学の本に、この植物は“foxes glofa”とあるそうです。 今の英語なら“foxglove:フォックスグローブ”で、これを直訳した“狐の手袋”が日本の標準和名となっている。 学名(属)の“digitalis”の名付け親はドイッのレオンハルト・フック(16世紀:医者で植物学者)で、この植物をドイツでは、“Fingerhut:Finger(指)+Hut(帽子)=裁縫に使うキャップ状の指ぬき”と呼でいたことから学名を考えるとき「Finger(指)はラテン語ではdigitusだ」だから、“digitalis”と名付けたと云われています。 |
心臓病は 民間治療 に頼った |
1775年にジギタリスの心臓病への利用効果の本を書いた、イギリスのウィザーリングは、重い水腫を患った老婆を診察したが、当時の医学では手に負えず間も無く死亡すると判断していた、その数週間後、その患者の消息を聞いてみるとピンピンしていると聞いて驚き、その患者に如何したのか聞いてみるとシュロップシャー(ウィザーリングの出身地)の民間療法師の所に行き、秘伝の生薬を用いた治療を受けて回復したのでした。 その民間療法師は正規の医師が治すことが出来なかった水腫を秘伝の処方で度々治療したと聞き、ウィザーリングはシュロプッシャーの民間療法師を探し出して、その療法を教えて貰おうと考え、探し当てたその民間療法師は何処にでも居る老婆だったのです。 秘伝の処方については中々教えてもらえず、ウィザーリングの熱心な説得の結果、20種以上の薬草を配合したものであると教えられた。 ウィザーリングはエディンバラ大学医学部在籍中に植物学を学んでおり、当時の薬の大半は植物起源の生薬なので、医師を志す者にとって植物学の知識は必須だった、その為、その中でジギタリスが薬効の本体であることに気付くのに時間は掛からなかったと云われる。 |