ボタンをクリックすると写真変わります
別名 | コリアンダー、シャンツァイ(香菜)、パクチー(タイ語)、コズイ(胡ずい)、ニガナ(苦菜)、カメムシソウ、チャイニーズパセリ |
分類 | セリ科 コエンドロ属 |
原産地 | 地中海沿岸 |
利用部分 | 葉、種子 |
成分 | 精油(コリアンドロールなど) 全草や若い果実に、カメムシやナンキンムシに似た強い臭いがありますが、完熟した種子にはアニスに似た芳香に変わります。 この特異な臭いは、カプリアルデヒドによりますが、精油には含まれていません。 |
適用 | 香味料としてシリア、中国、インド、東南アジア、メキシコ、中南米などで特に好まれ世界で最も普及しています。 <生葉> 摘みたての若葉を細かく刻んで用いると、さほど抵抗なく味わえます。 臭み消しになるので肉、卵、魚貝、豆料理、サラダ、ソーセージ等何にでも合います。 中国料理においては葉を「香菜」と称して肉料理やスープ、付け合わせに多用されます。 インドのカレーには、コリアンダーの実はもちろん、生葉も使われ、また、伝統的調味料の“チャツネ”も、コリアンダーの生葉、ココナッツ、青唐がらしに食塩を加えてつぶして作ります。 ペルーでは生葉や実(種子)とともに盛んに料理に使われています。 メキシコ料理、アラビア料理の大部分は、コリアンダーで調味するそうです。 <完熟した実> インドや日本では、カレー粉の主要な原料の一つです。 蛋白質素材とよく調和する性質をもっているので、肉類、卵、豆類の料理や肉の詰めもの、ソーセージ類、クリーム・チーズ、コテージ・チーズなどによく用いられます。 甘い芳香は、油揚げ菓子、ビスケット、カステラ、クッキー、パンなど菓子類の風味づけによく用いられます。 丸ごとピクルス、カレー、パンやクッキーにも入れ、消化を促進し、腸内ガスを抑える事から食後のデザートにさ好んで利用されました。 <精油> リキュールに使われ、ジンのフレーバーとして、香料として石鹸、タバコ、化粧品としても使われています。 <薬用> 特性として駆虫作用、健胃作用、刺激作用、鎮痛・鎮静作用があり、消化困難、食欲不振神経疲労、偏頭痛に効果があります。 外用としては、リウマチ痛、神経痛に対してマッサージオイルとして用いられました。 |
名前の由来 | 薬用植物を扱う人達はポルトガル名コエンドロ、ハーブを扱う人達は英名コリアンダー、中華料理を作る人達はシャンツァイと呼ぶことが多いと思いますが、同じものです。 <コエンドロ> ポルトガル語のコエントロ(coentro)が訛ったものが和名と為りました。 <コリアンダー> 古代ギリシア時代の名前korian−nonに由来し、その意味はKoris(ナンキン虫/カメ虫)+Annon(アニスの実:セリ科シシウド属)で、生葉や未熟な種子の強い香りがナンキン虫/カメ虫の臭いに似て、熟した果実の香りがアニスの実の香りに似ている。この古名に因んでローマの博物学者プリニーが学名(属)Coriandrum(コリアンドラム)とし、英名のCoriander(コリアンダー)に為ったと云われています。 |
コエンドロ の歴史 |
数千年もの昔から、薬用や調味料として古代エジプトで用いられ、その後、ギリシャ、ローマ、インド、中国、ヨーロッパの各地に広まりました。人類の食物調味の歴史においてスパイスとして最も古くから用いられたものの一つです。 人類文明の発祥地といわれるメソポタミアの各地から楔状(けつじょう)文字(紀元前約3500年)板が発掘され、そのなかの香料植物リストには、コリアンダー、ニンニク、アニス、タイム、カラシ、クミン、カルダモン、ディル、サフランなどの名が刻まれています。 旧約聖書には、ユダヤではコリアンダーの葉を、エジプト脱出を祝う三大祭の最初の祭りの時に食べなければいけないと記述され、また、軽い麻酔作用がある事から強壮作用があると考えられ、“千夜一夜物語”にも媚薬として登場します。 コリアンダーの用途について、医学の父と呼ばれるギリシャの“医学の父ヒポクラテス(紀元前460年頃〜同375年頃)”は“誓い”の中において,“胸焼けを防止し催眠薬にもなる”と記しています。 紀元1世紀のローマ人は、薬用や調味料として使用しただけではなく、粉末にしたコリアンダーを防腐剤(粉末にしたコリアンダーにクミンとジンジャーを混合したもの)として用いています。 西ローマ皇帝シャーレマン大帝(742〜814年)は、その領地内各所に香辛料植物園を造成し、812年にコリアンダーの栽培を命じことで、中部ヨーロッパへと広まっていき、この農園からヨーロッパ各地に広まりました。 1612年、いまのイスラエルのカルメル修道院の尼僧たちは、オーデカルメ水なるものを作り出し、一世を風びしました。 これは、日焼け、肌荒れを防ぐために考え出された女性の知恵の結晶で、化粧水だたのですが、後に媚薬やアルコール飲料としても有名になりました。その内容ははナツメグ、クローブ、シナモン、アンゼリカ、ペパーミント、レモンの皮とともにコリアンダーをブドウ酒に入れて蒸溜して作ったもので、コリアンダーは、ナツメグやクローブなどの4倍も多い量 が使われていたそうです。 日本への渡来は、中国経由で中国へは紀元前126年に張騫(チョウケン)が持ち帰ったとされ、名は“胡妥”と云われて“世を益する蔬菜で、生でも煮ても食べられ、根と葉は健胃に、子実は止血と鎮静に効果がある” と珍重されたようです。 日本では、延喜式(927年)のなかで“胡ずい”と記述されて初出しているが、特異な臭いのため普及しなかった。 その後、江戸時代になって、ポルトガルから再び伝えられ、まず、長崎の御薬園で栽培され、各藩の御薬園から京都薬園を経て、1683年に小石川御薬園に伝えられ“コエンドロ”と呼ばれるようになりました。 日本では商業ベースで栽培されておらず、全量 を輸入に依存しています。 |