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お題:  名前変わっているけども、由緒正しい

ガガイモ [羅摩/鏡芋/輝美芋]  有毒植物
別名 チチクサ(乳草)/クサワタ(草綿)
分類 ガガイモ科 ガガイモ属
生薬名 葉茎:ラマ(羅摩) 種子:ラマシ(蘿摩子)
薬用部分 葉、茎、種子
成分 不明
適用 乾燥した葉、茎、種子を滋養強壮に用いる。
生の茎葉や生果の汁を、解毒、腫れ物に、外用で患部に塗布します。
生の茎葉から出る白い汁は、イボやヘビ、虫刺されに患部に塗布しま
す。
種子の毛を傷口の止血に用いた。
有毒部分 葉、茎の汁液
有毒成分 ふめい
中毒症状 皮膚炎
食用 若芽・果実は強壮効果のある山菜として人気があり、熱湯でゆでてアク抜きをして油いため、煮物、などにして食べます。
他の利用法 種子につく長毛(絹毛)は綿の代用として針さしや印肉に使われた。
名前の由来 かなり変わった名前ですが、古事記(712年)にガガイモに関する記述があるのです。
それは大国主命の国造りの手伝いをしたと言われる、少名毘古那神(スクナビコナノカミ)について
”故大國主神坐出雲之御大之御前時自波穗乘天之羅摩船而内剥鵝皮剥爲衣服有歸來神爾雖”
”故(かれ)、大国主神、出雲の御大(みほ)の御前(みさき)に坐(ま)す時、波の穂より天(あめ)の羅摩船(かかみふね)に乗りて、鵞の皮を内剥(うつはぎ)に剥ぎて衣服(きもの)に為(し)て、帰(よ)り来(く)る神有りき。”
と記述されております。
これが、ガガイモの果実のサヤに乗って小さな神様が来たとされていて、日本では古くからカカミ/カガミとしてガガイモが知られていたことがわかります。
”羅摩(ラマ)”が和名抄(934年頃成立)に大和言葉の”加々美”のこととの記述があり、本草和名(918年頃成立)には中国の生薬名として羅摩が記載されています。
それに劣らずなものが、水草なのですが”ガガブタ”(鏡蓋、金銀蓮花と書き:ミツガシワ科 アサザ属)と同じガガが付く植物があります。
<ガガについて>
両者に共通の説
第一:葉の形がスッポンや亀の甲羅に似ているので”ゴガミ”(亀)
第二:同じ”カガミ”(鏡)でも、ガガイモは種の絹毛か鞘の内側が太陽を
    反射し易い事から鏡とし、ガガブタは、葉の形が丸くて青銅鏡に
    似ていることから鏡とした。
ガガイモのカガミの理解に、屈むような低いところに、太い地下茎がある事からと言う説もある。
さすがにガガブタには、この説を適用するには無理がある。
何しろ水生植物で、地下茎はなく水に浮かんでいるような感じです。(植物図鑑で見た感じ)
私見ですが
ガガイモは、古事記の羅摩をカカミ/カガミと読ませていたことは確かなのですが、”イモ”と言う言葉が何時付き、そのイモはどんな芋に見立てたのかが疑問として残るのです。
太い地下茎を”山ノ芋”と見立てる説より、実の形を芋と見立てたとする説が有力ですが、実の形は、”里芋”か”さつま芋”に、私には見えるのです。
”里芋”に見立てたならば、日本への伝来は縄文時代と推定され、本草和名や和名抄に ”サトイモ”と読ませる記述があり、”さつま芋”だとすると、日本人がさつま芋を見るのは、江戸時代(1600年代)になります。
カカミイモ/カガミイモが訛ってガガイモになるのには、相当の時間的な経過が必要なので、里芋に見立てたのが妥当かなと思います。
でも、何故イモを付ける必要が有ったのでしょうかね。
”カガミ”ではいけない理由って、何なのでしょう。
ガガブタは、水生植物なので水に関係のある、葉の形が亀の甲羅に似ている葉っぱが、沼を埋め尽くす様を蓋をされたと見立てて、ゴガミがフタをしたから、ゴガミフタがガガブタに訛ったのではないかと思うのですが。
この両者の説が混同され、色々な説が出来上がったように思うのです。

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