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お題:  太陽を捕まえた

ウマノアシガタ [馬足形・馬脚形・馬蹄形]   有毒植物
別名 キンポウゲ (金鳳花)
分類 キンポウゲ科 キンポウゲ属
有毒部分 全草
有毒成分 プロトアネモニン、ラナクリン
中毒症状 茎の液汁が皮膚につくと赤くはれたり水泡が出来る。
誤って食べると下痢、嘔吐、胃腸炎、麻痺、幻覚などを起こし、死に至ることがある。
中国では搗き砕いて、はれもの、皮ふ病のぬり薬として用いることがあり、日本では扁桃腺炎を外湿布によって治療する民間療法があったが、薬草としての利用は少ない。
薬用としての利用には、全草及び根をマラリア、黄疸、頭痛、関節痛などに用いる。
名前の由来 葉の形を馬の蹄に例えたものとされるが、どこが似ているのか全く分からない。
むしろ葉の切れ方は鳥の足に似ているので、鳥と馬を書き間違えたのではないかとも云われる。
江戸時代の薬品手引草や綱目啓蒙(1803年:享和3)に記載されているので、ウマノアシガタに間違いはない。
そうすると、江戸時代の馬の足形は、どんな形だたんだろう考えて、足回りの変化を調べてみると
現代:蹄の保護に蹄鉄を使っているが、
江戸時代:”馬わらじ”という物を使用していました。
私見ですが、馬わらじ(馬沓:うまぐつとも云う)の紐通しの輪(4個ないし5個)を、花びらと見立てて、花が馬沓形(ウマノクツガタ)と思ったのではないかと、云えないだろうか?
それが馬足形に変化したとは、大胆すぎますか?
因みに、牛の蹄の保護には牛わらじと言うのがあります。
キンポウゲ
の由来は?
花の色からと、単純な説明が多いのですが、それは”金”の部分であって”鳳”の部分の説明がなされていない。
そこで”金鳳”の意味を調べてみると、”金地の鳳凰”という意味で、高山祭りの豪華な花山車を”金鳳台”といいます。
この事から、”黄色い豪華な花”と理解すると八重咲きの花を、限定的に”キンポウゲ”と云うとの説になるのですが、一方これを、太陽の光を受けて”きらきら”輝く、金色の鳳凰の様を、太陽に輝く花びらに見たのならば、一重の花が対象になる事になります。
私は、後者の方が気に入っています。前者は理屈っぽく過ぎる。
バターカップ
  の思い出
私が初めて高山植物という植物に出会ったのは、1960年の夏であった。そこは穂高連峰の涸沢。テント、シュラフ、炊飯道具、食料と30kgからの荷物を背負って、前夜の夜行列車に乗り。梓川沿いの曲りくねった狭い旧道を、都会のバスより一回り小さい松本電鉄バスに揺られながら、初めての北アルプスに、19歳の若者(私のこと)が、期待と不安(涸沢まで、30kgのザックで登れるか)に胸膨らませ、車窓から流れる梓川の景色を食い入るように見ました。
沢渡から釜トンネルを抜けて最初に飛び込んできた景色は、朝もやに煙る大正池に立ち枯れした木が林立する幻想的な姿、目を上にやれば噴煙を上げた焼岳の姿に息を呑む思いでした。そしてエキゾチックな赤い屋根の帝国ホテルの佇まいに感激し、着いたのが上高地バス停、そこから歩いて、河童橋からの景色に興奮は最高潮、別世界に彷徨いこんだ思いに、暫し呆然としていたと思います。先輩から朝飯にしようの声に、我に返ったのを記憶しております。
ところが、アプローチの明神、徳沢、横尾からの登りの記憶が全くな
く、涸沢カールへの最後の急登であるモレーンの登りで、先輩に後少しだの声のに、はっと我に返り着いたのは午後3時過ぎ。ザックを降ろし周りを見渡すと、山に押しつぶされるような錯覚に捕らわれ、恐怖心に身震いするような、不思議な感激に興奮しつつ、目を足元に映すと雪渓の末端に出来た池の周りに午後の太陽に輝く黄色い花の群落が目に飛び込んできました。高山植物との最初の出会いで、初北アルプス登山記です。
その後は、雪上訓練やザイル操作などの新人訓練も無事にこなし、先輩に連れられ北穂〜奥穂の縦走、前穂北尾根の五六のコルから前穂への登攀などを、無事にこなし下山。
あの印象に残った黄色い花は、シナノキンバイで北穂や奥穂へのルートの岩尾根で咲くのはミヤマキンポウゲであり、キンポウゲ科で英語ではバターカップファミリー(バターカップ=キンポウゲ、ファミリー=科)であることを後で知った。
その後登山歴は実質三十数年になり、キンポウゲ科の花は常に目立つ存在でありました。バターカップってどんな物(直訳すれば”バター容れ”、辞書引けば”キンポウゲ”)という疑問は、常に頭の隅に住み着いて居りました。
幾度かの海外出張しでも、キンポウゲに繋がりそうなバター容れ
に出会えず、殆んど諦めたころ(気になり始めて二十数年経っていた)出会えたのです。アメリカで!!
半年ほどの出張中に、正式な昼食会に招かれた時の事です。スーツを着て会場に出かけ、自分の席に着こうとした時、ポイントプレートの奥に太陽の日差しを受けて、燦然と金色に輝くアイスクリームカップに盛られたアイスクリームのようなものが、置いてありました。アイスクリームにしては変だ、少し黄色すぎるし、第一アイスクリームはデザートだ、事前にセットされている筈がない、これは何だと思いながら着席。目で数を数えてみると、二人で一つ位の割合だけしか置いていない。益々分らない、このような場合には、現地の人の真似が一番と決め込み、じーっと様子を伺っていると、前菜が出て、スープがでパンガ配られ、和やかな雰囲気の食事が始まった頃、ついに正体が分るときがきた、金色の器に手を伸ばし中のアイスクリームみたいなものを、やをらナイフでえぐりとりパン皿に移しパンに付けたではないですか。私も真似しパンを口に入れてみた、分った”バター”だ、そして金色の器が”バターカップ”だったのです。これが二十数年探していた、バターカップにであった瞬間でした。改めてバターの入ったバターカップを繁々と眺めてみると、初めて涸沢で見た”黄色い花に何と似ている事か、それ以来”キンポウゲ”=”バターカップ”と素直に思える私です。

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