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お題:  乱れ車

オオグルマ [大車]    有毒植物
別名 エレキャンペーン
分類 キク科  オグルマ属
原産地 欧州、北部アジア
薬用として日本への渡来は江戸時代頃と言われ、木香(もっこう)の代用として用いられた。
生薬名 土木香(どもっこう:香りが木香に似ていることに由来)
利用部分
成分 アラントラクトン・イヌリン他
適用 <最近の利用法>
砂糖漬けにしてお菓子の香り付けや、リキュールやベルモットの香り付けに用いられる。
製薬会社が、一部の薬を飲みやすくするための賦香料(ふこうりょう)として使用するそうです。
<昔の利用法>
木香(もっこう)の代用として、健胃、整腸薬として、嘔吐、腹痛、下痢、消化不良寄生虫病などに応用する。
アラントラクトンは、駆虫の目的で用いられていましたが、用いる量と中毒になる、量が接近しており、非常に危険なために現在ではほとんど使用されていません。
有毒部分 根、花粉
有毒成分 イヌリン
中毒症状 皮膚炎、腹痛、嘔吐、下痢
この植物は、薬と毒が紙一重のなので、素人考えでは使用してはいけない。
草木染染料 根が、染媒に木灰を使用して青色の染料になる。
欧州での
   利用法
古代ギリシア・ローマ時代や中世ヨーロッパでは呼吸器系や心臓病の薬として利用されていたようです。
民間薬として発汗、利尿、去痰にも用いています。
名前の由来 日本の自生種でオグルマ[小車]キク科オグルマ属が有り、それより花が大きめな事からで、オグルマは、端正な頭状花序の放射状の整然と並んだ舌状花を小さな車に見立てた。
木香の話 中国の神農本草経に”蜜香”の名で収載され、現在は木香(広木香)と呼ばれています。
これは”木香は草類であって、蜜のような香気があるところから本来は蜜香と言ったが、沈香(沈丁花科アキラリア属の喬木)の中にも蜜香があるので、これを遂に誤って木香と呼ぶようになった”とあります。
木香はインドのカシミール地方原産のキク科の植物の根のことで、日本では栽培された記録はなく、根から調整された木香という生薬を、インドや中国から輸入してきました。
江戸時代の”用薬須知(ようやくすち・1726年)”には、”とぼしき時通用すべし”という記述があるのは、木香が足りないときに、または手元にないときだけに用いるという意味で、日本では古くから、オオグルマが本物の木香の代用とされていました。
木香には、次の四種類があり起源植物が違い薬効が少しづつ異なる
●唐木香(広木香、インド木香):キク科のAucklandialappa DECNEの根
      正品の木香で古代には青木香と称した。
      健胃、整腸薬として、嘔吐、腹痛、下痢、消化不良、寄生虫病
      などに応用する。
      インドでは気管支拡張作用や去痰作用があるとして、喘息に
      用いている。また薫香料として広く用いる。
●青木香:ウマノスズクサ科ウマノスズクサ属のウマノスズクサ、および
      マルバウマノスズクサの根。
      鎮痛、消炎、解毒薬として、胸腹脹痛、疝気痛、腫痛、蛇虫咬
      傷、高血圧症などに応用する。
●川木香:キク科のVladimiria soulieiLINGの根。通常根頭部を焼いて
      調整する。
●土木香:キク科のオオグルマの根。ヨーロッパ原産の植物。
      唐木香の代用品として、家庭薬製剤に配合する。また薫香料
      に用いられる。利尿、発汗の作用がある。
トロイの
ヘレンの話
学名のヘレニュム(helenium)は、トロイのヘレンがこの草を採取している時に誘拐されたという伝説に因むそうです。
”ヘレンの浮気が原因で、都市トロイアは十年にわたる戦いの末、ギリシャに滅ぼされました。
その戦いを題材にして詩人ホメロスは「イ−リアス」「オデュセイア」という二大叙事詩を書きました。
”ヘレンは絶世の美女で、ギリシャ全土から求婚者が殺到し、これに困った父親は、
@ヘレン自身に選ばせる、
A選ばれなかった者は文句を言わない、
Bもしヘレンと選ばれた夫の夫婦関係に何か危機が訪れるようなことが
  将来あったら、選ばれなかった男たちはその時直ぐ駈け付けて、その
  危機を解決するよう全力を尽くす
と云う三条件を出し、その条件をのんだ求婚者たちは、ヘレンに決定させ、そしてその約束を守り見守ったのですが、
ヘレンはトロイアの王子パリスと浮気しトロイアに行ってしまいます。そのヘレンを取り戻すために、約束をした男達の軍勢がギリシャからトロイアに押し寄せ、そして十年に亘る戦争となり、大勢の兵士が死に、一つの都市が滅びたのです。

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